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レーヴァティン

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第百九十二話 港を見てその四

「どうせマルクスの影響だ」
「それで言っているだけね」
「自由貿易で相手国も発展してだ」
「人の暮らしもよくなってね」
「互いに豊かになる」
「日本だけじゃないわね」
「あの似非グルメ漫画でもそんなことを主張していた」
 百巻以上続いたが原発の話で揉めてそれが実質的に最終回になった漫画だ、この漫画を検証すると実におかしなことばかり言っていることも有名だ。
「だから俺も知っている」
「この話は」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「言えるが」
「馬鹿だっていうのね」
「そう言う奴は経済が一切わかっていない」
「だからそう言うっていうのね」
「そうだ、経済を語る資格もない」
 そこまで無知だというのだ。
「馬鹿だ、どうせ日本が経済的に進出して現地の人達を搾取しているとかな」
「言っていたわ」
「そのままマルクスだ」
 この経済学の主張だというのだ。
「そこから全く出ていない」
「資本主義がわかっていないっていうのね」
「そうだ、実際は違う」
「進出した国が豊かになって」
「経済圏も出来てだ」
「共存共栄に至るわね」
「そうだ、保護貿易も何をもたらしたか」
 英雄はこのことも話した。
「第二次世界大戦だった」
「ブロック経済からね」
「だから自由貿易と経済圏がだ」
「繁栄と平和をもたらすわね」
「多くの人が豊かになるな、そしてマルクスで言ってもな」
「何もならないわね」
「保護貿易にこだわる奴もマルクスだけの奴も同じだ」
 経済がわかっていない、この点から見るとというのだ。
「ビジネス、一対一のそれならいいかも知れないが」
「国を豊かにするとなると」
「そうはいかない」
「自由貿易ね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「それが国や地域の統一と繁栄に最もいい」
「そして平和にもね」
「どうせ経済侵略から日本が大国になって資本家が戦争を起こすと言っていたな」
 英雄は言葉に感情をこめていないが怒っていた、それがわかる口調だった。それで桜子に言うのだった。
「どうせ」
「ひいてはね」
「戦争になれば貿易なぞ出来ない」
「それが答えね」
「だから資本家は戦争を望まない、武器を売れば確かに金になるが」
 戦争に使うそれをだ。
「しかし武器だけ売るものではない」
「他に色々なものを売るわね」
「武器は技術と設備の投資にかなりの金が必要だが」
 しかしというのだ。
「市場は限られている」
「他のものを売った方が採算が取れるわね」
「そうだ、生活用品の方がな」
 むしろというのだ。
「出来る、だからな」
「それでよね」
「資本家は戦争を望まない」
「戦前の日本の財閥はね」
「実はな、戦争を望むのは」
 それは誰かというと。
「当時はな」
「そのマルクスの」
「ソ連だった、連中は混乱と戦争を引き起こさせてだ」
 その為に様々な謀略を使ってだ。 
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