転生したらビーデルの妹だった件
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第八話
あれ…?なんでまたわたしはビルス様の星に…?
格闘大会の後の祝賀会が終わるとウィスさんに拉致された後の記憶が…あれ?
「ほらほら、サボっていると落ちちゃいますよ」
「ぐぎぎぎぎぎ」
着膨れした宇宙服のようなものを着てビルス様の星の外周を走っているわたし。
その服がやはりとてつもなく重い。
気をコントロールして操るとどうにか動けるくらいで、集中してもものすごい負荷がかかっている。ちょっとでも気を抜くと潰れてしまいそうだ。
「ぐぅ…くぅう……」
隣を同じようにして負荷トレーニングに励んでいるベジータ。
あ、そうね…ちょうどいいサンドバッグ代わりにわたしを拉致って来たのね…
このクソ男、毎度毎度わたしをサンドバッグ代わりにしやがってっ!
そう言う事は悟空さんとやってよっ!
とは怖いので言えません。
しばらく修行を受けていると悟空さんも合流。
もうわたし必要ないよね?
修行を再開し、小腹がすいたのでベジータが持参したバケツラーメンを頂く。
この待っている五分が長い長い。
バケツラーメンを食べ終わるとウィスさんに地球のブルマさんから連絡が。
何かカプセルコーポレーションで異変が起きたらしい。
急用だから帰って来いとの事。
急いで戻ろうとするとビルス様とウィスさんもわたしの肩を掴んだ。
ベジータさんはともかく悟空さんは自分で瞬間移動をして欲しい。
「にっひっひ、オラには地球は遠すぎて気を感じるのが難しいんだ」
あ、そう。
まぁいいや。それじゃ…ブルマさんの気を辿って…
瞬間移動しカプセルコーポレーションに現れると青髪の青年が東屋にある長椅子に横たえられていた。
「孫君、仙豆持ってない?」
「げ、持ってねぇや」
「かりん様の所で貰ってきてよ。なんでこんな所に現れたのか聞きたいし」
んっと…
「わたし回復出来ますよ」
「なにっ!?」
「なんで、どうして?」
まあ色々と。
「何でもいいじゃない。それより早く」
はいはい。
えっと…
「え?」
寝かされている青年を見てわたしは絶句する。
「トラン…クス…?」
驚いたわたしだが、無意識にもしっかりトランクスを回復していたらしい。
「うっ…」
傷が治り体力が回復したトランクスは意識が覚醒し始める。
「はっ!…貴様っ!」
意識が覚醒するといきなり気を高めてその拳を突きつけて来た。
「おっと」
その腕を掴み捻り上げるとトランクスからくぐもった声。
「モンテ…貴様…っ!」
トランクスから怒気が放たれる。
「お前の、お前だけはっ!はぁっ!」
髪が金色に逆立って超サイヤ人に変身するトランクス。
「超サイヤ人だとっ!」
周りから驚きの声が上がる。
「お前だけは許さないっ!」
「それはわたしのセリフだっ!」
気合一発超サイヤ人2へと変身。
「お前がっ!」
「ぐぅ」
ドスッ
「未来からっ!」
「かはっ」
ドカッ!
「来ないからっ!」
「うぅ…」
バキッ!
「わたしが苦労するハメになったんだぞっ!」
「ぐはっ!」
地面にクレーターを作って倒れ込むトランクス。
「もう、ダメじゃない…自分で回復させておいて自分で倒しちゃったら」
「あ…」
ブルマに怒られた。
「孫君、やっぱりカリン様から仙豆貰ってきて」
「お、おう、分かった」
瞬間移動で仙豆を貰って来た悟空さんが青年に仙豆を食べさせる。
「あんたは離れてなさい」
「はいはい」
ブルマに言われて東屋の外、人垣の一番後ろに移動して様子をうかがう。
「はっ…母さん…」
再び意識を取り戻したトランクスは目の前のブルマに気が付いて言葉を漏らした。
「はい?」
「お前ぇっ!こんなに大きな子供が居ただとっ!?」
「居るわけないじゃないベジータ。私の子供はトランクスだけよっ!」
夫婦喧嘩勃発の危機。
最愛のブルマにこんな大きな子がいたら確かに怒るよね、ベジータも。
「父さんも落ち着いて」
「ほら、あんたが父親じゃないのっ!」
「な、そんなバカなっ!?」
「一体どうなっているんだ」
と言うピッコロの呟き。うん、確かにどうなっているんだ?
