レーヴァティン
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第百八十六話 川を使いその二
「我が帝国軍もですね」
「軍隊に娼婦がついていってもな」
男娼もである。
「許してるんだよ」
「左様ですね」
「それが最悪の事態を防いでな」
将兵達のそうした欲求を解消してであることは言うまでもない、人間はどうしてもそうした欲求が存在しているのだ。
「そのうえで性病のこともな」
「管理しますね」
「あの病気は洒落になってないからな」
「梅毒ですね」
「ああ、淋病も怖いけれどな」
「しっかりと娼婦を管理していますと」
「その分性病にかかるリスクも減るからな」
このこともあってというのだ。
「軍隊にはな」
「娼婦も必要ですね」
「男娼もな」
「結局はそうですね」
「ああ、好き嫌いは別にしてな」
「正直私は好きではありません」
夕子は実際に顔に出していた、それは先程からのことだ。
「どうしても」
「風俗とか好きじゃないんだな」
「はい、必要であることはわかっていても」
「そこは難しいな」
「ですが政は個人的な好き嫌いで動かしてはいけないので」
「それな、ちゃんと考えないとな」
「いけません」
夕子はこうも言った。
「さもないと過ちを犯します」
「そうした話も多いしな」
「娼婦についても同じです」
「売春を禁じたらな」
そうすればというのだ。
「そうした犯罪が増えたりな」
「裏で、となりますね」
「ヤクザ屋さんの利権にもなるしな」
「余計に悪いことになるので」
それでというのだ。
「表にあった方がいいです」
「そうなんだよな、カジノとかギャンブルもな」
これもというのだ。
「やっぱりな」
「表に出して」
「認めてな」
「そうして政府が管理すればいいですね」
「下手に禁止するよりもな」
それよりもというのだ。
「だからな」
「売春も認めてですね」
「軍隊に娼婦も置いてるさ」
「これも政ですね」
「ああ、あと娼婦や男娼で梅毒になった人がいたら」
そうした人についても話した。
「すぐにな」
「治療ですね」
「ああ、さもないと感染するしな」
「しかも当人も」
「死ぬからな」
それもかなり酷い死に方である、身体が腐り鼻が落ちる。脊髄や脳もやられ動けなくなったり狂死したりもする。音楽家のスメタナも梅毒になってしまい聴覚を失い発狂してそうして死に至っている。
「だからな」
「この世界では薬もありますし」
「あれはいいぜ」
「ペニシリンがあることは」
「あれは結核にも使えるしな」
「あの山芋恐ろしいですが」
「梅毒と結核がないだけでな」
それだけでというのだ。
「凄いぜ」
「まことにそうですね」
「医学にね」
双葉が言ってきた。
「錬金術に魔術があるから」
「色々な技術が入ってな」
「この世界は薬学も進んでいて」
そうしてというのだ。
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