ロックマンX~Vermilion Warrior~
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Mission:18 野望
デプスドラグーンを退けたエックス達はリディプスの執務室に向かう。
最後の扉を潜ると、ギガンティスに向かう前にエックス達を迎えた時と変わらない眺めだった。
エックスとゼロとルインは、あの日と同じようにリディプスと向かい合っていた。
違っているのは、シャドウの代わりに今はアクセルが横にいて、4人には既に上官に対しての尊敬や敬意はなく、敵意と怒りを表していることだった。
「ほう、エックス!それにルイン達とレジスタンスの諸君。素晴らしい…生きていたのか」
リディプスは怒りに震えるエックス達を振り返りもせずに言った。
無警戒のようにリディプスはエックス達に背を向けていたが、まるで隙がない。
「何を言ってるの!?私達やギガンティスのみんなを裏切っておいて何様のつもりなの!?」
リディプスは背後からのルインの罵倒を平然と背中で受け止め、含み笑いを漏らした。
「私が何か?そうだな…。“神”かな?かつてのシグマやルミネを含めた新世代型レプリロイドですら到達出来なかった。全レプリロイドの頂点に立つ者だ。」
「な…っ!?」
その発言には、流石のゼロも絶句するしかなかった。
答えを聞いたルインは鋭くリディプスを見据え、シナモンは狂人を見るような目でリディプスの背中を見つめ、マッシモとマリノも目を見開いた。
一体、リディプスの頭の中では、どのような狂った妄想が繰り広げられているのだろうか。
「……リディプス大佐…説明してもらえますか?私達は、あなたの命令でギガンティスに行きました。イプシロンを倒し、リベリオンを壊滅させ、反乱を防ぎました。それも全て罠だったんですか?」
リディプスのあまりの発言によって逆に冷静になったルインの質問に、リディプスは声を上げて笑った。
「ハッハッハッハッハッハッ…。そうだな、イプシロンを倒してくれたことには感謝せねばな。おかげで私は目的を果たせたわけだからな」
リディプスが高笑いするなど、以前では考えられないことだが、その笑い声は邪悪な響きがあった。
「答えろ!何を企んでいる!?」
エックスの怒りに満ちた声が執務室に響き渡った次の瞬間、リディプスが口を開いた。
「言ったろう。私は神になると」
「ふざけるな…!」
怒りで全身から抑えきれなくなったエネルギーが迸り始めており、今にもゼロはリディプスに斬りかかりそうな状態だ。
「勇ましいな。イレギュラーハンターとレジスタンスの諸君。私をどうしようと言うのだね?」
受け入れ難いが、もはやリディプスの思考は異常だ。
エックスが右腕をターボバスターに変型させるとリディプスの背中に向けた。
「リディプス!お前は…、お前は……イレギュラーだ!!」
イレギュラーと宣告した瞬間、リディプスがエックス達を振り返ると、みるみるうちにリディプスの端正な顔が醜悪に歪んだ。
「私がイレギュラーか…愚かな。私からすればお前達の方がイレギュラーに見えるがな。まあいい、イレギュラーの烙印を押されて死ぬがよい!」
背部のユニットから2本のサーベルを引き抜くと、リディプスは力を解放した。
「まさか、リディプス大佐がこんなふざけたことを考えていたなんて…」
アクセルがオートバレットを抜くと、複雑そうな表情でリディプスに向けた。
流石のアクセルも上官のイレギュラー化にショックを隠せないようだ。
「私達は何のために戦ってきたの…?」
「ハハハハハハハ…!全て私のためさ、イレギュラーハンターとレジスタンスの諸君!新しい、神のため…!」
リディプスの高笑いと共に連邦軍主力メカニロイド・レッドホイールが出現した。
「まずはレッドホイールから蹴散らさないと!!」
「行くよマッシモ、シナモン。ルイン達を援護するよ!喰らいな!!」
