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戦国異伝供書

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第百三十話 時が来たりてその十一

「決してな」
「そこまで飲むね」
「今宵もな」
「飲むのはいいでやんすが」
 煙が言うことはというと。
「乱れることはでやんすよ」
「わしは酒乱じゃないだろ」
 福島の様にとだ、煉獄は言い返した。
「別に」
「それはないでやんすな」
 煙もそうだと答えた。
「確かに」
「それならいいだろ」
「いや、それがでやんすよ」
「それでも駄目か」
「煉獄は飲み過ぎでやんす」
「それが駄目か」
「確かに福島殿の様に酒乱ではないでやんすが」
「飲み過ぎか」
「同じ位に飲むでやんすよ」
「お酒は少しなら薬になる」
 あや取りも言ってきた。
「けれど多かったら」
「毒になるか」
「そ、そうしたものだから」
 それ故にというのだ。
「煉獄も気をつける」
「そうしないと駄目か」
「そう」
 まさにというのだ。
「これからは」
「ううむ、好きだがな」
「好きだからって飲み過ぎたら駄目だよ」
 風の言葉はぴしゃりとしたものだった。
「やっぱりね」
「そうか」
「身体の為にもね」
「酒は過ぎると毒だからか」
「さっきあや取りが言った通りにだよ」
 まさにというのだ。
「だから気をつけるんだよ」
「ううむ、厄介だな」
「厄介でもだよ」
 それでもと風は言った、そうしてだった。
 煉獄はこの日は鮭を控えそれからもそうした、そのうえで兄弟達と共に信長の為に働くことを行っていった。


第百三十話   完


                   2021・1・15 
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