仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第3部~希望と絶望の宝石~
第8話『ドリームチーム』
「ふ~ん、あれがあんたの言っていたイレギュラーに協力している危険な奴?」
「ああ、彼はこの世界の人間では無い。この世界において、どれだけ被害を出すかまだ不明だ。被害が大きくなる前にイレギュラーな魔法少女と一気に倒してほしい。」
「槍使いに剣や銃は不利だな。」
「だから、殺すためにやってんの!言っても駄目。痛めつけても駄目。だったら殺すしかねぇじゃん!」
「二人を止められるなら、私…」
まどかはキュゥべえとの契約に応じようとする。
─魔法の指輪、ウィザードリング。今を生きる魔法使いはその輝きを両手に宿し、絶望を希望に変える─
晴人達が朱雀とゴルゴンの両ファントムとの共闘を持ち掛けられてから早くも三日が経つが、願いの魔女に対する情報は掴めずにいた。
「晴人君、この二人の素性が解ったわ。朱雀の方は二年前から失踪届けが出されている弁護士の南スザクさん、ゴルゴンの方は四年前に行方不明になっているフリーター、蛇倉サナさんだったわ。」
凛子は晴人達にゲートの情報を伝える。
「へぇ、僕達のゲートってそんな名前だったんだ。」
「ま、だから何って話だけどね。」
スザクとサナは興味なさそうに言う。
「仮にも、お前達が殺したゲートだぞ。自覚がないのか。」
晴人は静かな怒りをぶつけるが、
「これでも、このゲート達には感謝しているさ。こいつらがいなければ、僕達はこの世界に顕現出来なかったからね。」
「それには私も同意見ね。私達って、ゲートの中から自由に出られるわけじゃなくて、決まったゲートの中からしか生まれることが出来ないからね。」
スザクとサナはあえて挑発するような口調で言う。
「お前達!」
晴人は二人の口車に乗りそうになる。
「皆さん落ち着いて下さい。スザクさんとサナさんも不必要な挑発は控えて下さい。」
フェイトは晴人を抑え、スザクとサナに警告する。
「こわいねぇ、流石は刑事ってところかな。」
スザクは笑うように言う。
「それで、この世界に来て一つ気になったことがあるんです。」
「どうした、フェイトちゃん?」
「この世界には、私と雅が連絡出来ないように結界が張られているみたいですが、それを壊せないかです。」
「なるほど、それで結界を破壊する方法はあるのか?」
「私のバルディッシュには、結界破壊の効果を持つ魔法があります。それを使えば、もしかしたら雅と連絡が出来るというなるかもしれません。」
フェイトは説明する。
「わかった、やってみよう。おそらく結界が張ってあるのは俺達が行動出来る範囲だ。それなら近くに海辺がある。そこなら被害は無いはずだ。」
適切な場所を晴人は説明し、フェイト達は移動する。
「行こう、バルディッシュ。」
[yes sir.]
既にフェイトはバリアジャケットを纏い、バルディッシュ・アサルトをザンバーモードに変形している。
「疾風・迅雷!」
[sprite zamber!]
「スプライト…ザンバー!」
フェイトはありとあらゆる設置型魔法を破壊する斬撃、スプライトザンバーを放つ。放たれた斬撃は海辺の先にある何かに当たり、ミシミシと音をたてる。
「やっぱり、何か結界がある。それなら!」
フェイトは振るう力を更に強くし、通信遮断の結界を完全に粉砕する。
「雅、聞こえる!?」
フェイトは雅に連絡をする。
〝フェ…ト、よう………がっ…!…なり大…な…〟
フェイトの通信に雅は応えるが、結界の力が残留しているためか、雅の声はノイズが入っている。
「雅、こっちでは仮面ライダーとファントムの両側と連携をとることに成功したけど、雅の方はどう?」
〝さっ…も…し……れど、こっ…、は既に……模の歴史…竄が…われてい…〟
雅は『まどか☆マギカ』の世界におきている歴史改竄を伝えようとするがノイズによって正確に伝わらない。
「まったく、この世界の情報を装填の守護者に知られると計画に大きな支障をきたすんだ。やめてもらいたいね。」
キュゥべえは物陰からフェイト達を見ていたが、フェイトが雅を通信を行うことを良しとせず、グリーフシードを取り出す。
「さて、仮面ライダー達の活躍の結果、この世界で生まれた魔女は全て倒されてしまった。そうなれば、このグリーフシードを使った実験が、この世界で行える最後の実験だ。ファントムから集めたこの絶望のエネルギー、効率良く使わせてもらうよ。」
キュゥべえは前脚でグリーフシードに触れ、ファントムのエネルギーをグリーフシードに流して絶望のエネルギーを満たし、貪欲の魔女をグリーフシードから孵化させる。
「どういうことだ!?あの魔女は僕達が倒したはず!」
スザクは驚く。
「スザク、その時にグリーフシードは回収しましたか?」
「グリーフシード?一体なんのことだ?」
「魔女には核となるグリーフシードが存在して、それを処理しない限り再び魔女が孵化します。」
フェイトはスザクに説明する。
「それじゃあ、今度こそ倒しましょう。」
スザクとサナはファントムの姿に戻る。
「仁藤、フェイトちゃん、俺達も行くぞ!」
晴人と仁藤も変身し、貪欲の魔女に向かってゆく。しかし、
