ドリトル先生の野球
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第十二幕その五
「阪神なんだよね」
「ああ、そこからね」
「もうとんでもない長さの暗い時代に入ったね」
「負けて負けて負け続ける」
「そんな阪神になったね」
「うん、それでこの時代のことも今も言われているからね」
バースさんの様にというのです。
「本当にね」
「難儀なことだね」
「弱かった時もずっと言われるとかね」
「それも阪神なのよね」
「そうだよ、よくも悪くもね」
例えチームがどうなろうともというのです。
「絵になるのが阪神なんだよ」
「どんな勝ち方をしてもどんな負け方をしても」
「それが絵になるのね」
「他のチームにはないよね」
「そんなことってね」
「ないと思うよ、何があっても華があって」
それでというのです。
「人の記憶に残るからね」
「普通負ける姿まで絵にならないから」
「そこにまで華がないから」
「そう思うとね」
「阪神にしかない魅力で」
「阪神の凄いことでもあるけれど」
「その凄さがね」
どうもとです、先生はさらにお話しました。
「チームの魅力なんだよね」
「負ける姿ですら絵になって華がある」
「それは凄いことでも」
「それでもね」
「その有様がずっと語り継がれるとか」
「いいものじゃないね」
「どうもね、昔グリーンウェルっていう助っ人を獲得したけれど」
先生は皆にこうしたお話もしました。
「高い契約金と年棒を出したのに」
「活躍しなかったの?」
「それって結構どのチームでもあることじゃ」
「阪神確かに昔はバッターで多かったけれど」
「まあ他のチームにね」
「いや、キャンプに来なくてペナントはじまっても中々来なくて」
それでというのです。
「やっと来たと思ったら少し試合に出て」
「まさかと思うけれど」
「すぐに帰って」
「そのままいなくなったとか」
「うん、実際にすぐに帰国して引退したんだ」
そうなったというのです。
「神様の声を聞いたとか言って」
「それ嘘だよね」
「多分ね」
先生もその辺りは見ています。
「何か代理人の人が問題があって」
「それでなんだ」
「色々あったらしいけれど」
「その助っ人の人のことはだね」
「阪神にとっては今も悪い意味でネタだよ」
こう王子にお話するのでした。
「どうもね」
「そうなんだね」
「幻の助っ人と呼ぶ人もいるから」
そのグリーンウェルという人をです。
「シニカルにね」
「ある意味サイン持ってたら凄いね」
「滅茶苦茶貴重よね」
「殆ど試合に出なかったみたいだし」
「それじゃあね」
「そんな人になるわね」
「うん、僕もその人のサインを持っていたら」
先生は動物の皆にもお話しました。
「家宝だと思うよ」
「そうよね」
「何といってもね」
「ある意味において」
「そんなものになるね」
「本当にね、ただ普通に価値ある人のサインが多いのも」
このこともというのです。
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