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レーヴァティン

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第百七十六話 雪溶けと共にその九

「この城を攻め落としたことは大きい」
「越後の要地を手に入れただけでなく」
「最高の足掛かりを得ただけでなく」
「そうした意味でも大きいですね」
「実に」
「そうだ、そして降る者はな」 
 その国人達はというと。
「喜んでだ」
「迎えますね」
「そうしますね」
「これまで通り」
「そうしていきますね」
「そうする、俺は敵だった者でもだ」
 そうであってもというのだ。
「降ればな」
「それでいいですね」
「幕府に加える」
「そうしますね」
「外道でなかったならな」
 そうでない限りというのだ。
「そうする」
「若し外道ならですね」
「民を虐げ私利私欲を貪る様な輩なら」
「領地を取り上げる」
「そして最悪処刑ですね」
「その様な奴は不要だ」
 幕府にはというのだ。
「一切な」
「幕府は民を護るもの」
「その為にあるもの」
「そして上様はこの世界を救われる」
「そのことをお考えなので」
「だからだ」
 それでというのだ。
「その様な輩はだ」
「いりませんね」
「そうですね」
「その為領地を取り上げ」
「処刑もですね」
「行う、幸いこれまでそうした愚かな国人はこの浮島にはいないな」
 民を虐げ己は私利私欲を貪る様な国人はというのだ、英雄は実際にこの浮島ではそうした国人達には会っていない。
「幸いなことに」
「物語ではありますが」
「現実はといいますと」
「その様な者こそ滅びます」
「民が一揆を起こすか他の国人に攻められます」
「そうなりますので」
「その様な奴はそうなる」
 英雄は今度は冷徹な声で述べた。
「まさにな」
「今は戦国です」
「そうした状況ですと」
「己のみ贅沢に浸るならです」
「討たれるのが筋です」
「贅沢に溺れる位ならな」
 それこそというのだ。
「兵を備えてな」
「武具も揃えてです」
「兵糧も用意する」
「そうして守らなければ滅ぼされます」
「攻められて」
「贅沢をする銭はだ」
 その様なものがあればというのだ。
「それこそだ」
「まさにですね」
「戦に使うべきですね」
「そして民もですね」
「重税や重い年貢を課しては」
「一揆を起こす、それならだ」
 まさにというのだ。
「年貢や税はそこそこでな」
「民に懐いてもらう」
「そうしなければです」
「一揆で倒されるかそうでなくても一揆で力が弱まり」
「弱ったところを攻められます」
「そうなるからな」
 だからだというのだ。 
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