もう一つの"木ノ葉崩し"
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第十一話―決着の時
里の北西部――
ボン!
「!」
「猿猴王・猿魔!!」
「聖獣王・獏!!」
サスケとサイゾウの二人は,角都に対しついに切り札を繰り出す。サスケの前には虎の毛皮を着た白髪の猿が,サイゾウの後ろには牙を生やした巨大な象が召喚される。
「猿と象の口寄せか……下らん。」
角都は意にも介さず,そのまま二人に向かって突進する。
「下がれサイゾウ!」
サスケは猿魔とともにサイゾウの前に出る。
「とめやがれサスケ,お前のソレで止まらねえならもうお手上げだ!」
サイゾウは言われた通り獏と共に後ろに下がりながら,次の術を準備する。
「猿魔,金剛如意だ!」
「おう!」
ボン!
サスケの言葉を受けた猿魔は,身長ほどの長さのある棍棒へと変化する。
「フン……いいだろう,ならばお前から始末してやる!」
バッ!
「いくぞ猿魔!」
角都のパンチの構えに合わせ,サスケも猿魔が変化した棍棒を振りかぶる。
ゴキィィィン!!!
鈍い音と共に,サスケの棍棒と角都の拳がぶつかり合う。
「!?俺の攻撃を止めただと!?」
サスケはただ守りを固めるだけではなく,攻撃のモーションと同じように振りの勢いを加えることによって角都の威力を相殺してみせる。
「見たか!」
「よし!」
角都を止めたサスケはニヤリと笑い,その様子を見たサイゾウも思わずこぶしを握りしめる。
「何だコイツの硬さは?金剛の体が痺れやがるぜ!」
角都の拳と正面から激突した猿魔はさすがに驚きを隠せない。
「すまん猿魔,もう一発行くぞ!今度はこちらからだ!」
「おうよ!」
「チッ!」
サスケはそのまま棍棒で角都の拳を押しのけ,再び振りかぶる。
「はあっ!!」
ゴッ!!
「くっ……!!」
角都は腕を交差して防ごうとするも,勢いを殺し切れず後ろに吹っ飛ばされる。
「おのれ……!」
数メートル飛ばされたのち,何とか踏みとどまりサスケらを睨みつける角都。
「よし,次はこっちだ!獏!」
「ヴオォォォォ!!!」
サッ!サッ!
サイゾウが叫ぶと,獏は周囲の空気を猛烈な勢いで吸い込み激しい風を引き起こす。サスケとサイゾウの二人はそれぞれ横に跳んで獏の正面から捌け,風を回避する。
「!?今度は何だ!?」
正面から獏の風に巻き込まれた角都は,その場にとどまるため踏ん張るので精一杯となる。そのスキにサスケとサイゾウの二人は角都の背後に回って印を結ぶ。
「これで終わりだ!」
バッバッバッ!
「火遁・火龍炎弾!!」
「風遁・気流乱破!!」
サスケの火遁をサイゾウの風遁で煽り,更に獏が引き起こす風にも乗せることで大幅に威力を上げる。
「くそ……!土遁・土矛!!!」
ゴオオオォォォォ!!!!
角都は先ほどよりさらに大きな炎の塊に飲まれる。
「これでどうだ!?」
やがて炎がおさまると……
「お……おのれ……!!小癪な……!!」
「まだか!」
「なんてしぶとい奴だ……!」
ダメージを負いながらも,角都はかろうじて倒れずに意識を保つ。獏の風はなお続き,角都は踏ん張って動けないままだ。
「だが効いてる!もう一発だ,更に威力上げるぞ!」
「チャクラはかなり消費するが仕方ねえな。獏の風の持続時間もそろそろ限界だ。獏,もう少しだけ頼む!次こそ決める!」
サスケとサイゾウはついに,各々が持つ最高威力の術を繰り出す。
バッバッバッバッ!
「火遁・火炎龍大炎弾!!!」
「風遁・乱気流大乱破!!!」
「……!!まずい……あの威力は……!!」
~~~~~
里の北部――
「また消えやがった!?今度はどこだ!?」
「さっきまでとは消え方が違え……攻撃も当たってた。分身か?」
金銀兄弟は煙となって姿を消した扉間のゆくえを探している。
「オレ達は一回アイツに斬られたんだぞ!分身なわけねえ!」
銀角はまだ完全には治りきっていない胸部の切り傷に手を当てる。
「何度も瞬間移動してやがっただろ。最初は本体で,途中から分身と入れ代わってた可能性もある。あるいは……何か実体のあるものを媒体として創った分身か……。」
「砂隠れの砂分身……岩隠れの岩分身……霧隠れの水分身……どれも違え!アイツが消えたあと,煙しか残らなかった!」
これまでに戦闘してきた相手を次々に思い浮かべる銀角だったが,得られた結論は今回の相手が明らかに特異であるという事だけだ。
「何も媒体を使わず,チャクラだけで実体のある分身を創り出せるってのか……?とはいえ瞬間移動なんて術すらやってのけるヤローだ。何が不可能かなんて決めつけられねえ。」
その時……
フッ!
「!!金角後ろだ!!」
「!?」
まだマーキングのすぐ近くに留まっていた金角の背後に,またしても扉間が現れる。
「くそっ!」
金角は慌てて振り返り扉間に向かって剣を振りかぶる。予想に反し,そこにいた扉間はまだ攻撃モーションに入っていないようだ。
「そうだ……!地面の模様の近くにいちゃ,いつでもヤツから不意打ちを食らっちまう!」
金角の背後に現れた扉間を見て,もう一か所のマーキングのそばに居た銀角は急いでその場を離れようとするが……
トン……
「あぁ?」
それより一瞬早く,銀角の背中に何者かが触れた。
「ちょこまか動きやがって!くたばれ!!」
一方,不意に背後に現れた扉間に対し,意外にも先手を取れた金角が剣を振り下ろす。
「「飛雷神・互瞬回し!」」
「!?」
ズバァァ!!!
「き……金……角……っ!」
「銀角!?どういうことだ!?」
金角の振り下ろした剣が切り裂いたのは,扉間ではなく直前に位置を入れ替えられた銀角であった。金角の背後に現れた扉間はあえて金角に攻撃の猶予を与え,同じく銀角の背後に現れその背中に触れていた影分身の扉間と,タイミングを合わせて互いの位置に飛び合ったのである。さすがの銀角も,完全に無防備な状態で金角の剣を受けたことで,回復が追い付かず倒れ込む。
「嘘だろ……銀角……!」
金角は動揺を抑えきれず,倒れた銀角を抱え込む。
「銀角!銀角!」
(弟想いの男であるな……まるでかつてのマダラを見ているかのようだ。思えばあの時も,ヤツの弟を斬ったのはワシであった。あれが災いの始まりだったのかもしれん。あのあと兄者はマダラと和平を結んだ。だが……弟を失ったヤツを生かしておいたのはやはり間違いであったと,今にして思う。だからこそ……)
シュッ!
扉間は,金角に向かって飛雷神のマーキングを施したクナイを投げる。
「銀角!銀……ん?」
フッ!
そしてそのクナイに向かって飛び,一瞬で金角の目の前に現れる。
「!」
(……だからこそ,もう同じ過ちは繰り返さん!)
ペタ……
扉間は反応が鈍い金角に何かを貼り付けてから,その場を離れる。
「さらばだ。……互乗起爆札!!」
後書き
お読みいただきありがとうございます!
扉間,サスケ,サイゾウの戦いにもついに終止符か!?
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