ルインがZXバスターのショットで1体ずつ破壊していき、それに続くようにレッドホイールに向けてアイスコメットを投擲するマリノ。
流石に連邦軍主力メカニロイドなだけはあり、一撃では倒せないが、アイスコメットを受けて凍結したレッドホイールにマッシモとシナモンが前に出る。
「ギガンティスで殺されたレプリロイド達の仇だ!!」
「絶対に許しません!!」
アイスコメットで凍結したレッドホイールをマッシモとシナモンが破壊する。
「エックス!雑魚は俺達に任せろ!エックス達はリディプスを!」
レッドホイールの相手をマッシモ達がしているうちにリディプスに挑むエックスはエネルギーチャージを終えたバスターをリディプスに向ける。
「すまない!喰らえ!!」
リディプスに向けてショットが放たれた。
ジェネレータとパワーチャージを併用した一撃なのでまともに喰らえば相当のダメージは見込める。
「甘いぞ!!」
リディプスのサーベルから衝撃波が繰り出され、ショットが粉砕された。
「なっ!?」
「エックス!」
ルインがZXセイバーを構えてチャージセイバーでエックスに迫る衝撃波を相殺すると、今度はルインが攻撃する。
「ふん、怒りで太刀筋が甘いぞ。」
「だけど私だけに気を取られてて良いの?」
「何?」
「相手はルインだけじゃない!零式乱舞!!」
紅蓮剣を構えたゼロがダッシュで距離を詰めると連続攻撃をリディプスに叩き込む。
「ぐあああああっ!!」
「貴様は絶対に許さんぞ!!零式兜割!!」
最後の一撃に回転斬りを喰らわせると、リディプスが勢いよく吹き飛ぶ。
「喰らえリディプス!!」
先程は防がれてしまったが、吹き飛んでいる状態では防ぎようがないと判断したエックスは再びショットを放ってリディプスに直撃させる。
「まだまだ!!」
ショットを喰らってダメージを受けているリディプスにルインも続くようにショットの連射を喰らわせる。
「これしきのことで!」
しかしリディプスも流石と言える。
ショットの連射の波状攻撃を受けているにも関わらず、動きが全く衰えていない。
「変身、エンシェンタス!阿修羅ナックル!!」
しかしアクセルもエンシェンタスに変身して誘導エネルギー弾を6発、リディプスに喰らわせた。
「己…新世代型のプロトタイプが…」
「プロトタイプで結構!大体あんた1人で僕達に敵うと思ってるのかな?」
レッドホイールはマッシモ達が相手をしているために実質5対1だ。
確かにリディプスの実力は凄まじいが、イプシロンやスカーフェイスと比べれば見劣りするくらいの敵だ。
「くっ…ならば…」
突如リディプスの姿が消え、突然のことに目を見開くがアクセルは原因に気付く。
「光学迷彩だ!気をつけて!!」
「みんな伏せろぉっ!!ベルセルクチャージ!!」
マッシモ達もレッドホイールの相手を続けていたが、無尽蔵に現れるレッドホイールと姿を消したリディプスに危機感を抱いたマッシモが自身の必殺技で薙ぎ払うように放って吹き飛ばす。
「ぬおおおおっ!!」
「そこだっ!!」
リディプスの声が聞こえた方角にエックスがチャージショットを放った。
マッシモとエックスの必殺の一撃をまともに受けたリディプスは光学迷彩を解除し、そのまま膝をついた。
「……あれを受けて生きてるなんて……流石は極東司令部の司令官…でも、あのダメージなら……」
「もう戦えないだろう」
リディプスは膝をつき、体中から火花を散らしていた。
ルインの言う通り、生きてるだけでも凄いが、そのボロボロの姿はゼロから見てもほぼ戦闘不能に思えた。
「こんなにも嬉しくない勝利は初めてだよ。私達は何のために戦ってきたの…」
やり切れない怒りを抱えながらリディプスに近寄り、セイバーを向けるルイン。
「先程も言ったが、全て私のためさ、イレギュラーハンターとレジスタンスの諸君。新しい…神のため…!」
痛みに喘ぎながらも嘲笑を浮かべるリディプスにセイバーを握る手に力が入る。
