レーヴァティン

「それも言っておく」
「それもこれまで通りですな」
「一銭斬りとする」
「厳しくしますな」
「武士の道には背くな」
　何があってもというのだ。
「いいな」
「わかりました」
「ではその様にします」
「そしてそのうえで」
「戦を進めていきましょう」
「民は幕府の民になるのだ」　
　これよりというのだ。
「ならば公のものである、公のものはな」
「害さない」
「何があろうとも」
「それは許さない」
「左様でありますな」
「殆どの大名や国人達もそうした無体はしなかったがな」
　民達への狼藉はだ。
「幕府が開かれるまでな」
「その土地を手に入れれば手に入れた者の民となります」
「ならば普通は手出ししませぬ」
「かなり性質の悪い者でないとです」
「乱取りや人攫いなぞしませぬ」
「そうだな、兵達には戦に加われば褒美を与える」
　それだけでだ、この浮島ではそうなっているのだ。
「そうもなっているからな」
「それ故にですね」
「ここはですね」
「そのうえで」
「この浮島では殆どないことですが」
「幕府は徹底していきますね」
「その様にな」
　こう言ってだった。
「この度も、ではだ」
「時が来れば」
「攻める時が来れば」
「その時は」
「動く、では戦の用意を進めていく」
　奉行達に強い声で告げた、その後で。
　英雄は戦の用意にまつわる書の仕事も次々と進めていった、それは実に多かったがそれでもだった。
　一つ一つこなしていきだ、共に働く仲間達に話した。
「やはりこうしたことをしなくてな」
「動かないでござる」　　
　智は文に印を押しつつ応えた。
「何もかも」
「全くだな、政はだ」
「書で動くものでござる」
「決めてだ」
　どういった政を行うかだ。
「そのうえでだ」
「人やものを動かすでござるが」
「銭もな、そして動かすにあたってな」
「書がでござる」
　これがとうのだ。
「やはりでござる」
「必要になる」
「それ故にでござる」
「俺達もだ」
「こうしてでござる」
「印を押していっているな」
「そうでござるよ、さもないと」
　書類仕事をせずしてというのだ。
「政は動かないでござる」
「全くだな、仕組みを整え」
　そしてというのだ。
「そのうえでだ」
「書類仕事をしてでござる」
「全ては動く」
「それは戦の準備もでござるし」
「戦自体もな」
　英雄は自ら言った。