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仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~

作者:紡ぐ風
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第3部~希望と絶望の宝石~
  第9話『あたしって、ほんと馬鹿…』

「私のバルディッシュには、結界破壊の効果を持つ魔法があります。それを使えば、もしかしたら雅と連絡が出来るというなるかもしれません。」
〝フェ…ト、よう………がっ…!…なり大…な…〟
「こいつ、僕達ファントムの力で孵化したのか!?」
「流石は次元保護国の刑事、鋭いね。通信遮断の結界は魔女達の落とすグリーフシードを使っているのさ。」
「おかげで計画は順調だよ。さて、僕は忙しいんだ。そろそろ去らせてもらうよ。」

装填の守護者、ディロード。幾多もの世界を救い、その心は何を思う─

「二人を止められるなら、私…」
まどかはキュゥべえとの契約に応じようとする。しかし、
「それには及ばないわ。」
「悪いが、キュゥべえの好きにはさせない。」
上空からさやかと杏子を遮るようにほむらと、レンゲルに変身した雅が現れる。
「出て来やがったなイレギュラー、それにその協力者!」
杏子は槍で攻撃をしようとするが、レンゲルはレンゲルラウザーを使ってそれを受け止める。
「あんた、一体何のつもり!」
さやかはほむらに剣を向ける。
「私は、聡明で賢い人の味方で、直情的は愚か者の敵。佐倉杏子、あなたはどっち?」
ほむらは瞬間的に時間停止を行い、さやかを気絶させると杏子に近づいて時間停止を解除した。
「確かに、こいつぁとんでもないイレギュラーだ。ま、手の内の解らない奴とは戦わないようにさせてもらうわ。」
杏子は身軽な動きで建物を登ってゆき、姿を消す。
「ほむらちゃん、ありがとう…」
まどかは安堵する。
「どうして私の忠告を無視するの。このままでは、貴方は取り返しのつかないことになるわ。だから、もう関わらない方がいい。」
ほむらはまどかを睨む。
「また君か、人の権利を奪うのはよくないなぁ。」
キュゥべえは呆れるように言う。
「私はまどかを魔法少女にしたくないだけよ。」
ほむらはキュゥべえに拳銃を向けながら言う。すると、
「どういうことだ!通信が繋がらない!」
リンディに経過を報告しようとしていた雅が騒ぎ出す。
「残念だけど、通信遮断の結界を張らせてもらったよ。君が何を考えているのか解らない以上、僕としても最善策を使うしかないからね。」
「くっ…」
雅は唇を噛み締める。
「あなたならこれくらいどうにか出来るんじゃないかしら?」
ほむらは冷静に返す。
「出来ないわけでは無いが…」
「さあ、みせるんだ。君が魔法を操れる、その証を。」
キュゥべえは煽るように言う。
「魔法ですって!?」
ほむらは驚く。
「言われてしまったなら、仕方が無い。」
雅はディロードライバーを装着し、ディロードのライダーカードをディロードライバーにスキャンする。
【KAMEN RIDE-DELOAD-】
「変身!」
雅はディロードに変身し、そのタイミングでさやかな意識を取り戻す。
【ATTACK RIDE-BARDICHE ASSAULT-】
【FORM RIDE-DELOAD LIGHTNING-】
ディロードはロードスラスターをバルディッシュ・アサルトに変えてライトニングフォームにフォームチェンジする。
「バルディッシュ…ザンバーフォーム!」
[zanber form]
ディロードはバルディッシュ・アサルトをザンバーフォームに変える。
「スプライト…ザンバー!」
ディロードは結界破壊の斬撃魔法を放つ。しかし、結界に触れた途端ザンバーフォームを構成していた魔力刃は一瞬のうちに消滅してしまった。
「まさか、次元干渉遮断システム!?それなら!」
雅は一度変身を解除し、バルディッシュ・ブレイヴァーを取り出す。
【KAMEN RIDE-DELOAD-】
【ATTACK RIDE-SONIC-】
雅はディロードに再変身し、ソニックフォームにフォームチェンジする。
「バルディッシュ・ブレイヴァー、セットアップ!」
【FORM RIDE-DELOAD SONIC BRAVE-】
ディロードはソニックブレイブ強化変身する。
【ATTACK RIDE-BARDICHE ASSAULT-】
[spirit zanber]
ディロードは次元干渉遮断システムに阻害されない形で再びスプライトザンバーを放つが、今度は何かの障壁にぶつかり、ザンバーはかき消される。
「AMF!?しかも高ランクの!」
雅は変身を解除する。
「君にこれ以上動かれると困るんだ。行こう、さやか。」
「そうね。それにしても、まさかあんたも魔法が使えたなんてね。ファントムの魔力は必要ないとか言っていたのに、嘘つき!」
さやかは去り際にそう吐き捨てて、キュゥべえと共に去って行く。
「どういうことかしら。魔法を見せなかったのは、私の油断を誘う為?それとも、ただの余裕?」
ほむらは、拳銃を雅につきつける。
「魔法が使えたからといって、何か変わることでもありますか。」
「何を言っているのかしら。魔法使いである以上、ファントム狩りの妨げになる可能性があるわ。」
「確かに魔法は使える。しかし、僕の魔法はこの世界由来のものでは無い。ですからわざわざあなた達の生命線を奪う気はありません。」
「それも本当かしら?」
「僕にほむらさんの魔法は効きません。もし本当に敵なら、最初の時点でほむらさんを消しているはずです。ですから信じて下さい。」
雅は頭を下げる。
「そこまで言うなら、様子見させてもらうわ。」
ほむらは拳銃を盾の中にしまい去る。
「大丈夫?」
雅は腰を抜かしているまどかに手を差し伸べる。
「あ、ありがとうございます。」
「礼にはおよびません。まどかさん、君には魔法少女になるよりも、重要な使命があるはずです。」
「重要な?」
「今の平穏を、続けることです。」
「はい…わかりました。ありがとうございます。」
まどかは雅の言葉に納得し礼を言うと家に帰る。
「さて、こうなると野宿生活か。多分ほむらさんは家に入れてくれないだろう。」
雅はかつて映司から習った野宿の方法を実践し、夜が明ける。

