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レーヴァティン

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第百七十六話 雪溶けと共にその八

「今城は拠点にはな」
「しにくいですね」
「今すぐには」
「どうにも」
「春日山城は越後の中央にある」
 まさにその場所にだ。
「東にも西にも行ける」
「まさにこの国の要地です」
「堅城でもありますし」
「拠点としては最適ですが」
「越後攻めにしても」
「だがここまで壊れているとな」
 それならというのだ。
「今すぐにはな」
「使いにくいですね」
「では修復を急ぎ」
「それが成ってからですね」
「それからですね」
「城を使うが」
 足掛かりにというのだ。
「今はな」
「使いませんね」
「そのことは我慢して」
「そうしてですね」
「やっていく、このまま海津城を拠点としてだ」
 信濃の北にあるこの城をというのだ。
「越後の東西を攻める」
「そうしますね」
「では今は、ですね」
「その用意に入りますね」
「越後攻めのな、そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「俺は東西双方を攻めることにした」
「一方でなくですか」
「東西ですか」
「兵を分けますか」
「そうする、東は俺が三万の兵を率いてだ」 
 彼自身がというのだ。
「そちらの国人達の軍勢とも連携してだ」
「掌握する」
「完全に幕府のものにする」
「そうされますか」
「そうだ、そしてだ」
 英雄はさらに話した。
「ここには一万の兵を備えとして置き」
「残り四万」
「その四万の兵で、ですか」
「攻めていきますか」
「越後の西は」
「そうする、春日山城の主を先陣としてだ」
 そうしてというのだ。
「お前達に任せる、東が収まればな」
「すぐにですか」
「我等の方に来て頂けますか」
「越後の西に」
「そうする」
 絶対にというのだ。
「それでいいな」
「はい、それでは」
「その様にしていきましょう」
「上様は東を攻められ」
「我等は西を」
「そうな、しかしだ」
 英雄はさらに言った。
「この城を攻め落としたことはな」
「今は修復に入りましたが」
「それでもですね」
「このことはですね」
「大きい」
 実にというのだ。
「越後の国人達から見てもな」
「越後一の堅城を攻め落とした」
「しかも圧倒的な力で」
「このことはですね」
「大きいですね」
「それを知った国人達がな」
 越後の彼等がというのだ。
「敵わないと見てだ」
「これまで以上になびきますね」
「間違いなく」
「そうなっていきますね」
「そうだ、そうした意味でもだ」
 実にというのだ。 
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