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戦国異伝供書

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最終話 話が終わりその一

               最終話  話が終わり
 果心居士も飛騨者達も話を終えた、すると居士は飄々とした笑顔で言った。
「さて、もうですかな」
「はい、もうですな」
 羽柴が応えた。
「お話する人はおられませぬな」
「そうですな、これまで色々な方がお話されましたが」
 家康も言った。
「それがしもお話させてもらいましたし」
「はい、どの家の方もですな」
「お話されましたし」
「これで終わりですな」
「いや、随分と話しました」
 政宗は笑って述べた。
「それがしも」
「伊達殿もお話もよかったですぞ」
 羽柴は政宗にも述べた。
「そうしたことがあったのですか」
「はい、お話した通りです」
「そして今に至るのですな」
「左様です」
 まさにというのだ。
「そして今はです」
「ここにおられますな」
「左様です、もう話すことは全て話しました」
「いや、今ではです」 
 信玄は号かいに笑って言った。
「それがしも上杉殿と仲良くなり」
「お父上ともですな」
「和解し」
 そうしてというのだ。
「今はこの安土で普通に会っています」
「そうなっておられますな」
「もう父上は甲斐には戻られぬとのことですが」 
 それでもというのだ。
「今では親しく共に酒や茶を飲みながら話しています」
「それは何よりですな」
「いや、今ではです」
 今度は謙信が言ってきた。
「わたくしも信玄殿そして他の方々とも仲良くお話が出来る様になって」
「それで、ですな」
「何よりです、戦の世が終わり」
「泰平になり」
「そうもなったので」
 それでというのだ。
「もうこれで心置きなく酒を飲める様になりました」
「いや、上杉殿はです」
「酒はですな」
「これまでもですな」
「ははは、そうですな」 
 謙信も笑って応えた。
「これからも」
「左様ですな」
「いやいや、酒はあまり飲まぬこと」
 元就はこのことは戒めた。
「やはり」
「毛利殿としてはですな」
「そう言わざるを得ません」
「そうですな」
「しかし酒を飲まれぬ上杉殿も考えられませぬ」
 元就はこうも言った。
「ならばそれもよいかと」
「上杉殿については」
「そうなりますな」
「上杉殿と飲む酒の美味いこと」
 氏康は笑って話した。
「これがまた」
「実にですな」
「これが心地よく」
「よく共に飲まれると」
「そうなっています」
 こう羽柴に話した。
「それがしも」
「そういえば毛利殿も前に上杉殿と飲まれていましたな」 
 家康はその元就に話した。
「左様でしたな」
「実は。それがしも美味いと思いまする」
 謙信と共に飲む酒はというのだ。 
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