「こんな…こんな人のために…スパイダーやセントラルタワーにいた市民のみんなは…!」
神になるなどというふざけた野望のために、ギガンティスのレプリロイド達を裏切ったイレギュラー。
しかし、リディプスを処分しても失った仲間やセントラルタワーにいた市民が戻ってくるわけではない。
「ククク…ハハハハハ…ハァーッハッハッハッハッハッハッ…!」
不意にリディプスは声を上げて笑い始めた。
「何がおかしいの!?」
鋭くリディプスを睨み据えるルインに対してリディプスは嘲笑を浮かべながら口を開いた。
「スパイダーか!」
突然、リディプスの体から青白い光が溢れ出し、ルインは見慣れた光に目を見開いた。
「この光…それに…!?」
「スパイダーというのは、俺のことかいお嬢さん?」
スパイダーとなったリディプスは気障な口調でルナに言った。
悪戯っぽい笑顔も何もかも同じであった。
「そ、そんな…ま、まさか…」
「その通り、正真正銘の“俺"さ!」
カードスリットからカードボムを1枚抜き取り、ルインに向けて投擲した。
「きゃあっ!?」
まともに喰らってしまったルインは勢いよく吹き飛ばされるが、ゼロが受け止めてくれた。
言葉を失い、その場に立ち尽くすエックス達の目の前で、スパイダーは再びリディプスの姿に変化した。
「全く、お前達の友情ごっこに付き合うのは反吐が出そうだったが…。我が目的のため、超フォースメタルのためだ!」
「その能力は僕達と同じ…!」
アクセルが動揺しながら言うとリディプスは嘲笑を浮かべる。
「お前ら間抜けには分からんと思うが、このコピー能力を超フォースメタルで強化すると、私は最高の存在に…。何者も達し得ない頂点に昇ることが出来るのだ!」
その言葉を聞いたエックス達の間に戦慄が走った。
超フォースメタルと新世代型レプリロイドのコピー能力。
現在の脅威と100年前の脅威が1つになろうとしている。
しかし、ゼロはすぐさま冷静さを取り戻してリディプスを睨み据えた。
「リディプス…スパイダーは…オリジナルのスパイダーはどうした?返答次第では許さんぞ…」
「スパイダーか…奴には随分と助けられたな。かつて私はギガンティスのラグラノ研究所にいたことがあってな。そこで用心棒として雇われていた奴はラグラノ研究所で行われていたフォースメタルの研究とコピーチップの再開発の記録が入ったマスターチップを奴の仲間と共に盗んで逃げたのだが…」
リディプスの嘲笑が深くなる。
その嘲笑はオリジナルのスパイダーに向けられているのだろう、それに気付いたゼロの表情はより険しくなる。
「……………」
「スパイダーは自分を庇って損傷した仲間を庇いながら私と戦い、死んだよ。アッサリとな、足手まといの仲間を見捨てて逃げれば生き延びられたものを、救いようのない馬鹿とは正に奴のことを言うのだろうな。ハァーッハッハッハッハッハッハッ…」
「貴様…っ!」
恐らく損傷した仲間と言うのはエールのことだろう。
仲間を思いやるスパイダーの心を踏みにじるリディプスにゼロは拳を握り締めた。
「とまあ、オリジナルのスパイダーなど最初からどこにもいなかったのだよ。仲間と信念を重んじる性格である賞金稼ぎのスパイダーの愚かな姿は正にお前達をコントロールするのにうってつけの存在だったのだよ」
「嘘です」
「む?」
全員の視線がシナモンに集中した。
「私の知っているあのスパイダーさんは時々怖い時もあったけど、凄く優しい目をしていました」
「馬鹿な小娘だ。先程の話を聞いていたのか?」
「聞いてました。でもあなたが本当にスパイダーさんに変身していたならどうしてレジスタンスのみんなを勇気づけてたんですか?」
その言葉にハッとなるのはマッシモだった。
「確かに、スパイダーは基本的に俺達と一緒のミッションだ。エックス達や俺達はともかく、他のレジスタンスメンバーにまで気をかける必要はない」
「確か、僕もエアシティに行った時、困っていた市民を助けていた。超フォースメタルを狙っていたあんたからすればする必要もないことだよね?」
