レーヴァティン
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第二百二話 命の重さをその四
「そんな奴は誰かの為に何かをしない」
「自分の為にだな」
「あらゆるものを犠牲にしてだ」
「私利私欲を貪る」
「そうした奴はいてはならない」
この世にというのだ。
「だから俺はそんな奴は許さない」
「一切だな」
「猫や娘さんに代わってだ」
「成敗するか」
「殺す」
成敗ではなかった。
「その全てを潰してやる」
「何故そこで成敗と言わない」
「成敗は人に対してするもだと俺は考えている」
「外道の場合はか」
「殺す、いや消毒と言うべきか」
「外道は即ち汚物だからか」
「汚物は消毒するしかない」
選択肢は唯一というのだ。
「だからだ」
「それでだな」
「そうした奴はな」
「消毒か」
「税は民からのものだ、民を害する奴を税で養うものか」
「そしてその消毒の仕方もか」
「徹底的に苦しめる」
その様にするというのだ。
「それが俺の考えということだ」
「我も同じだ、ではな」
「そうした奴を見付けるとだな」
「我ならヤツメウナギの餌にするのもいいと思うがな」
血を吸う水棲生物である、鰻というが鰻ではない。干したものを目の薬ビタミンA不足による鳥目のそれにする場合もある。
「それもな」
「それも悪くないな」
「ゆっくりを血を吸わせて死なせるのもな」
「では今度してみるか」
その処刑の方法もというのだ。
「極悪人は精一杯苦しめる」
「そうして死なせるべきだからな」
「消毒の仕方としてはいい」
「ではな」
「今度実際にしてみるとしよう」
その処刑の仕方もというのだ。
「是非な」
「ではな」
「しかし。悪人も何処にでもいますね」
良太は眉を曇らせて述べた。
「まことに」
「それはそうだな」
「このことは残念ですね」
「残念でもだ」
「現実ですね」
「受け入れるしかないな」
そうしたというのだ。
「そうしたものだ」
「悪人がいるということも」
「善人もしてだ」
そうしてというのだ。
「悪人もだ、しかもな」
「唾棄すべきレベルの輩もまた」
「生きながら餓鬼道に堕ちた様なな」
「まさに今話している輩ですね」
「そうだ、命を粗末にしてだ」
それだけでも許せないと、とだ。英雄は話した。無表情なその中にも確かな善悪の見極めがあるからこそ言うのだ。
「そうしてだ」
「娘さんを泣かせる」
「自分の些細な欲の為にな」
「そうしたことが出来る輩が」
「こうした人間の姿形をしているが」
「餓鬼に堕した様な輩も」
「六道は離れている様だが」
天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、そして地獄道だ。仏教の世界観ではそれぞれ六つの世界に分かれているのだ。
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