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レーヴァティン

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第百九十二話 港を見てその五

「革命からだ」
「共産主義国家を増やそうとしたわね」
「そうだった、連中こそだ」
「戦争が好きね」
「そうだ、今で言うなら」
 好戦的な者達はというと。
「カルト教団だ」
「自分達の目的を達成させようとしている」
「分断と対立を好み」
 そしてというのだ。
「世界をそうしたい者を愛してな」
「支持をして」
「そしてだ」
「戦争になって」
「自分達の理想社会とやらを実現しようとしている」
「そうした連中がね」
「戦争を好む、だが俺は違う」
 英雄は自分のことも語った。
「俺は革命もカルトもだ」
「考えていないわね」
「むしろ否定している」
 それも強くだ。
「だからだ」
「戦をしないで済めば」
「それでいい、ましてそうした連中の戦はな」
「殲滅戦よ」
 桜子は一言で言い切った。
「もうね」
「そうだな」
「農業とか商業とかね」
「考えないな」
「ただ自分達の敵を滅ぼす」
「そうした戦だ」
「それが宗教戦争でね」
 桜子も言った。
「革命、階級闘争よ」
「徹底的に殺してな」
「もう際限がないわ」
「相手を殺し尽くすまでな」
「挙句は身内でも仲間割れを起こすわ」
 所謂内ゲバだ、これは戦後の日本でもあり学生運動の頃愚か者共はこれで仲間同士で醜く殺し合った。
「そして血が止まらないわ」
「馬鹿な話だ、それも人間の一面だが」
「あんたは決してよね」
「そんな考えは持たない」
「革命家でもカルト宗教家でもないから」
「だからだ」
 自分がそうした人間だからだとだ、英雄は話した。
「それよりも銭だ、むしろ銭の方がな」
「革命やカルトより遥かに平和です」  
 謙二も言うことだった。
「俗物的と言われようとも」
「そうだな」
「お金を巡っての殺し合いも確かにありますが」
「だが儲かるならな」
「よりよい方を選び」
「革命なぞ破壊だけでだ」
 そして宗教戦争もだ。
「漢人の金もな」
「価値をなくすこともありますね」
「経済が破壊されて何が金だ」
 その価値がなくなるというのだ。
「後には屍だけが残る」
「それではお金を手に入れることも出来ません」
「人間死体相手に商いは出来ない」
 これも言うまでもないことだ、商売というものは生きている者同士だからこそ出来るものである。それで英雄も言うのだ。
「だからな」
「貴方もですね」
「金にこだわる方がな」 
 遥にというのだ。 
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