翌日、ほむらはゲームセンターでリズムゲームに興じている杏子にある取引をし、杏子はそれに応じて二人が外へ出ると空は既に暗くなっていた。
「約束通り、来たよ。」
陸橋の上、さやかはまどかを連れて杏子とほむらに会いゆく。
「美樹さやか、残念だけど貴女には消えてもらうわ。」
既にほむらは魔法少女服に変わり、戦闘態勢を整えている。それを杏子はプレッツェルを咥えながら、
「なあ、本当にこれを食い終わる前に勝てんのか?」
ほむらに質問する。
「とうとう始まるのか。」
それを雅は遠巻きから観ている。
「ええ、それだけあれば充分よ。」
ほむらは杏子の質問に軽く答える。
「随分その気じゃない!」
さやかもソウルジェムを取り出す。しかし、
「駄目ぇぇぇっ!」
突然まどかはさやかのソウルジェムを掴み橋の下に投げる。投げられたソウルジェムはトラックの荷台に乗り、そのままさやかから離れる。
「まどか!あんたなんてことを…」
さやかは突然倒れる。
「ッ!」
ほむらは急いで時間停止を使い、トラックを追いかける。
「おい!どういうことだよ、これ…」
杏子はさやかの肌に触れ、驚く。
「こいつ…死んでるじゃねぇか!」
杏子は驚愕の一言を言う。
「駄目じゃないか、まどか。友達をなげちゃ。」
その光景をキュゥべえは淡々と言う。
「おい…どういうことだよ…」
杏子はキュゥべえの首を捕まえて問いただす。
「まさか、君達みたいな脆い肉体で魔女と戦えだなんて言うわけないだろう。君達と契約する時、君達の魂は僕がソウルジェムに加工して、肉体から切り離させてもらっているんだ。」
キュゥべえはソウルジェムの秘密を明かす。杏子のキュゥべえを掴む手に力が入る。
「なんだよそれ…それじゃああたし達、ゾンビにされてるってことかよ!」
杏子は激怒する。
「君達に魔女と戦う力と願いを与えているんだ。そんな言い方は心外だ。」
「もしかして、あいつは知っているのか!」
「追いかけたんだ。きっと知っているのだろう。」
キュゥべえが答えると、杏子はキュゥべえを地面に叩きつける。
「はぁ…はぁ…」
その頃、ほむらは時間停止を駆使してさやかのソウルジェムを追いかけていた。そこに、ソニックのカードを使った雅が合流する。
「協力しますよ。」
二人はトラックにたどり着き、さやかのソウルジェムを回収すると、すぐに戻りさやかにソウルジェムを握らせる。
「あれ?」
さやかはすぐに起き上がる。その光景はその場にいた者達の心に突き刺さり、皆無言で解散していった。
「じゃあ、あたし達騙されていたの…」
さやかはキュゥべえに質問する。
「騙していないさ。ただ聞かれなかったから言わなかっただけさ。」
キュゥべえはしれっと答え、さやかのソウルジェムに触れる。
「これが肺が破裂する痛みだ。」
さやかはもがき苦しむ。
「君達にこんな思いをさせない為に、僕は魂をソウルジェムに変えてあげたんだ。君の魔法は癒し、その気になれば痛みを消し去ることだって出来る。それをどう使うかは君次第だ。」
さやかは一睡も出来ずに夜がふける。

