星河の覇皇
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七十七部第二章 第二次国境会戦その四十八
「破壊や蛮行も受けないので」
「それに越したことはないですね」
「虐殺もありませんでした」
「あの戦争では虐殺も問題でした」
これが領民達にとって恐ろしかったことであるのは言うまでもない。
「武器を持ち統制を失った傭兵達が何をするか」
「最早訓練されたヤクザ者達です」
「血に飢えた獣達ですから」
二人の元帥達はワインを飲みながら応えた、赤ワインは今は血の様だ。
「それで、ですね」
「その彼等が何をするか」
「そう考えますと」
「軍税を出した方がいいですね」
「それで欧州に定着しました」
ワレンシュタインがはじめてからだ。
「そうなりました、しかし」
「それでもですね」
「それを行うことは」
「はい、私はです」
これまで敵国であっても市民達の反感を買いそれがゲリラ戦術等を招いてしまいかねないからだというのだ。
「採用しませんでした」
「そうでしたね」
「本当に若しゲリラが起こっていれば」
「考えるだけで恐ろしいです」
「その場合は」
「はい、敵国の市民達は協力しません」
これまた当然のことだ、敵対国の軍隊への協力は感情的にする筈がないし万が一行えば戦後その行為を糾弾されるからだ。
「しかしです」
「協力しないならいい」
「それで、ですね」
「空気ならばいい」
「そういうことですね」
「そうです、敵に回るよりは」
そうなりよりはというのだ。
「ずっといいです」
「若しもです」
劉がワインを飲みつつ言った、三人のボトルも残り少しだ。実は三人共ワインは二本目に入っていた。
「ナポレオンもスペイン国民を敵に回していないと」
「最初のゲリラですね」
「あれがなければ」
「はい、おそらくよりです」
「楽にことを進めていましたね」
「スペインの潰瘍がフランスを滅ぼしました」
そのナポレオンの言葉だ。
「あの地に二十万の大軍を置き鎮圧させようとしても」
「逆効果ばかりで」
ゲリラに攻撃されゲリラと誤認してスペイン国民を殺しその反感からさらにゲリラを増やしていったのだ。
「無駄に駐留させていき」
「それでフランスは国力を失いました」
「そうしてでしたね」
マクレーンも飲みつつ言った。
「ナポレオンの覇権に綻びが生じましたね」
「そうなっていきました」
「スペインで血みどろのゲリラ戦をしている間に」
「そうなっていきました」
「そして長官としては」
「それを避ける為にも」
是非にというのだ。
「考えていました」
「そうでしたか」
「全ての軍事行動は連合の国防費で行っていく」
この様にというのだ。
「決めていまして」
「最後まで果たした」
「そうされましたね」
「そうでした、思えば」
まさにというのだ。
ページ上へ戻る