「で、話を纏めると。あなたは未来から来た私たちの息子のトランクスで、一度私たちに会いに来たことが有る、と」
一番理解力が有ろうブルマがトランクスの話を聞いてまとめた。
「はい」
「でもごめんなさいね。トランクス、で良いのかしら。私達はあなたに会った事はないのよね」
「そんなバカなっ!それじゃあ悟空さんの心臓病は?人造人間はどうなったんですかっ」
「孫君は心臓病?とか言うのにはなってないし、人造人間?えっとセルの事は倒したわよ。十七号さんと十八号さんは改心して生きているわ。十八号さんなんてクリリンの奥さんなのよ、ビックリよね」
あんたがベジータの妻になるくらいにはビックリだな。
「そんな…そんなはずは…」
どうにか理解しようとするトランクス。
「じゃ、じゃああの人は誰なんですかっ!」
ビシっと指した方向に居るのは…てわたしか。
「モンテちゃんの事?」
「そうですっ」
「うーん、あれ?…誰か詳しい人居る?説明しようにもああいう生き物としか説明できないわ」
おい、天才っ!
「ほれ、自己紹介しろアホ娘」
ピッコロさんはいつも私に辛辣だ。
「モンテです。マークの娘で悟飯くんの奥さんになったビーデルの妹、パンちゃんの叔母さん……おば…さん…」
おばさんという言葉にショックを受けて地面に倒れ込んだ。
「誰だ、マークって」
悟空さんが分からんと唸る。
「わたしのパパよ」
「オメェの父ちゃんってミスターサタンじゃねえのか?」
「パパの本名はマークって言うの」
「知ってたか?」「知らなかった」
そこかしこでどよめきが起きた。
パパェ…
「そうですか…すみません…しかし無関係にしては似すぎている」
そうして語られたトランクスの未来の世界。
そこではモンテと名乗る女性一人で地球が壊滅させられているそうだ。
勿論トランクスも応戦したのだが敵わず、少しでも戦力をと以前飛んだ過去の時代へと再び時間移動してきたそうだ。
「たぶんその時なにか不慮の事態が起こったのね。あなたが飛んだ時代よりもさらに先で別れた世界に間違えて出ちゃったのよ」
「そんなっ」
「で、あなたの時代で暴れている存在があそこにいるモンテちゃんとそっくり、と。やめてよねモンテちゃん悪落ちはあなたに似合わないわよ?」
「するつもりなーーいっ!」
と言うか、え?わたしそっくりなのっ!?悟空さんじゃなくてっ!?
