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レーヴァティン

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第百九十三話 武蔵入りその四

「今は休め」
「そう命じられますか」
「無理をしてより体が悪くなればだ」
「本末転倒ですか」
「そうだ」
 だからだというのだ。
「今はな」
「ゆっくりと休まれて」
「そのうえでだ」
「上様とですね」
「床を共にするのだ、かく言う俺もだ」
 英雄は自分のことも話した。
「何かあればだ」
「お身体を壊されたと思えば」
「休む様にしている」
「そうしてですね」
「回復させる、風邪といって馬鹿にしているとだ」
 英雄自身もというのだ。
「余計に身体を悪くするからな」
「それで上様も」
「その時は休む、また薬だけでなくだ」 
 典医にさらに話した。
「食いものもだ」
「身体に温まりですね」
「よいものを食う様にな」
「命じられますか」
「粥もいいが」
 風邪の時の定番である。
「うどんもいい、そして葱や生姜や大蒜をだ」
「摂られることですね」
「そうだ、そのことを厨房にもだ」
「命じられるのですね」
「俺の言葉だ」
 将軍自らのというのだ。
「いいな御台所達にな」
「身体にいい、温まるものをですね」
「出してやるのだ、そして出来るだけ床からな」
「出ないことですね」
「床で汗をかくことだ、そうすればだ」
「風邪は癒される」
「そうなる、ではな」
 このことを話してだった。
 英雄は大奥を後にした、そうして政務にあたったがこの日は寺社についてのことが多かった。それでだった。
 英雄は仲間達にこう言った。
「檀家にしてだ」
「はい、僧兵や荘園ではなく」
 僧侶である謙二が応えた。
「そちらから益を得る」
「その様にしてな」
「そうしてですね」
「寺社奉行に監督させてだ」
「そうしてですね」
「かなり統制が効いているな」
「若しです」
 謙二は英雄に言った。
「ここまで整えないとです」
「寺社は治められないな」
「そうです、寺社はどうにかしないと」
「強い力を持つな」
「荘園に僧兵と」
「神社も兵を持つしな」
 英雄はこちらの話もした。
「しっかり見ておかないとな」
「彼等も土地を持ちますし」
「そうだな」
「そして豪族にもなりますし」
「どちらもしっかりとな」
「はい、統制を取らなければ」
 謙二はさらに話した。 
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