レーヴァティン
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第二百二十話 ハイランダーの影その十三
久志は実際に兵達に玉座を動かさせた、すると玉座は強く動かすと右から左にスライドして動いた。そしてその下に。
「階段があるわね」
「ああ、それじゃあな」
久志は双葉の言葉に頷いた。
「その階段を降りたらな」
「抜け道ね」
「そうだな」
「しかもね」
双葉はここで自ら階段に入った、そしてある程度降りてから久志に言った。
「ボタンがあるわよ」
「ボタンか」
「押してみるわね」
「頼むな」
「それじゃあね」
双葉は久志に応えてボタンを押すとだった。
玉座は今度は左から右にスライドして元の場所に戻った、久志はそれを見て言った。
「ああ、そういうことか」
「その様ですね」
「玉座の下に抜け道があり」
「それで、ですね」
「ボタンを押すともとに戻り」
「隠せるのですね」
兵達も言った。
「考えたものですね」
「そしていい細工ですね」
「確かにこうすればです」
「わかりません」
「そう簡単にはな、そしてその抜け道を使ってな」
「それでよね」
兵達が動かした玉座の下からだ、双葉は出て来て言ってきた。
「敵さんはね」
「抜け道から逃げたな」
「ええ、それで今頃はね」
「もう敵の王様もな」
「家臣や兵の殆どもね」
「逃げたな」
「そうなったわ」
こう久志に話した。
「術で気配を探したらね」
「もう遠くに行ったか」
「何か鎧とか兜まで捨てて」
そうしてというのだ。
「走ってね」
「逃げたか」
「そうみたいよ」
「それで逃げたか」
「ええ、けれど追うわよね」
「追い付けたらだしな、それで抜け道自体もな」
これもというのだ。
「調べる為にもな」
「抜け道に入るわね」
「ああ、出口まで行くな」
「それではね」
「これでリバプールは完全に俺達の手に落ちたけれどな」
宮城の最後の一室であった王の間まで占拠したからだ、敵兵も残っておらずこれでそうなったことは明らかだ。
だがそれでもとだ、久志は言うのだ。
「これはしっかりと調べるな」
「それではね」
「俺も入るな」
こう言って実際にだった。
久志は仲間達と共に抜け道に入った、そうして暗いその道を先に進んでいくのだった。
第二百二十話 完
2021・8・1
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