さて、そんな話なのだが…ここには神様関係の方…まぁ破壊神さまが居る訳だけど…
時間移動、取り分け過去への干渉は重罪らしい。
それなのにそれを目の前で告白するのだから、タイミングが悪いとしか言いようがないね。
未来が大変と言う事で悟空さんもベジータさんも助けに行くらしい。
そんな相談をしていると、丁度トランクスが現れたらしい空間から一人の女性が現れた。
「モンテ…」
「うわ、たしかにモンテそっくりだなっ!」
うへぇ…まるで鏡を見ているようだよ。
「おい、カカロット貴様っ」
「へへへ、速い者勝ちだろう」
「チッ」
現れたモンテに向かっていく悟空。どうやら戦いに行くようだ。
「あっちのアイツもモンテって言うのよね、なんかゴチャゴチャしそうね。あっちのわたしはモンテブラックって言うのは」
止めてよ。
「オルタでお願いします」
「オルタ?…ああ、オルタナティブか。じゃあモンテ・オルタでいいか」
オルタと戦い始める悟空さん。
最初から本気で戦わない悟空の悪い癖が発動し、倒すに至らない間に何かに引っ張られるようだ。
恐らく未来に戻ったのだろう。
帰る駄賃にとタイムマシンを破壊しようとするオルタのエネルギー弾。
「はっ!」
「ちぃ…」
エネルギー弾を気功波で弾き飛ばすとどうにかタイムマシンは破壊されずに済んだようだ。
悪態を吐いたモンテはそのまま時空の間に消えて行った。
「ふぅ…」
「で、結局あのオルタはこのモンテなの?」
「いいや、違う。気の質が違いすぎるからな」
「はい。それにあの感じは以前どこかで…」
ブルマの問いにビルス様とウィスさんが答えた。
とりあえず、情報を纏める時間を取る為にいったん解散となった。
わたしはどうするかな…
と言うかどうしてゴクウブラックがわたしに変わっているの?
いやいや、まてまて…と言う事はもしかして最悪な事態がっ!?
うーそーだーっ!?
その後、悟空さんとベジータさんがトランクスと一緒に未来へと行ったようだ。
部屋でくつろいでいると一瞬で視界が移り変わった。
「どこ、ここ?」
目の前に手を持ってくる緑色の肌をしていた。
近くに水場を見つけたわたしはのぞき込むとモヒカンの様な変な髪形の男が一人。
何と言うか界王神みたいな見た目だ。
あれ…?
も…
も……
もしかして…
ザマスになってるーーーーーーっ!?
「スーパードラゴンボールで中身を入れ替えられたっ!?ひぃいいいいいっ!?」
いやそれは無いはず…だってスーパードラゴンボールは一年間のクールタイム中だ。
まぁギニューですら悟空とボディチェンジ出来るのだ、他のドラゴンボールでも可能だろう。
ドラゴンボール自体はナメック星人なら作り出せるし第六宇宙とかにも有るかもしれないし、第七宇宙のナメック星のポルンガを呼び出したのかもしれない。
やばい…やばい…やばい…やばい…
でもスーパードラゴンボールよりは力は大分弱いようで、魂の方を入れ替えたのだろう。
「入れ替わったって事は殺しにくるよね!?」
オルタがわたしの姿をしていたと言う事はやはりこうなる訳だ。
と言う事はここは第十宇宙の界王神界…
くそ…なんて事だ…
「ゴワス様はっ!?」
神殿内を探し回ると血を流して倒れているゴワス様。
ポタラは奪われているが微かだが息は有るようだ。
「おねがい…」
祈る気持ちで復活パワーを注ぎ込む。どうにか持ち直してくれると良いのだけれど…
それにしてもシェンロンを出しっぱなしにして入れ替わるとはね。
目線の先には未だ待機中のポルンガの姿がある。
願い事はまだ残っているようだ。これはチャンスだ。
ナメック語はある程度喋れるように勉強しているしポルンガの残りの願いを消費してしまおう。
再び体を入れ替えても意味は無い。だったら…
ドラゴンボールがただの石へと変化してポルンガが消え去った第10宇宙の界王神界。
もう迷ってられない…
「何処に行くのですか?」
振り返るとそこにはわたしが居た。
「わたしの体…」
「ええ、あなたの体は実に具合が良い」
「この変態がっ!」
「酷い事を言いますね」
キューンと収束する気弾。
「くっ…ご丁寧に力封じを…」
こちらも気功波を出そうとして体の中で何かが邪魔をしているのを感じる。
ドン
「ぐぁああっ!」
「ほらほら無様に逃げなさい」
今の一撃ですでに死に体だ。
「ぐぅ…」
界王神界が同じような作りなら、せめてあの場所へ…
神殿内を這いずり回りながら移動する。
