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星河の覇皇

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第七十七部第二章 第二次国境会戦その四十六

「冷徹なことを言えば」
「一般産業への攻撃はですね」
「勝利の為には有効です」
「それは事実ですね」
「そうです、ただ」
 ここでこうも言った劉だった。
「これは対外戦争でしかも」
「ゲリラ戦術等を生み出さない」
「そうした状況ならいいですが」
「若しそうでないなら」
「やはり止めておくべきです」
「宇宙空間を移動している艦隊や惑星に駐留している部隊が物陰からいきなり攻撃される」
 マクレーンはゲリラ戦術で実際にあることを話した。
「そうされますと」
「どうしてもですね」
「それが一発であっても」
「精神的な負担は大きいですね」
「それが何度か続き犠牲者も出ますと」
 そうなると、というのだ。
「本当にです」
「それがヒステリーや恐慌となり」
「一般市民への攻撃等になり」
「それがさらにゲリラを生む」
「悪循環に陥ります」
「それが怖いのです」
 八条は二人の元帥に真剣な顔で話した。
「私は」
「だからですね」
「それ故にですね」
「長官は倫理観としても一般産業や市民には攻撃されなかったのですね」
「ゲリラの発生も恐れて」
「若しチトーが出れば」
 その時はというのだ、ユーゴスラビアでパルチザンを指揮したこの英雄はというのだ。後にこの国の大統領にもなっている。
「どうなるか」
「チトーですか」
「あの英傑ですか」
「はい、味方とすれば頼もしいですが」
 それでもというのだ。
「敵になりますと」
「はい、チトーともなると」
「そうなれば」
 二人の元帥もこの英傑について歴史で言われている姿から述べた。
「どれだけ恐ろしいか」
「まさに獅子を常に敵に回す様なものです」
「ヒトラーはあの地域で多くの犠牲を払いました」
「多くのドイツ兵を失いました」
 そのゲリラ、パルチザン戦術による悪循環に陥ってだ。
「そうなりました」
「あれは恐ろしいものでした」
「そしてソ連もです」
「スターリンもです」
 ヒトラーと並び称されるこの恐るべき独裁者もというのだ。
「どうにも出来ませんでした」
「脅せば逆に刺客を送ると返されました」
「そうした人物でしたし」
「若しああした人物がエウロパにいて」
「そして我々にゲリラ戦術を採っていれば」
「厄介なことこの上なかったですね」
「そうでした」
 まさにというのだ。
「ですからゲリラ戦術の泥沼を避ける為にも」
「軍人同士の戦いに終始した」
「そうされたのでしたね」
「そしてですね」
「オリンポス星系占領を目指されたのですね」
「占領は出来ませんでしたが」
 その直前、ニョルズやクロノスといった星系での会戦で決定的な勝利を得る段階でマウリア側から仲裁が入ったのだ。
「しかしですね」
「その様にされたのですね」
「そうでした」
 こう二人の元帥に話した。 
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