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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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Mission:17 反逆

ガウディル研究所の転送システムによるステルス転送で極東司令部に辿り着いたエックス達は何とか気付かれず進むことが出来た。

「何とかここまで来れたな…それにしてもリディプスの奴は何を考えているんだ!」

「そうですよ!エックスさん達もギガンティスのみんなも…」

「エックス、あのクソ野郎をとっちめてやろうじゃないか!」

「ああ、行くぞ!みんな力を貸してくれ!」

リディプスの真意を知るためにエックス達は突入して司令部内部に入り、通路を駆け抜けて扉を潜る。

するとそこには目を疑う存在が佇んでいた。

「っ、こいつは!」

「リベリオン幹部、ワイルド・ジャンゴーか!?」

初めて戦ったリベリオン幹部のためにエックスとゼロにとって印象深い存在だ。

「ギ、ギニャアアアアアッ!!」

「っ!!」

ジャンゴーはエックスを標的にしたのか電閃ネイルで引き裂こうとしてくる。

「この技、間違いない。ジャンゴーだ!」

「ジャンゴーのデッドコピーか?」

「多分、僕やルナと同じコピー能力か何かでジャンゴーの能力を写し取ったんだな…シグマの奴を思い出させるようなやり方だね」

「ゴアアアアッ!!」

キャプチャーを投擲するが、エックスはターボバスターを構えてショットでそれを弾き飛ばす。

「どうやら攻撃手段はオリジナルと変わらないようだ」

「ならば話は早い。さっさと片付けるぞ!」

オリジナルとほぼ変わらない戦闘力だが、やはりデッドコピー故にどこか動きが単調であり、こちらが複数であることもあってジャンゴーのコピーは容易く撃破された。

「何事だ?」

異変に気付いたリディプスは極東司令部にいる自分の部下に尋ねた。

『何者かがビルに侵入した模様です!』

極東司令部に配置されたリディプスの部下が伝えた。

「ふむ…。リベリオンの生き残りか?構わん、相手はどうせイレギュラーだ。逮捕の必要はない。発見次第、破壊せよ!」

指示を出した後にリディプスは窓を見遣ると、今から約100年前に起こった新世代型レプリロイドの反乱の原因の1つと言える、かつては“ヤコブ”と名付けられ、人類救済のために創られた軌道エレベーターを見つめる。

「もうすぐ、この私はシグマやかつての新世代型レプリロイドですら到達出来なかった高みに昇るのだ!邪魔はさせん。フハハハハ…」

軌道エレベーターを見つめながらリディプスは不適に笑った。

「それにしてもジャンゴーのデッドコピーがあるなんてね…何か大きな裏がありそうだよね」

場所は戻り、ルインがジャンゴーのデッドコピーの残骸を見つめながら呟く。

「とにかく、リディプスを捕まえよう。何を企んでいるにしても、奴の好きにはさせない…!」

「うん…」

イレギュラーハンターであるために何度も通ったことのあるエックス、ゼロ、ルイン、アクセルの案内があったために迷わずに先を進むことが出来た。

「この扉を潜れば…あれ?ロックされてる?」

アクセルが全く動かない扉を調べるが、ビクともしない。

「本当ですね。私達のことがバレてセキュリティが強化されちゃったんでしょうか?」

「いや、こんなシグマの真似事をするような奴の考えだ。恐らくはいるんだろうな」

「何がだ?」

「こういう高性能型レプリロイドのデッドコピーを用意するような奴の考え方なんてお見通しだよ。今までの経験からして、多分他にもデッドコピーがいるはずだよ…恐らくはこれだろうね」