「っ……」
マッシモ、アクセルの言葉にリディプスは不愉快そうに表情を歪めた。
「シナモン、スパイダーの変化はどれくらいの頻度だった?」
「えっと……あまり変わることはなかったです。本当に時々で……」
「なるほどね、リディプス大佐。僕はあんたのもう1つの正体に気付いたよ。あんた、僕とルナと同じ新世代型レプリロイドのプロトタイプでしょ?しかも変身すると人格までコピー元に上書きされる欠陥持ち」
「き、貴様…!」
全員が目を見開いてリディプスを見つめ、その視線を受けたリディプスの表情が屈辱で歪んだ。
「どういうことだい?」
「前にマリノさんにも説明したよね?新世代型レプリロイドのプロトタイプには変身するとコピー元の人格に上書きされる奴がいるって、正にそれがリディプス大佐なんだよ。それならシナモンやマッシモが言っていた事とか、僕が見たものに対しての説明がつくんだよ。シナモンの言う通りなら時々はリディプス大佐の人格が浮上していたんだろうけど…」
「えっと、それはつまり?」
「ようするに、僕達といたスパイダーはほとんどリディプス大佐じゃなくてオリジナルのスパイダーの人格だったんだよ。リディプス大佐はリディプス大佐の人格が浮上した時くらいしか介入はしていない。」
「なるほどね、じゃあスパイダーとしては嘘ではなかったってことかい……」
「そういうこと」
「スパイダーは…俺達を裏切ってはいなかったんだ……リディプス!!」
視線をリディプスに向けると、同時にエックスはバスターをリディプスに向けた。
「俺はお前を許さない!スパイダー達の仇を今ここで!チャージショット!!」
「チッ!出でよレッドホイール!!」
咄嗟にレッドホイールを召喚し、チャージショットの盾にするリディプス。
そしてこの場に大量のレッドホイールを召喚すると転送システムの方に駆けていく。
「いくら貴様らが足掻いたところで無駄だ!全て…、全てが無駄に終わるのだよ!!」
転送システムに乗り込むと、リディプスの姿が消えた。
エックス達はしばらくの間、レッドホイールの相手をすることになり、倒した後にエックス達も転送システムに乗り込んで、かつて“ヤコブ”と呼ばれていた軌道エレベーターは“バベル”と改修と同時に改名された内部にいた。
執務室の転送装置は、軌道エレベーター内部に通じていたのだ。
「レッドホイールの相手で余計な時間を取られちゃったね…早くしないと超フォースメタルを利用されるか逃げられちゃう!」
「落ち着くんだルナ!どこに逃げようと必ず見つけてみせる。今はリディプスに超フォースメタルを使われないようにしないと!!」
「そうだね、お宝の超フォースメタルをリディプスから掻っ払って、リディプスの泣きっ面を拝んでやるさ!」
「リディプスの泣きっ面か…それは見てみたいな…」
「だろう?」
マリノとマッシモの言葉に全員の緊張が解れていくのを感じた。
「それにしても…」
「?」
ゼロの呟きが聞こえたルインがゼロの方を向くと、全員の視線がゼロに集中した。
「いや…俺はもう新世代型レプリロイドのプロトタイプはアクセルとルナしかいないものだと思っていたんだが…。まだ存在していたとは…」
「うーん…プロトタイプの生き残りが認知されていないのは仕方ないと思うよ?新世代型レプリロイドのプロトタイプの製造は一部の研究所で秘密裏に行われていたようだからね。僕も本当に驚いたよ…とにかく急ごうか!」
アクセルの言葉に同意するかのようにエックス達も走る速度を速める。
そして一本道の通路の先にあるエレベーター乗り場に辿り着き、それに乗り込んだ。
少しの間を置いてエレベーターが上に動いていき、そしてブルーアースロードに繋がる転送ルームに辿り着くと、そこにある転送システムに乗り込んでブルーアースロードに向かう。
そして転送システムから出るのと同時にブルーアースロードの通路を駆け、全員のエネルギー感知器がリディプスらしき反応を捉えていた。
