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レーヴァティン

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第百九十三話 武蔵入りその三

「そうすることだ」
「そして身体を休めてですね」
「治すことだ」
「風邪については」
「決して無理をしないでな」
「どの方も大丈夫と言われていますが」
「駄目だ」
 英雄の返事は一言でしかも強いものだった。
「風邪ならだ」
「動かれないことですか」
「そうだ、働くことは動ける時にすればいい」
「風邪をひかれたのなら」
「今言ったが薬を飲んでだ」
 そのうえでというのだ。
「完全に治るまでだ」
「体力をですね」
「回復させることだ、だからだ」
「御台所様も他の方も」
「じっくりとな」
「休まれることですね」
「大奥の者達はな、風邪をひいていない者達もだ」
 英雄は彼女達のことも話した。
「注意してだ、常に身体を温かくし身体にいいものをしっかりと食ってだ」
「休めというのですね」
「そういうことだ、無理はだ」
 くれぐれもというのだ。
「しないことだ、また空気の入れ換えもな」
 即ち換気もというのだ。
「常にだ」
「することですね」
「そうしてだ」
 そのうえでというのだ。
「風邪に注意することだ、だからな」
「無理はしないことですね」
「大奥には充分な者がいる」
 その数はというのだ。
「自分一人がいなければという状況ではないな」
「はい、それは」
「そうだな、まずは人手を用意する」
 充分な数の働き手をというのだ。
「それがだ」
「大事ですね」
「人手不足は無理の元凶だ」
 それぞれの働く場においてというのだ、このことはこの世界でも変わりがないことだ。
「それなら揃えられたらな」
「その充分な人手をですね」
「揃えることだ、そして大奥はな」
「揃えているので」
「だからだ」
 それでというのだ。
「無理はしないことだ、そしてな」
「これ以上風邪になる人は出ない」
「様になる様にする」
「そうですか、では」
「奥にも言っておくのだ」 
 かつてはお静と呼ばれた彼女にもというのだ。
「今は床の中でな」
「穏やかにですね」
「していることだ、じっと寝ていてだ」
 そしてというのだ。
「養生する様にとな」
「他の方もですね」
「それは同じでだ」
 それでというのだ。 
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