「ぐぁぁぁああっ」
気弾が当たる事にわたしの悲鳴が響く。
ズリズリと這うが…もうすでに意識がもうろうとしている。
「これで最後です」
ザマスの放った気弾に吹き飛ばされる体。
「………」
ドボンと浮かぶ球体の水の中に飛ばされるとそこで意識を失った。
意識が覚醒する。
「あ、う……」
「気が付いたか?」
「ここ…は?」
「ここはわたしの家だよ。あんたはわたしの家の前で倒れてたんだ」
目の前にかざした掌は最後に見た緑色ではなく黄色だった。
髪の毛もどうやら黒いらしい。
腰のあたりに意識を集中するとどうやら尻尾も有るようだ。
「何処の部隊の者だか分からないけど、そんな所で倒れているんじゃないよ」
目の前の女性を見る。
「サイヤ…人?」
「変な事を言う娘だね。あんたもサイヤ人だろう?」
「どこ、ここ…地球じゃ、無い?」
「あんたもしかして戻し子かい?まぁサイヤ人は放任主義だからなぁ、仕方ない、あんたしばらく家に居な。バーダックはしばらく帰ってこないし大丈夫だろう」
「バーダック………え?」
サイヤ人の女性…ギネさんと言うらしい。
それからモンテは彼女の家に居候している。
乱暴で粗野なサイヤ人が多い中、彼女はやさしさで溢れ周りからは浮いているようだが、わたしはすぐに懐いてしまった。
彼女の家に一部屋借りて生活をしていて、衣食住のすべてを面倒見てもらっていた。
とは言え、服装と言えばフリーザ軍の戦闘服なのだが…
部屋の片隅に保育器が有り、その中には三歳ほどのサイヤ人の男の子が眠っている。
「毎日毎日、カカロットを眺めて…飽きないのか?」
ギネさんが問いかけた。
「うーん…なんか不思議で」
「あんたもサイヤ人ならおんなじ感じだっただろうさ」
いえ、わたしは地球人です。
どうやらギネさんには小さいころに飛ばし子として異星に飛ばされ、最近になって回収されたはいいが放置されたサイヤ人と言う事で落ち着いたらしい。
正直説明するのが面倒くさいので訂正しないで厄介になっている。
とは言え、カカロットだとぉっ!
つまりここは過去の惑星ベジータと言う事なのだろう。
奇跡…と呼ぶにはチープだ。
本来わたしはあの界王神界でザマスに殺されている。その死の間際、生きぎたなく模索した結果、アディショナルタイムを生きているようなものだ。
それが何故過去に、それも惑星ベジータに居るのかは謎なのだが、それも奇跡と言う事にしておこう。
この体はまがい物だ。勿論肉体はあるが、魂が物質化したような状態で、何もしなくても消耗していくし回復もしない。
時々手が透けているのが見える。
本当にただの走馬灯の如き時間しか許されない体なのだが、それはもうしょうがないと諦めた。
勿論受け入れるのに三日位掛かって今も時々鬱になり駆けるが…死ぬのはやはり怖い。
そう言えば、悟空がここに居るって事はブロリーってどうなっているのだろうか。
いや、わたしは会った事無かったからこの世界には居ないのかな?
まぁ、確かめようもないか。
最近外が慌ただしい。
フリーザからサイヤ人全員に召集命令が出たらしく異星に行っていた者達も急いで帰ってきているようだ。
これはもう時間も無いな。このタイミングでの招集命令と言えばあれだ。
「ギネ、誰だこいつは」
外からギネさんと一緒に入って来た男の人がわたしを見てそう誰何した。
「ああ、その娘はモンテ。ちょっと訳ありでわたしが面倒みているんだ」
「まったくおめぇは…サイヤ人らしくねぇな」
「そうかな…それよりもカカロット見るだろう」
そう言って家の奥へと向かっていく男。うん悟空さんにそっくりな所をみるとバーダックなのだろう。
それを見て本当に惑星ベジータ消滅のカウントダウンを肌で感じた。
次の日、保育器に入っていたカカロットが居なくなっていた。
どうやら飛ばし子として地球に飛ばしたらしい。
「カカロット…大丈夫だろうか」
心配そうに空を見上げているギネさん。
「大丈夫ですよ。わたし大きくなった悟空さん…カカロットに会った事ありますから」
「はは、モンテは偶に面白い事を言うね」
悟空が飛ばされたと言う事は惑星ベジータ消滅まで本当に時間がない。わたしはどうしようか…
待っていても、例え生き抜いてもあとほんの少しの命なら、やれる事が他にもあるはずだ。
過去は変えられない、変えてはいけないと言うけれど、わたしが認識する過去が変わらなければここで何かをしても良いのではないか?