ルインが指差した先には枝分かれした通路にある転送システム。

「よし、調べてみよう。もし、リベリオン幹部のデッドコピーがいたらそいつを倒す。」

「そうだな、エックスはここで転送システムを守っていろ、万が一転送システムが破壊されれば転送先から戻れなくなる」

マッシモに同意しつつゼロが万が一を考えてエックスを転送システムの警護に回す。

「分かった、気を付けてくれ」

エックスも頷いてゼロ達を待つことになった。

そして転送されたマッシモは転送システムから出ると通路を歩き、扉を抉じ開けた。

「グ…グオオオオッ!!」

「シルバー・ホーンドか…まさか俺の相手があいつのデッドコピーとは…俺はあれから強くなった!覚悟しろシルバー・ホーンド!!」

師である勇者マッシモの仇、シルバー・ホーンドのデッドコピーにジェットギロチンを構えるマッシモ。

「行くぞ!!」

「グオオオオッ!!」

マッシモとホーンドが同時に動き出し、ぶつかり合うと力比べを始める。

「ぐ…おおおおっ!!」

「グオアアアアッ!!」

しばらくは拮抗していたが、徐々にマッシモが押し始めた。

「パワー全開!どおりゃあああああっ!!」

マッシモが腕に全パワーを回し、自分よりも大型のホーンドの巨体を投げ飛ばす。

「グオッ!?」

「どうだシルバー・ホーンドの偽物!お前のオリジナル譲りのパワーも今の俺からすればこんなもんだ!!」

デッドコピーとは言え、以前は怒りでマッシモのパワーが上がっていた状態でハイパーモードを使うほどのパワーを誇ったホーンドを通常状態で投げ飛ばした今のマッシモはホーンドの実力を上回っていた。

「グオオオオッ!!」

前屈みになり、頭部の砲門をマッシモに向けて必殺のアビスプレッシャーの発射準備に入るホーンド。

しかし、アビスプレッシャーの弱点を知っているマッシモは発射寸前に跳躍してホーンドのがら空きとなっている背中にジェットギロチンによる一撃を喰らわせる。

「感情も何もないデッドコピーのせいかもしれんな。オリジナルと同じミスをするとは、お前に対しては手加減など必要ない。とどめだシルバー・ホーンド!全リミッター解除!!」