間違いなくこの先にリディプスがおり、最深部から感じる強大なエネルギーは寧ろ己の存在を隠すどころか誇示しているかのような傲然としたエネルギー反応。
しかもリディプスの近くに強大なエネルギー反応が2つもある。
「この感じは何なの…?」
「恐らくは超フォースメタルだ。イプシロンの超フォースメタルとミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタル…。やはりリディプスが回収していたか」
ルインの疑問にゼロが答え、その答えの証明かのように近付けば近付く程、凄まじい威圧感がエックス達を襲う。
しかしもう後には引けないため、エックス達はブルーアースロードの通路を一気に駆け抜けた。
そして見渡す限り、黄金色に彩られた実験場のような場所でエックス達はリディプスと再会した。
リディプスは全ての外装を取り払ったような姿で巨大な機械に植えつけられており、頭部にはアクセルの額のコアに酷似した物がある。
「神の御前だぞ。跪いたらどうだ?」
こちらを見下ろしながら言うリディプスに全員が目を険しくした。
「リディプス。お前は超フォースメタルを手に入れるため、俺達を利用したんだな?」
「そうだ。イプシロンの奴が上手く隠していたのでね。君達のような優秀なレプリロイド達に働いてもらったのだ。」
エックスは眩しいドームの天井を見上げた。
そこには2つの超フォースメタルが美しい黄金色に光り輝いており、左右の超フォースメタルは、色も形も大きさも全く同じだった。
あのどちらかがメルダ鉱石プラントのミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタルで、イプシロンの心臓であった超フォースメタルなのだろう。
「…確かに、イプシロンの考えは危険だった。超フォースメタルを進化に使うことは、イレギュラーを生み出す可能性があった…だけど…!」
エックスは無意識に拳を握り締めていた。
確かにイプシロンもレプリロイドの進化という願望に取り憑かれていたが根本的にリディプスの抱いている物とは違っていた。
「…だけど、お前のように、最初っからイレギュラーだったわけじゃない!リディプス、お前は狂ってる!!」
怒りと共に腕をバスターに変形させてリディプスに向けると、リディプスはそれを嘲笑いながら静かに口を開いた。
「フハハハハハハ…。そのイプシロンは君に言わなかったかね?イレギュラーかどうかは、歴史だけが決められることだと!レプリロイドが、より高い能力を求め進化する…。それは自然なことだ。違うか?」
リディプスはこちらを睨み据えるエックス達を卑下すると、高らかに宣言した。
「私は宇宙にて、究極の進化を遂げるのだ!!」
「宇宙!?」
施設全体が激しく揺れ始めたことにエックス達は驚き、思わず周囲を見回した。
「ファッハッハッハッハッハハハ…!驚くことはない。まだこれからだ…。君達は神の奇跡を目にする初めての者となるのだ…!!」
リディプスの変身能力と2つの超フォースメタルが共鳴を起こし、辺りは眩い光に包まれた。
光が消失して全員が目を見開いた瞬間、全員が目を見開いた。
目の前には機械と生物がごっちゃになったような、巨大な竜を思わせるような異様な物体となったリディプスがこちらを見下ろしていた。
リベリオンにも巨体を誇る敵はいたが、流石にこれほどの巨体は100年前のカイザーシグマとファイナルシグマWくらいであろうが、リディプスから発せられるエネルギーはその比ではない。
胴体から伸びた細長い首の先に、辛うじてリディプスだと分かる顔があった。
「私の欠陥は変身するとコピー元のレプリロイドの人格になってしまうということを除けば、完璧な新世代型レプリロイドと比べても遜色のない能力を持っていた。超フォースメタルの力でそれは解消され、コピーチップに刻まれたレプリロイドのデータを超フォースメタルの力で解放すれば、かつての高性能レプリロイドを遥かに超越することが可能となる。今の私は全てを支配する者…、即ち神である!!」