そうと決まればアタックボールを一つ盗んでこよう。
「あんたまでバーダックみたいにそんな物盗んで」
アタックボールを盗んできたらギネさんが呆れていた。
「これでどうするんだ?フリーザさまの招集命令が出ているんだよ」
「勿論ギネさんが乗るんですよ」
「はい?」
疑問を浮かべたギネさんに訥々と語る。
「フリーザによって惑星ベジータは消滅します。その前に逃げてください」
「言ってる意味が分からないよ、それにバーダックは…」
それにフルフルと首を振るとそのままギネさんの鳩尾を殴り気絶させると無理やりアタックボールに詰め込みパネルを操作。
「えっと、行先は…ヤードラット星でいいか。コールドスリープを使用して…げ、推進剤不足で到着予想がかなり遅れるな…まぁしょうがないか」
パネルを操作し終えると扉が閉まり勝手に飛び去って行くアタックボール。
生命活動が停止しているし、スカウターをすり抜けてくれれば良いのだけれど。
もう手が薄れているのを誤魔化す事もしない。
空を見上げれば巨大な熱量の塊が降ってきているのが見える。それを見上げつつ、今度こそ自分の死を受け入れた。
どう言う事だろう。
再び意識が浮上する。
どうやら死に損なったようだ。
いや、そんな訳が無い。ポルンガに叶えてもらった願いのおかげだろう。
「だうっ」
あれ、上手くしゃべれないぞ?体も上手く動かせないし…
どうにか手を目の間に持ってくると…
ちぃっちぇーーーーーーーっ!?
「なんだ、モンテ起きたのか」
ベビーベッドを見下ろしているのはギネさんだった。
「バーダックの様な強い娘になりなよ。わたしの赤ちゃん」
な、なんだってーっ!?
どうやらわたしは死んだと思ったら生まれ変わっていたようだ。
しかもギネさんの娘として。
ポルンガに頼んだ願いで死んだら第七宇宙にサイヤ人として生まれ変わらせてくれと頼んだのだらこう言うことになったらしい。
モンテと言う名前は自分をこの星、ヤードラットに飛ばしたサイヤ人からもらったとママが言っていた。
…わたしだよね。
モンテちゃん、12歳になりました。
ヤードラット星にて健やかに成長したわたしはそろそろ行動を開始する事にする。
ママのコールドスリープが意外と長期だったためにこの年でようやく時間軸が死ぬ直前に追いついたのだ。
成長した姿は若くは有るが以前のモンテとそっくりである。どうしてなのか分からないけれど。
「地球に行きたい?どうして」
そろそろヤードラット星を旅立つ時だ。
「ダメかな?ママもカカロットお兄ちゃんに会いたいでしょう?」
「そりゃぁ…でも多分覚えていないだろうし」
「それじゃはじめましてをやりに行こう。それに瞬間移動ならすぐだし。ママも瞬間移動だけは覚えたよね?」
わたしはスピリット修行でいろいろな技が使えるようになったりしたのだけれど、ママは結構不器用だったみたいで瞬間移動くらいしか覚えられなかったのだ。
「そうだけど、カカロットの気なんて覚えていないよ」
「大丈夫、その辺はわたしが何とかするから」
育ててもらったヤードラット星に別れを告げて地球へと瞬間移動すると、ブルマの家でトランクス達がタイムマシンで未来に旅立とうとしている最中だった。
集まった中には当然のようにモンテが居て…
ガシッ
「な…」
「何者だっ!」
今まさに背後から悟空の胸を貫こうとしていたモンテの腕を横から現れた少女が掴んで止めていた。
「はぁっ!」
