レーヴァティン
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第二百二十話 ハイランダーの影その九
「俺達にしても」
「そやろ」
「だからだな」
「抜け道もな」
「覚えておくことだな」
「もうけもな」
然るべき場所にというのだ。
「していくしな」
「ここにもだな」
「あるんやで」
「そういうことだな、しかしな」
「しかし?」
「何か俺あまりな」
久志は自分の考えを話した。
「抜け道とかあまり考えてこなかったな」
「ローマの宮殿でもあるやろ」
「あくまでいざって時でな」
「普段から考えてへんか」
「どうもな」
「それはあかんで、何があるかわからんからな」
「だからか」
「抜け道のこともな」
美奈代は真面目な顔で話した。
「ちゃんとな」
「頭に入れておくべきか」
「さもないとな」
「何かあったらか」
「困るで、逃げることもな」
時と場合によってはというのだ。
「大事やしな」
「それでか」
「そや、常にな」
「宮殿にいてもか」
「抜け道のことはな」
「頭に入れておくべきか」
「そやで」
こう久志に話した。
「これからはな」
「それじゃあな」
「そうした意味で忍者屋敷はいいんだよ」
淳二も言ってきた。
「本当にね」
「抜け道がちゃんと用意されていることもか」
「壁をちょっと押したりしたらね」
「底から抜け道でな」
「あと掛け軸を上げると」
「そこにもあるな」
「それから逃げられるからね」
忍者屋敷にはそうした仕掛けが多い、罠で敵を倒すのではなく自分が逃げることを考えてそれで造られているのだ。
「いいんだよ」
「そうなんだな」
「それで王様もね」
「いざって時はか」
「逃げる為にね」
「宮殿にもうけてるんだな」
「そうだよ、ただね」
ここで淳二はこうも言った。
「抜け道が敵に知られるとね」
「その場所がな」
「あまり意味はないよ」
「何処に逃げたかすぐにわかるからな」
「だからね」
それでというのだ。
「抜け道は自分は知っていても」
「おおっぴらにはか」
「知られてはいけないよ」
「あくまで秘密だな」
「あくまでね」
「そうだな、そういえば熊本城にもあったな」
久志は日本のこの城も思い出した。
「そうだったな」
「あのお城だね」
「加藤清正さんが築いたな」
「何でもね」
淳二は熊本城の話を聞いて述べた。
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