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レーヴァティン

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第二百二話 命の重さをその三

「だからだ」
「そんな奴はだね」
「悪事を働いたならな」
「この世界にいたら」
「そうしてやる、断ることはない」
 もっと言えば断わることは許さないということだ。
「この世に人間の姿で生まれて人間の世の中にいたことを後悔させてやる」
「地獄送りだね」
「寸刻みにして魂もそうしてやる」
 それまで嬲り殺しにするというのだ。
「そんな奴はな」
「命を粗末にする奴は許さない」
「そうした奴こそ碌でもないことをするしな」
 法に触れることの中でもというのだ。
「だからだ」
「そうしてやるんだね」
「只の極刑でなくな」
「そこはあたし達の共通した考えだね」
「そうだな、悪党には容赦しない」
 それも一切とだ、桜子も言った。
「何もな」
「それはいいことね、というか」
「悪党に容赦すればな」
「普通の人が困るよ」
「悪党が生きているだけで迷惑を被る」
「牢屋に入れても飯食うし」
「それも税でそうしている」 
 牢も国のものであり税で動かされている、つまり罪人が食う飯も彼等に迷惑を被った民が納めた税によって成り立っているのだ。
 だからだ、英雄はこう言うのだ。
「そんなことは無駄だ」
「まさに税の無駄遣いね」
「死罪を廃止なぞしない」
「即座に殺すね」
「そしてそれが極悪人ならな」
 死罪にする輩がそうであればというのだ。
「その時はな」
「容赦しないね」
「まさにそうしてやる」
 ゆっくりと切り刻んで処刑するというのだ。
「この世に人間として生まれたことを後悔させてやる」
「そうしてやればいい」
 幸正も頷いた、そのうえでの言葉だった。
「命を何とも思わない連中が悪事を働けばな」
「その時にだ」
「そうすればな、法に触れない者は裁けないが」
「この手の輩は必ず働いている」
 法に触れる悪事をというのだ。
「命を何とも思わず自分の娘にそこまで言える奴はな」
「人の心がないからな」
「外道に成り果てているならだ」
 それならというのだ。
「もうだ」
「平然と悪事も犯すな」
「法も守るのではなくだ」
 モラルトしてそうするが、というのだ。世の中法律を守る者もいればそうでない者も存在しているのだ。
「犯してもばれないとだ」
「いいという考えだな」
「そうした連中はな、だから少し探るとだ」
「悪事が出るか」
「そしてそこを衝いてだ」
「始末するか」
「その様な外道は生きる価値はない、害になるだけだ」
 人にとって世にとってそうなるだけだというのだ。
「たかが旅行に行きたいだけで猫を殺すなぞな」
「しかも娘さんに選べ、か」
「自分が旅行に行きたいからな」
「殺すか自分の快楽を選べか」
「娘の為でなくな」
「そうした輩はだな」
「悪事を働かない筈がない、良心なぞないからだ」
 良心がないからこそそうしたことが出来るというのだ。 
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