少女はモンテを蹴り上げると追ってモンテに迫る。
「お前は…まさかっ」
モンテは超サイヤ人に変身すると少女の攻撃を凌ぐ。
「調子に乗るなよっ!」
攻撃に転じるモンテにたまらず少女は身を引いた。
「はっ!」
少女の髪が金色に染まり逆立つ。
「超サイヤ人…だと?」
とベジータ。
「だが、モンテの気は変だ。これではまるでオルタの様では無いか」
どす黒い気がモンテを覆っている。その気は以前感じたオルタの気そのもので…
「はぁああっ!」
モンテが掌から気功波を撃ち出す。
「かめはめ波ぁあああっ!」
少女が撃ちだした気功波が撃ち合いになって相殺。
「かめはめ波だとぉっ!」
驚きの声をあげるピッコロさん。
「この先邪魔になるであろう最大の邪魔ものをこの機に始末しておこうと思ったのだが…どうやら失敗したらしいな、だが…」
その右手にいつの間にか一つの指輪が嵌りその両耳に緑色のポタラが嵌っていた。
「この体は素晴らしい…」
「やめろ変態っ!わたしの体で何をするっ!」
「もう私の体だ…それにこの時間軸では私の目的は叶いそうにないな…ならば」
そう言ったモンテの体が一瞬で消えて行った。
空中から降りて来た少女に駆け寄る妙齢の女性。
「モンテ、いきなり飛び出して行って…大丈夫だっだ?」
「モンテだと…?」
「それにあの女性も尻尾がある…サイヤ人か?」
「いぃ!?サイヤ人の生き残りって結構いるんだな。オラびっくりしたぞ」
少女を抱きしめた妙齢の女性はその懐かしい声色に視線を彷徨わせた。
そして一人の人物を見つけるとぽつりと呟いた。
「カカロット…カカロットだろ」
「え、どうしてオラの名前を知っているんだ?」
困惑する悟空。
「カカロットォっ!」
ガシっと悟空に抱き着く妙齢の女性。
「ちょ、ちょっとどうなってんだ…まいったな」
泣きじゃくる妙齢の女性に対応に困っている悟空。
「いったい何がどうなっている訳?モンテちゃんはどうなちゃったの、そしてそっちのその娘は?」
女性が泣き止むのをまってブルマが説明を求める。
「わたしはギネ。カカロットとこの娘、モンテの母親です」
「いいっ!?オラの母ちゃんって事か?」
「何だと!?どう言う事だ」
ギネは惑星ベジータが爆発する前に何者かにアタックボールに乗せられて飛ばされたと語った。
長期コールドスリープが掛けられたまま飛行していて13年前にようやくとある惑星に着陸、解凍されたと説明した。
「まって、孫君のお母さんの娘って事は孫君の妹って事?」
「オラの妹かぁっ!っておめぇモンテじゃねえか。え、でもさっきどっかに行ったあいつもモンテで…だめだオラこんがらがってきたぞ」
「なんでカカロットがモンテを知っているんだ?」
「いや、だってよぅ…なぁ?」
「俺に聞くな」
「そうだよ、モンテ。どうなっているんだい?」
ママが問いかけてきた。
「うーん、説明すると長いんだけど」
と前置き…
「つまり第十宇宙の界王神見習いのザマスってやつに体を入れ替えられた後殺されたモンテはなぜか過去の惑星ベジータに居て、ギネさんを助けたら生まれ変わっていたと…あなた本当にモンテなの?」
「ええ、まぁ…」
「まぁ、見た目もどうしてかモンテそっくりだしね…信じるしかないか。でもどうして今の今まで姿を見せなかったのよ」
「わたしが認識する過去を変えないためです。じゃないとわたしは戻ってこれないじゃないですか」
「なるほど、じゃぁギネさんの事は?」