翼に今までとは比較にならないエネルギーが収束されていく。

「ベルセルクチャージ!発射!!」

全リミッターを解除したベルセルクチャージの一撃がホーンドのデッドコピーを粉砕した。

「鋼鉄のマッシモを相手にするにはパワーが足りん!!」

ホーンドのデッドコピーに勝利したマッシモはジェットギロチンを天に掲げながら叫んだ。

一方でマリノとシナモンはサイケのマッドノーチラスのデッドコピーと対面していた。

「ヒャ…ヒャ~ッハッハッハッ!!」

「ふん、面白いじゃないか。デッドコピーとは言えまたあんたと会うとはね…Dr.サイケ!もう一度地獄に送り返してやるよ!!」

「私だって…前みたいに守られるだけじゃないんだから!!」

ビームチャクラムとにゃんこグローブを構えてマッドノーチラスのデッドコピーに向かっていき、マッドノーチラスの攻撃を懸命に防ぐ。

「(隔壁を閉じている間、こいつには一切の攻撃が通用しない。隔壁が開かれるまでこいつの耐えきらないと話にならない)」

「マリノさん!!」

「シナモン、こいつに飛びっきりの一撃をかますから、回復頼むよ!」

「はい!エンジェリックエイド!!」

シナモンを庇いながら戦っているマリノをエンジェリックエイドで回復する。

マッドノーチラスのデッドコピーの戦闘力自体はオリジナルと同じだが、知性を省き、単純に姿と性能だけを再現したためか、単純な攻撃しかしない。

故にオリジナルなら常に気をつけていた弱点の露出も平気でする。

「ヒャ~ッハッハッハッ!!」

「早速チャ~ンス!ハイパーモード・クイックシルバー!リベンジハリセン!!」

今までのマッドノーチラスから受けた全てのダメージを一撃の攻撃力に変換するリベンジハリセンの一撃はマッドノーチラスの隔壁を吹き飛ばした。

「もうハイパーモードを使わなくても充分!ミラージュダイブ!!」

「バイタルスクラッチ!!」

ハイパーモードを解除したマリノとシナモンが弱点が露出したマッドノーチラスを攻撃する間を与えないように攻撃していく。

「ワ、私ノ最高傑作ガ…」

感情のない声で呟くと、マッドノーチラスは爆散した。

「やった~!!」

「ざまあみな!デッドコピー野郎!!」

互いに満面の笑みを浮かべながらハイタッチするマリノとシナモン。

そしてアクセルはマッハ・ジェントラーのデッドコピーと対面していた。

「フッ…フハハハハハハッ!!」

「あいつのデッドコピーか…プレオン生産機がない状態でどこまで僕と戦えるかな!?」

あの時苦戦したのはデュボアがあったからだ。

デュボアがないのならばあの時よりパワーアップしているアクセルには負ける気は全くない。

オートバレットを構えてジェントラーのデッドコピーを睨み据えた。

「ほら!僕の場所が分かるかな!?」

早速得意のステルスモードによる撹乱を始め、オートバレットによる圧倒的な手数でジェントラーのデッドコピーにダメージを与えていく。

「ヌオオオオッ!!?」

「生憎、僕はお前なんかに手間取ってられないんだよ!」

更にルナのAバレットによるホーミングショットで追撃し、ステルスを最大限活かした戦法で敵を追い詰めていく。

「変身、ナインテイルズ!砕九!!」

ナインテイルズに変身して9本の尾による連擊を受けたジェントラーのデッドコピーはあっさりと爆散した。

「これはいいや。良いコピーを手に入れたよ」

オートバレットをしまいながらナインテイルズの性能に満足するアクセルであった。

そしてルインが対面したデッドコピーレプリロイドはエンシェンタスである。

「クッ…ワァッハッハッハ!!」

「あなたは…!!」

仲間のスパイダーを死に追いやった憎き存在に自然と武器を握る手に力が入る。

「成る程ね…ここであなたが出て来てくれたのは好都合。スパイダーの仇を討ってやる!!」

ZXセイバーを構えながらエンシェンタスのデッドコピーを睨み据えるルインはエンシェンタスのデッドコピーと互角の勝負を演じる。

「阿修羅ナックル!!」

「くっ!!」

エンシェンタスの誘導エネルギー弾を防御する。

やはりエンシェンタスは他のリベリオン幹部と比べて頭一つ抜けている。

「ワァッハッハッハ!!」

高笑いしながら属性を切り替えるエンシェンタスに歯軋りしながらルインはハイパーモードを発動した。

「ハイパーモード・OXアーマー!!」

真紅のアーマーを身に纏い、専用エナジーセイバーであるアルティメットセイバーを引き抜く。

「灼熱ノ火炎!!」

「アースクラッシュ!!」

エンシェンタスの放った火炎をアースクラッシュの衝撃波で受け流すとセイバーによる衝撃波を放つ空中回転斬りを繰り出す。

「アークブレード!!」

至近距離から繰り出したのもあり、殆どの衝撃波をまともに喰らうエンシェンタスだが痛覚がないために即座に起き上がる。

「(あいつを倒すには一撃で仕留めるしかない。私の技でそれが出来そうなのはダブルアースクラッシュか裂光覇…ダブルアースクラッシュは反動が凄まじいからやっぱり裂光覇だね)」

