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レーヴァティン

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第二百二十二話 採られない戦術その一

                第二百二十二話  採られない戦術
 久志は兵を進めさせつつ連合王国軍スコットランドにいる彼等の兵の数が少ないことを実感していた。それで野営地の本陣で言った。
「やっぱり芳直と剛の水軍が動いてな」
「スカパフローも占領したからね」 
 淳二も言ってきた。
「だからね」
「兵はそっちにも向かっていてな」
「そしてね」
 それでというのだ。
「こっちに向けられる兵はね」
「減ってるな」
「明らかにね、だからね」
「俺達はな」
「その分楽に兵を進められているね」
「街や村もな」
 久志は淳二に考える顔で述べた。
「やっぱりその分な」
「兵が少ないだけね」
「順調に占領出来ているな」
「そうだね、ただね」
「ただ。どうした」
「や、山脈でゲリラ戦術採ってきたから」
 だからだとだ、淳二は久志に話した。
「徹底的にやってくると思って」
「それでか」
「うん、焦土戦術もね」
 この戦術もというのだ、街も村も焼き払い食料等を全て持ち去り民も去り敵に何も与えず消耗を誘う戦術である。
「してくるかなってね」
「思ったか」
「けれどそれはしないね」
「焦土戦術な」
 そう聞いてだ、久志は言った。
「あれは確かにな」
「効果的だね」
「ああ、本当にな」
 実際にというのだ。
「敵に何も与えないでな」
「消耗を誘うことはね」
「ああ、本当にな」
「効果的だね」
「実際それで勝った例もあるしな」
 戦争そのものにだ。
「あるな、しかしな」
「それでもだね」
「これは民も国土もな」
「ボロボロにするよ」
「肉を切らせて骨を断つじゃなくてな」
 久志はこの言葉も出した、こちらも損害を受けるが敵に勝敗を決するまでのそれを与える戦い方である。
「そう言ってもな」
「自分も骨をね」
「断たれなくてもな」
「髄まで切られてるよ」
「下手すれば断たれる寸前までな」
「やられてるよ」
「そうだよな」
 淳二にこう述べた。
「ゲリラ戦術なんてな」
「もう満身創痍になってね」
「民も国土もボロボロになっていい」
「それこそ後はどうなってもいい」
「そうした考えでないとな」
「やる戦術じゃないよ」
 ゲリラ戦術はというのだ。
「本当にね」
「そうだよな」
「けれどおいらはね」
「それをしてくるとか」
「考えたけれど」
「そうはしなかったな」
「そうだね」
 こう久志に述べた。 
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