「ア゙ァァァァ!」
貪欲の魔女が叫ぶと使い魔だけでなくグールも同時に出現する。
「こいつ、僕達ファントムの力で孵化したのか!?」
本来ではあり得ない光景に、朱雀は臆測をたてる。
「どういうことだ?」
「グールは僕達ファントムでしか使役出来ない。逆に返せばあの魔女にはファントムの力が宿っているからグールを使役出来るということ。間違いなくキュゥべえの策略だ。きっと、僕達を始末するのが目的のはず!」
朱雀は火炎弾を放ち使い魔とグールを一掃するが、数は一向に減少しない。
「こういう時は、これだ!」
〝ランド…ドラゴン…ダン・デン・ゴン・ズ・ド・ゴ~ン!ダン・デン・ド・ゴーン!〟
〝チョーイイネ!グラビティ!サイコー!〟
ウィザードはランドドラゴンにスタイルチェンジし、超重力の魔法を発動し、周囲を重力波で押し潰し、呼び出されたグールと使い魔を殲滅する。
「んじゃ、もう復活出来ないように俺が食ってやる!」
〝キックストライク!ゴー!〟
ビーストはストライクビーストを放ち、貪欲の魔女を撃破し、ビーストキマイラはグリーフシードからその魔力を捕食する。
〝仁藤哮介、今回の魔力はやはりファントムの魔力が入っていた。気をつけろ。〟
ビーストキマイラは仁藤に忠告する。
「やっぱり僕達の力を利用していたか。」
朱雀とゴルゴンは人間態になり、分かったことを言う。
「とりあえず、これで雅と連絡が…」
フェイトが連絡を行おうとするタイミングでキュゥべえが現れる。
「残念だけど、そうはさせないよ。」
キュゥべえはそう言うと、記憶の魔女のグリーフシードを踏み潰して砕く。すると、魔女の欠片のようなものが辺り一面に舞い、風に流れて散ってゆくと、フェイトの通信は遮断されてしまう。
「この結界、もしかして!?」
「流石は次元保護国の刑事、鋭いね。通信遮断の結界は魔女達の落とすグリーフシードを使っているのさ。」
キュゥべえは結界のからくりを明かす。
「あなたは解っているのですか、グリーフシードを砕くということが、どういう意味か。」
フェイトは静かにキュゥべえに言う。
「当然じゃないか。このソウルジェムとグリーフシードというシステムを作ったのは僕達なんだから。まあ、グリーフシードの方は偶発的に出来たものだけど。だけど、僕達が作ったものであることにかわりはない。」
「ならどうして!」
「言ったはずだけど、僕達にとって命とはただのエネルギーでしかないんだ。エネルギーは有効活躍しないと、勿体ないだろう?僕達は君達のような感情という欠陥を持つ生物と違って、エネルギーの無駄遣いはしたくないんだ。」
フェイトの怒りにキュゥべえはおかしなことなど無い、さも当然のことと言わんばかりに答える。
「キュゥべえ、お前の目的はなんだ?俺達の世界を実験場と言っていたな。」
晴人はウィザーソードガンを向けながら言う。
「この世界にはワルプルギスの夜を超える魔力の塊があってね、それを復活させる時のエネルギーが目的さ。あのエネルギーがあれば、鹿目まどかの絶望を使わなくてもエネルギーの回収率は100%になる。僕達も安心してこの星から帰れるんだ。」
キュゥべえは目的の一部を明かす。
「待て、俺達の世界のファントムと魔女はどうするんだ!」
「そんなものは君達人間の問題さ。僕達には関係ない話だ。」
「魔女はお前達が勝手にこの世界で作ったものだろう!」
「何を言っているんだい?君達人間が絶望なんて不可解なものを発生させなければ生まれないものだ。自分達の不注意を棚に上げて話さないでほしいな。」
「本当に、俺達とは根本的に違うみたいだな。」
「僕にとっても、君達と同じと思われるのは心外だ。」
晴人とキュゥべえが話していると、
「スプライトザンバー!」
フェイトはスプライトザンバーを放ち結界を破壊する。
「これで雅と通信が出来るはず!」
フェイトは雅と連絡を行おうとするが、結界は破壊されているにも関わらず通信が出来ないままであった。
「流石に僕達だって学習するさ。こちらで実演したのはただの時間稼ぎ。今度は僕達の世界の方に通信遮断の結界を展開させてもらったよ。」
キュゥべえは仕掛けを説明する。
「だけど、雅もライトニングフォームに変身すればスプライトザンバーを使える。」
「確かに、使えるだろうけれども凪風雅は使うことが出来ないだろう。」
「どういう意味だ。」
「ただでさえ同じ魔法少女同士で争いあう彼女達だ。凪風雅が魔法を使えると知れば美樹さやかと佐倉杏子だけでなく暁美ほむらも彼を倒そうとするだろう。本当、この星の人間の、特に少女と呼ばれる年代には感謝してもしきれないよ。こちらが親しそうに近寄れば疑うことを知らず、生物として当然である警戒心を見せる相手を敵と認識してくれる。おかげで計画は順調だよ。さて、僕は忙しいんだ。そろそろ去らせてもらうよ。」
キュゥべえはそう言うと姿を消す。指輪の魔法使い達は、事件の核心に近づきつつあった。
to be continued.
次回、仮面ライダーディロード
「本当に倒せるのか?」
「駄目じゃないか、まどか。友達を投げちゃ。」
「じゃあ、あたし達騙されていたの…」
「自分の気持ちに嘘をついていませんか?」
「あたしは…」
次回『あたしって、ホント馬鹿…』
ページ上へ戻る