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レーヴァティン

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第百七十四話 冬の嵐その八

「かなりの書を読んだしそうした書があるかな」
「デルフォイの人に尋ねたんやな」
「だがな」
「なかったんやな」
「あればとだ」
 英雄は難しい声で話した。
「デルフォイの図書館の誰からもだ」
「言われたんやな」
「どれだけ有り難いかとな」
「そういうことやな」
「そして御所のな」
 都のそこでもというのだ。
「こちらのせかいでは神々になられている歴代の帝からの神託もだ」
「ないか」
「伊勢でもそうでだ」
 英雄はさらに話した。
「出雲の大社でもだ」
「そうかいな」
「全くな」
「天津神からも国津神からもないとなると」
 峰夫も言ってきた。
「まだであります」
「知る時ではないか」
「何かを知るにあたっても」
 このことについてもというのだ。
「人それぞれで、です」
「時があるか」
「因果というか刻限というか」
「その時だな」
「それが来る時はです」
 何かを知る、その時はというのだ。
「その人それぞれで、です」
「運命としてだな」
「その時があるものであります」
「そうしたことも運命か」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「海の魔神のことも」
「今はか」
「わかる時ではないのかも知れません」
「然るべき時になればか」
「おのずとであります」
「運命に導かれてか」
「知ることになるかも」
「そうか、ではだ」
 英雄は腕を組み考える顔で述べた。
「今はな」
「信託は聞きつつでありますね」
「それは続けるが何といってもな」
「この浮島の統一を進める」
「そうしていく」
 こう峰夫に答えた。
「今は」
「それが先決でありますな」
「物事には優先順位がある」
「それに従うのでありますな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「春になればな」
「北陸攻めでありますな」
「そしてその間にな」 
 まさにというのだ。
「北陸の国人達はな」
「佐賀と同じ様に」
「こちらに誘いをかけてだ」
「降らせるでござるな」
「そうする」 
「では」
「戦よりもな」
 その前にというのだ。
「まずは人をな」
「降らせるでござるな」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「少しでもだ」
「降る者を多くして」
「戦をせずにことを進める」
「やはりそうでありますな」
「戦をするまでもな」
「では」
「来る者は拒まずだ」
 一切、そうした言葉だった。 
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