翌日、さやかはクラスメイトの志筑仁美に会う。
「美樹さんおはようございます。上条さんの左手、治ってよかったです。それで、いつ告白なさるつもりですか?」
「それは…」
「自分の気持ちに嘘をついていませんか?私、明日の放課後、上条さんに告白します。」
「えっ…」
仁美の言葉にさやかは言葉を失う。
「それでは。」
仁美はそう言って去る。

夕刻、さやかは以前取り逃がしたリビングデッドと交戦していた。
「おい、大丈夫か!」
「無茶するな!変身!」
【CHANGE RIDE-BLAYBUCKLE-】
[turn up]
そこに魔法少女の姿になった杏子と、ブレイドに変身した雅が現れる。
「邪魔しないで…」
「本当に勝てるのか?」
さやかは憎悪の混ざった声で言うと、ブレイドの言葉を無視して素早くリビングデッドに近づき切り裂く。
「馬鹿め!俺の体は死んでいるから、痛みなどない!」
リビングデッドは平然と立ち上がる。
「へぇ~、あんたもなんだ。」
さやかは自身の関節も壊れるであろう勢いでリビングデッドを攻撃する。
「本当だ。その気になれば、痛みなんて感じないんだ。」
さやかは壊れたような笑みを浮かべながらリビングデッドを何度も斬り付ける。
「やめろ!怖い!やめてくれ!」
自ら壊れながら攻撃してくるさやかに、リビングデッドは恐怖を覚える。しかし、さやかは攻撃の手を止めず、ついにリビングデッドは核を破壊されて撃破される。その光景を杏子とブレイドはただ見ていることしか出来ず、さやかはそのまま去ってしまう。
「…」
自室に入ったさやかは机に伏して泣きじゃくる。
「うぅ…馬鹿だ…あたしって、ホント馬鹿…」
to be continued.

次回、仮面ライダーディロード
「力を持つことの本当の意味はなんだろう。ただ強ければいいのだろうか。次回、『見え始める危険』」 
 

 
後書き
さやかちゃんが魔女化すると思った?残念、ただの心境でした。でもきっと、さやかは劇中で描かれていないだけで、何度も自分の行動に後悔していると思って、今回のシーンを作りました。 
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