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星河の覇皇

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第七十七部第二章 第二次国境会戦その四十七

「戦争は軍人同士のものに限定される様にすれば」
「より楽になる」
「そういうことですね」
「その為なら敵国の一般産業は置いておき」
 一般市民もだ。
「軍税等もです」
「求めない」
「こちらで全て出すのですね」
「そうです」
 二人の元帥達に話した。
「全て」
「ゲリラが起こるよりはですね」
「遥かにいいということですね」
「こちらの予算で全て行えば」
「それで」
「はい、しかし軍税制度は」
 八条はこの制度自体についても述べた。
「聞いていますと」
「相当なものですね」
「まさにていのいい略奪ですから」
「今の我々から見れば」
「認めらえるものではないですね」
「そう思います、もっともあの戦争は」
 三十年戦争、ワレンシュタインが活躍したこの戦争ではというのだ。
「傭兵達が主で」
「略奪蛮行の限りでしたね」
「至るところで」
 このことは歴史に残っている、そうしたことでも有名な戦争だったのだ。
「宗教上の対立もあり」
「血生臭いものでしたが」
 新旧両教徒の間でも虐殺があった、それも双方が行いあった。これはこの戦争がその大義名分は宗教戦争だったからだ。宗教戦争それもキリスト教等の一神教同士であるとゼロか全てかの殲滅戦となってしまう。
「それでもでしたね」
「傭兵達は特にでした」
「戦争に稼ぎに出ていて」
「若し報酬が支払われないと」
 雇い主達である皇帝や領主達にだ。
「そして餓えていると」
「即座にでしたね」
「街や村で略奪を働きましたね」
「極限状態にも陥ると」
「そうでした、街を包囲している中で飢餓状態にでもなれば」
 その代表がマグデブルグの戦いだ、この街を包囲しているうちに皇帝軍はかなり追い詰められたのだ。
「指揮官の制御も振り切り」
「聞かずにでしたね」
「略奪に走りましたね」
「そしてそこから蛮行にも」
「そうしたことが起こっていました」
 三十年戦争ではというのだ。
「これでは多くの街や村が灰塵に帰し」
「反感も受けますね」
「軍や国自体が」
「そして奪ってもその場所が灰塵に帰すと」
 そうなってしまえばというのだ。
「次には何も出来ません」
「焦土からは何も奪えない」
「だからこそ」
「はい、しかし軍税として取り立てるなら」 
 軍勢が通る領地や占領地からだ。
「略奪をせずともです」
「効果的に軍資金や食料が手に入れられる」
「そうなりますね」
「また領地の安全も保障され」
「必要な時は再び手に入れられます」
 略奪の際破壊し尽くせばそれまでだがだ。
「それが出来ます」
「そうした意味でもいいですね」
「確かに効果的です」
「略奪よりずっといいです」
「領民にとってもいいことです」
 ものを差し出すだけで済めばだ、それも軍の方の要求だけ出せばよく根こそぎ奪われずに済むのだ。 
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