左のΩナックルにエネルギーをチャージしながらセイバーを構えた。

「裁キノ雷!!」

「くっ!」

ルインに向けて降り注ぐ雷を何とかかわし、ダッシュで距離を詰めるとセイバーに炎を纏わせる。

「龍炎刃!!」

「グオアアアアッ!?」

弱点属性の技を喰らったことで吹き飛ぶエンシェンタス。

そしてΩナックルのエネルギーチャージが完了した。

「これで終わりだ!裂光覇!!」

拳を地面に叩きつけると、エンシェンタスを天から降り注ぐ光が貫いていく。

「バ…カ…ナ…」

感情のない声で呟くと、エンシェンタスのデッドコピーは爆散した。

「もう二度と蘇らないでよね…」

ルインはハイパーモードを解除して、通常状態に戻りながら言うのだった。

そして最後にゼロが対面したデッドコピーレプリロイドは…。

「キョ…キョ~ッホッホッホ!!」

「貴様はボロックか!?ボロックのデッドコピーまでいるとは…どうやってこいつのデッドコピーを…まさかミサイルの弾頭の超フォースメタルを回収したのは…」

嫌な予感がしたゼロは早く片付けねばと、ボロックのデッドコピーに氷属性の武器であるアイスセイバーを構えるのであった。

「こいつに余計な時間を食うわけにはいかん。ハイパーモード・ブラックゼロっ!!」

ハイパーモードを発動して一気にボロックとの距離を詰める。

アイスセイバーで斬りかかるとボロックのデッドコピーは風船のように吹き飛ばして背中の音叉を破壊する。

ボロックの厄介なところは、音による内部破壊なのでQビットと音叉さえ破壊してしまえばボロックの戦闘力は大幅にダウンする。

「零式乱舞!!」

ハイパーモード状態でのゼロの剣技による連続攻撃。

まともに喰らったボロックのデッドコピーは耐えきれずにあっさりと爆散した。

「雑魚が…」

それだけ言うと、ゼロはすぐに仲間達と合流するために戻るのであった。

ゼロ達が転送システムに乗り込んでから30分が過ぎた。

流石に遅いと立ち上がった時、ゼロを除いたマッシモ達が戻ってきた。

「どうだった?」

「俺が向かった先にはシルバー・ホーンドがいた。まあ、倒してやったがな!」

胸を張りながら言うマッシモに、エックスは微笑を浮かべながらマリノ達を見遣る。

マリノとシナモンはエックスの視線に気付き、自分達が対峙した相手を告げる。

「私達はDr.サイケと戦ったよ。オリジナルに比べりゃあ格段に弱かったよ」

「しっかり倒してきました!」

「僕はジェントラーと戦ったよ。まあ、大したことなかったね」

「私はエンシェンタスを倒してきたよ。後はゼロだけだね…おっと、噂をすれば」

「どうやら俺が最後のようだな…」

噂をすれば何とやらで、ゼロも戻ってきた。

「お疲れー、ゼロの方はどうだった?」

「………ボロックのデッドコピーがいた」

アクセルの問いに少し間を置いて、ゼロが言うと全員が目を見開いた。

「ボロックのデッドコピーが…間違いないのか?」

「ああ、エックス。姿形も能力も全て同じだった。間違いない」

「ボロックって、DNAコアも抜き取られてたよね…?そしてそのボロックのデッドコピーがここにあるということは…」

「恐らく…ミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタルもリディプスの手にあると考えた方がいいな」

「超フォースメタルが2つもリディプスの手にあるのか……」

たった1つの超フォースメタルでもイプシロンのような凄まじい戦闘力を誇ったのだ。

それが2つもリディプスの手にあるということにエックス達は戦慄を覚えたが、次の瞬間にロックが解除された。

扉を潜ってエレベーターで上の階に行くと、大管制室に通じる通路に出る。

そして奥にある扉を開くと、低空を浮遊する巨大な魚型のメカニロイドの背部に、タツノオトシゴを模したと思われる騎士型のボディが上半身として付加、一体となっており、連邦政府軍極東司令部に所属するデプスドラグーンがいた。

「ほう!これはこれは…裏切り者が揃っておるではないか。超フォースメタルとやらを奪おうとして失敗し、リディプス大佐に排除されたはずのお主らがここへ何しにきた?」

「あの人は…っ」

デプスドラグーンを見てマッシモが目を見開いたが、エックスは前に出る。

「そこをどいてくれ…俺達はリディプスに用があるんだ。関係ないお前と無駄な戦いはしたくない…」

出来れば同じイレギュラーハンターとは戦いたくないと思っているエックスが懇願するように言うが、デプスドラグーンは鼻を鳴らす。

「ふん、お主にその気はなくても、この儂にはあるのじゃよ!伝説のS級ハンターの実力に非常に興味があってのう。いい機会じゃ、その実力…見せてみい!!」

「やるしかないのか…!?」

電流を纏い両手に槍と盾を構えるデプスドラグーンにマッシモが前に出る。

「待って下さい、デプスドラグーン!!」

「む?お主はマッシモ…ではないな?その声…まさかマッシモの弟子か?」

「はい、お久しぶりです。デプスドラグーン」

「ほう…」

戦友であるマッシモの弟子の姿を見て、デプスドラグーンは目を見開いた。

ギガンティスを去る前で最後に見たマッシモの弟子は戦いとは無縁そうな臆病者だったが、今のマッシモの堂々とした態度に驚いた。

「マッシモさん、お知り合いですか?」

「ああ、かつてギガンティス建造時に深海ケーブルを設置するために派遣された海底用レプリロイドなんだ。そしてマッシモ師匠の唯一無二の友。」

「そうじゃな、ギガンティスで過ごした記憶が昨日のように駆け巡るわい…お主…そのアーマーと言い、その堂々とした態度。相当腕と胆力が上がったようじゃな?」

デプスドラグーンが笑みを浮かべながら、戦友の弟子を見つめる。

今回、リディプスがギガンティスに下した決定はデプスドラグーンからすれば残念で、出来ればギガンティスの最後を自身の目で見届けたかったがそれは叶わなかった。

だからこそ、ここに戦友の弟子が来るのは予想外だった。

「ありがとうございます」

「…マッシモの弟子よ…我が友、マッシモはどうしておる?」

弟子が生きているのなら、師匠の方も生きているのではという希望を持ってマッシモに問いかける。

「マッシモ師匠は…リベリオンと戦い、最後の最後まで己の信念を貫き、リベリオンへの協力を拒み続け、殺されました…。」

「そうか…では、今やお主がマッシモ…二代目マッシモと言うわけか」

戦友の死にデプスドラグーンの動力炉の辺りに痛みが走ったが、それを表情には出さない。

「デプスドラグーン。俺達はイレギュラーではありません。リディプス大佐が超フォースメタルを手に入れるためにエックス達に濡れ衣を着せ、エックス達とギガンティスのレプリロイドを裏切ったのです」

「何じゃと?」

マッシモの言葉にデプスドラグーンが目を見開くが、同時に納得した部分もある。

エックス、ゼロ、ルイン、アクセルは極僅かなS級ハンターであり、人類とレプリロイドの英雄でもある。

そんな彼らが例えイレギュラー化したとしても、すぐに処分するだろうか?

