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レーヴァティン

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第百八十七話 オデッサからその七

「このことはね」
「連中のことを考えないとな」
「駄目よ」
「そうだな、この浮島鮫も出るしな」
 川にである。
「迂闊に泳ぐことも危険だしな」
「シーサーペントもいるし」
「だからだな」
「気をつけないとね」
「危険は大きいな」
「川は荒れる時もあるしね」
「それもあるな」
 久志はまた言った。
「何とかな」
「川は便利でもね」
「注意も必要だな」
「私達の完全な味方じゃないわよ」 
 留奈は久志に話した。
「完全な敵でもないけれど」
「自然は敵でも味方でもないね」
 淳二は今は静かな湖を見て言った。
「つまりは」
「そうだよな」
「常にね」
「どう使わせてもらうか、か」
「人間としてはね」
「そういうことなんだな」
「そう、完全な味方につけることは」
 このことはというのだ。
「本当にね」
「人間には無理か」
「この世界には風水師の人達もいて」
 この職業の者達もというのだ。
「それで自然を操ることが出来るけれど」
「それでもだよな」
「それも難しくてね」
「しくじったら自分にダメージが来るしな」
「自然は本当にね」
「敵でも味方でもないよ」
 こう久志に話した。
「完全にはね」
「俺達は使わせてもらうか」
「そういうことだよ、実際おいら達起きた世界で自然は今もどうにもなってないね」
「台風なり地震なりな」
「正直戦争より怖いけれど」
 それでもというのだ。
「どうにもなっていないね」
「ああ、いつも自然の暴れるままだな」
「人間の力なんてそんなものだよ」
 淳二はこうも言った。
「所詮はね」
「自然の前にはちっぽけか」
「そんなものだから」
「俺達のこれからの戦もか」
「川を完全な味方と考えない」
「使わせてもらってる、か」
「そう考えてね」 
 そのうえでというのだ。
「やっていくことだよ」
「そうだよな」
 久志も頷いた。
「人間としてな」
「人間は確かに無限に成長出来て不可能も可能に出来るけれど」
「決して万能でもないからな」
「その力はちっぽけなものだよ」
「そうだよな」
「おいらムスリムじゃないけれど」
 淳二はこう前置きしてこうも話した。
「アッラーなんて凄い力あるよね」
「ああ、この世の全てを動かすな」
「そう、その中で人間はね」
「小さなものだな」
「この世界の中のね」
「ほんのな」
「そんなものだよ」
 これがイスラム教の教えだ、どの様な人間も偉大なるアッラーの前では極めて小さな存在であるのだ。だから人は全て等しいのだ。アッラーから見れば。 
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