凄まじい威圧感に体が震えそうになるが、それを振り払うようにルインがバーニアを噴かしてダッシュした。
「ふざけないで!チャージセイバー!!」
「ふはははは!その程度の攻撃では今の私には掠り傷すら付けられんぞ!!」
「そんなっ!?」
「離れるんだ!!」
ルインのチャージセイバーでも掠り傷すら付かないことに目を見開きながらもエックスはバスターを向けてショットを放つが、リディプスの全身を覆うバリアで弾かれる。
「あ、あれは!?イプシロンと同じ!?」
「だが、強度が桁外れだ…」
「当然だ…私は超フォースメタルが2つもあるのだぞ。イプシロン如きと一緒にされては困る」
「くそっ!ここまで来てやられてたまるか!!ハイパーモード・ブラックゼロ!零式乱舞!!」
ハイパーモードを発動してリディプスに斬り掛かるが、リディプスの超フォースメタルのバリアは貫けない。
リディプスはそれを嘲笑うように腕を振るうと、全員が薙ぎ飛ばされた。
「痛っ!!」
「ぐっ!ならこれならどうだ!ハイパーモード・ダイモニオン!!ベルセルクチャージ!!」
叩き付けられたシナモンが叫ぶ。
マッシモはすぐさま起き上がってハイパーモードを発動すると、リディプスに向けて高出力レーザーを放つ。
しかしそれもバリアで弾かれてしまう。
「デウス・エクス・マーキナー!!」
こちらに降り注ぐメテオに全員が目を見開いたが、エックスは即座に迎撃する。
「チャージショット!!」
チャージショットでメテオを砕いた直後にリディプスの両肩の超フォースメタルが輝いた瞬間、エックス達を灼熱の業火が焼く。
「熱っ!?超フォースメタルも攻撃に使えるってのかい!?」
「こんの…変身、ナインテイルズ!滅殺波動拳!!」
ナインテイルズに変身し、リディプスに滅殺波動拳を繰り出すが、ナインテイルズの技を持ってしても超フォースメタルのバリアは破れない。
「ギガンティス最強の格闘家、ナインテイルズか…しかしいくらナインテイルズであろうとも超フォースメタルのエネルギーバリアを破ることは出来ん。」
「なら…ルイン!!」
「これを喰らっても、同じことを言える!?ハイパーモード・OXアーマー!裂光覇!!」
リディプスの頭上から光が無数の降り注ぐが、超フォースメタルのバリアの前には裂光覇だけでは力不足である。
「零式兜割!!」
「ハイパーモード・Xファイア!チャージコレダー!!」
ルインに続くようにバリアにハイパーモード状態の2人の大技が炸裂し、バリアが砕け散ってリディプスに炸裂して爆煙が上がる。
「やったんでしょうか…?」
煙が晴れていくと、3人の同時攻撃でいくらか傷付いたリディプスの姿があった。
「やった!倒せちゃいないけど、攻撃が効いてるよ!!」
「よっしゃあ!なら、一斉攻撃だ!!」
「よーし!行くぞ!!」
マリノとマッシモがバリアの破壊に喜び、アクセルが追撃をしようとオートバレットを乱射するが、復活したバリアに弾かれてしまう。
「なっ!?もう復活しちまったのかい!?」
「馬鹿な……イプシロンでもそんなことは…」
「忘れているようだが、私はイプシロンとは違い、2つの超フォースメタルを持っているのだ。変身により、イプシロン以上の強靭な肉体と新世代型レプリロイドの耐イレギュラー化性能により負荷無しで超フォースメタルの持つ力を100%引き出しているのだ!!」
そしてリディプスの傷はみるみるうちに塞がってしまう。
超フォースメタルにより、強力な自己治癒能力も得てしまったのだ。
「消え去れ!!」
反撃とばかりにエックス達に向かってリディプスの掌から高出力レーザーが放たれた。
「ぐっ!!」
すぐさま防御体勢を取るエックスはレーザーによっていくらか後退したが耐え抜いた。
「ほう…だが、何度も耐えられまい!!」