「確かに、お主らの言うことにも一理あるかもしれんのう。最近のリディプス大佐はどこか可笑しかった。リベリオンのことで焦っているのかと思っておったが…」

「なら…!!」

喜色を浮かべるマッシモにデプスドラグーンの槍が向けられる。

「じゃが、儂にもリディプス大佐には世話になった恩がある。マッシモよ、ここを通りたくば、儂を倒してからにせい!我が友にしてお主の師に代わり、お主の実力を見定めてくれるわ!!」

デプスドラグーンが全ての力を解き放ち、ジャンゴーどころかスカーフェイスに匹敵する程の雷を纏う。

「分かりました。鋼鉄のマッシモ…二代目マッシモとして受けて立ちましょう!!」

対するマッシモもジェットギロチンを構える。

デプスドラグーンが槍を天に翳した瞬間、マッシモはホバーを最大まで噴かして雷撃をかわした。

「ほう!?」

「どおりゃあああああ!!」

初撃をかわされたことに驚いたデプスドラグーンにマッシモのジェットギロチンが一閃した。

「甘いぞ!会心撃!!」

しかしデプスドラグーンは笑みを浮かべるとメカニロイドのホバーを吹かして体当たりを喰らわせる。

「ぐっ!うおおおおおっ!!」

多少後退するが、マッシモも負けじと抵抗する。

「ほっ!会心撃を受け止めおったか!じゃがまだまだじゃな!テラサンダー!!」

「ぐあああああっ!!」

「マッシモさん!!」

「ぐ、くうう…うおおおおおっ!!」

デプスドラグーンが繰り出した雷撃がマッシモに降り注ぐが、絶叫しながらもマッシモはジェットギロチンを振るい、デプスドラグーンに傷を付ける。

「ぬうっ!…今のは効いたわい…まさかあの臆病だった小僧が此処まで成長するとはのう…じゃが、流石にこれは避け切れまい!デスグラビティ!!」

メカニロイドの口から巨大な重力弾が放たれる。

重力弾の引力に引かれるマッシモだが、咄嗟に別の武器であるプロテクトランサーを取り出し、それを盾にする事で防ぐ。

「ほう、防いだか!しかし、これは耐えられまい!!」

デプスドラグーンの全身から先程とは比較にならない程の雷が放たれる。

「っ!!」

「受けよ!雷帝陣!!」

マッシモに降り注ぐ制裁の雷。

咄嗟にプロテクトランサーを盾にするが、雷はプロテクトランサーの強固なプロテクターすら粉砕してマッシモに直撃した。

「マッシモ!!」

「まさか、やられちまったのかい!?」

「……いやっ!!」

動揺するルインとマリノだが、直撃の寸前にマッシモのアーマーが変化したことにゼロが気付く。

「パワー全開!行くぞおおおおおおっ!!」

ハイパーモード・ダイモニオンを発動したマッシモは全てのエネルギーを翼に収束させた。

「雷帝陣を耐えたと言うのか!?」

「ベルセルクチャージ!発射!!」

驚愕しているデプスドラグーンに向けて放たれた高出力レーザーが炸裂した。

出力を抑えたのか、デプスドラグーンを行動停止に留めた。

「ふ、ふふふ…やられたのう。見事じゃ…これから先のファイナルアプローチは、更に警戒が厳しくなる…しかし、お主らならきっと乗り越えられるじゃろう…儂のDNAデータを使えば扉のロックを解除出来る…」

それだけ言うと、デプスドラグーンは傷ついた体を引き摺って去っていく。

「あ、ありがとう…」

アクセルはデプスドラグーンのDNAデータを解析したことでデプスドラグーンへの変身が可能となった。

ここから先、リディプスの近くということで警戒が更に厳しくなるだろう。

ここらで体力を万全にした方がいいと判断したエックス達は少しばかりの休息を取ることにした。 
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