リディプスの掌からダメ押しとばかりに高出力レーザーが連射される。
「ぐあっ!!」
これには流石に耐え切れずまともに喰らったエックスが吹き飛ばされた。
「この…木偶の坊!!」
憤怒の表情でリディプスにオートバレットを乱射するが、威力が低いオートバレットのエネルギー弾では超フォースメタルのエネルギーバリアは貫けない。
「この野郎!!」
マリノがビームチャクラムで攻撃するが、バリアに傷すら付けられない。
「弱い、弱すぎる!デウス・エクス・マーキナー!!」
リディプスはアクセル達の無意味な攻撃を嘲笑うと、再びエックス達にメテオが降り注ぐ。
「くそっ!ベルセルクチャージ!!」
マッシモが前に出ると、メテオに向けて高出力レーザーを放つことでいくつかはメテオを粉砕したが、残りのメテオが降り注いだ。
「うっ!!」
「うわああああ!!」
「ぐおおおおっ!!」
「アクセルさん!マリノさん!マッシモさん!!」
メテオをまともに喰らった3人が吹き飛ばされた。
吹き飛ばされて瓦礫に埋もれてしまった3人を助けようと駆け寄るシナモンであったが、リディプスはそんなシナモンに高出力レーザーを放った。
「きゃあああああっ!!」
「ルインさん!?」
「ルイン!!」
シナモンを庇って、代わりに高出力レーザーを背中にまともに喰らったルインはうつ伏せに倒れた。
「くそ…っ、許さんぞリディプス!!」
紅蓮剣を構えるゼロ。
この武器の火力は凄まじいが、防御力が著しく下がるデメリットがある。
しかしリディプスのような相手では通常のレプリロイドの防御力などあって無いような物だ。
紅蓮剣に全エネルギーを収束させながら、ゼロはダッシュでリディプスに突撃する。
「愚かな、血迷ったか!デウス・エクス・マーキナー!!」
再び降り注ぐメテオ。
ゼロは喰らっても構わないと言わんばかりに致命傷を避けながら接近した。
「喰らえリディプス!零式兜割!!」
「なっ!?ぐあああああああ!!」
捨て身の紅蓮剣の一撃は超フォースメタルのバリアとぶつかり合って拮抗するが、紅蓮の刃はバリアを粉砕しながらリディプスに炸裂した。
「くっ…、やった…?」
何とかダメージから立ち直り、目を覚ましたエックス。
「はあっ!!はあっ!!」
ダメージによって膝を着くゼロ。
いくら致命傷を避けたとは言え、防御力を失った状態で攻撃を受けたのだ。
アーマーの所々から火花が出ており、負荷を軽くするためにハイパーモードを解除した瞬間であった。
「ふ、ふふふ…今のは少し焦ったぞ…」
「な…っ!?」
「そ、そんな…」
「バリアとの激突で、威力が落ちていたのか…!?」
「この程度では私を倒すことなど不可能だ。」
「ゼロさん、今回復を…」
「余計な真似をするな!」
「きゃあああああっ!!」
リディプスの高出力レーザーがシナモンに炸裂し、シナモンは勢い良く吹き飛ばされた。
「シナモン!」
「く…っ!よくも…」
ボロボロになりながらも立ち上がろうとするエックスを嘲笑うリディプス。
「ハハハハハ…なんと貧弱なことか!分かるか?これが究極の力…神の力だ!」
リディプスは細い首を伸ばして、背後の地球を見遣る。
「見よ、我が手にはこの星すらちっぽけだ。私は世界を統べる神となったのだ!フハハハハハ、ハッハッハッハッハッハ!!」
「くっ…!お前の好きになど、させるものか!!」
「このまま、やられてたまるか…!!」
エックスとゼロが起き上がり、バスターと紅蓮剣をリディプスに向けた瞬間、リディプスの掌から放たれた高出力レーザーがエックスとゼロに炸裂した。
「ぐあっ!」
「ぐっ!」
「大人しくひれ伏しておれ!!」
再び地面に倒れたエックスとゼロ。
2つの超フォースメタルの恩恵により圧倒的な力を得たリディプスの猛攻により、エックス達は全員倒れてしまったのだった。
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