「過去改変者であるわたしが先ほどまで認識している過去にママの生死は重要じゃ無かったんですよ。地球やナメック星に関わらない所なら歴史的改ざんされる可能性は低いだろうと思いました。わたしがここに居る以上、この世界では最初からママは生き残っていてわたしがこうして生まれ変わってくると言う事は確定しています」
「卵が先か鶏が先かの問題ね…まぁいいわ」
それで、とブルマ。
「それでオルタの正体は…」
「体を入れ替えた第十宇宙のザマス。その彼が先ほど界王神だけが使える時の指輪で未来に行った存在が先日現れたオルタです」
「オラもう何がなんだか…なぁベジータお前は分かってるか?」
「ブルマが分かっていれば何も問題はないっ!」
「つまりは分かってねぇって事か」
「うるさいっ!黙っていろカカロット」
「え、ベジータって…まさかベジータ王子?」
ママがベジータと言う名前に戸惑う。
「そう言えばお前王子様だったんだっけなぁ」
「今はブルマの夫でトランクスの父親だ。それだけで良い」
「おめぇも言う様になったじゃねぇか、へへ」
言って悟空がニカっと笑う。
「で、結局未来のおめぇはどうすりゃいいんだ?あれがモンテってんなら倒す訳にもいかねぇだろう」
「いえ、わたしは今ここでこうして生きていますからね。オルタはわたしではありません。問題なくぶっ飛ばしてきてください」
「なるほど、行くぞトランクス」
「待ってくださいよ、父さん」
「待て待て、オラも行くぞ」
「あ、カカロット…」
「ちょっと待っててくれ母ちゃん。ちょっと悪い奴をぶっ飛ばしてくるからよ」
そう言って軽くママに手を振ってタイムマシンへ向かう悟空さん。
「早くしろ」
「いけねぇ、待ってくれよベジータっ!」
出発するタイムマシンを見送るとする事も無くなる。
「それで、あなたはどうするのモンテ」
とブルマが言う。
「久しぶりにビーデルに会いたいし、ママも悟飯さんと悟天くんに会わせたいから」
「その、モンテ…その悟飯と悟天って?」
「悟空さん…お兄ちゃんの子供です」
「カカロットに子供がいるのかっ!」
「孫も生まれましたしもう立派におじいちゃんですよ」
「なんだってーっ!」
コールドスリープの期間が長かったためママの年齢は結構若い。それなのにもうひいおばあちゃんなのだ。そりゃショックも受けるか。
「あなた、ミスターサタンの事は?」
ブルマが問いかけてきた。
「大丈夫です。わたしは悟空さんの妹。ビーデルは悟飯くんの嫁。つまり家族には変わりないですからね」
「それであなたが良いなら、別に良いのだけれど」
ブルマさんに頼んで悟飯くんの家にチチあんと悟天くんを呼んでもらった。
「モンテ、見ない内にちっちゃくなったね」
「ビーデル…それだけなのっ!反応薄いよっ!」
「まぁモンテだしね」
魔法の言葉みたいだな、それ。
「で、そちらの方は」
「ほら、ママ入って」
「で、でも…」
「ママ?」
「尻尾が有るね。サイヤ人みたいだ」
「そうだな、悟天」
悟天くんが目ざとく見つけた尻尾。悟飯くんも見ていたようだ。
「あの…はじめまして。ギネと申します、カカロットの…えと悟空の母親です」
「悟空さの母親だべかっ!?」
驚くチチさん。
「いいぃ」
悟飯くんも驚いているらしい。
「え、どう言う事なの、ねえお兄ちゃん」
「つまり僕たちのおばあちゃんって言う事だよ」
「おばあちゃん?にはは」
とてとてとママに寄っていく悟天くん。
「わーい、おばあちゃんだっ!」
「これ悟天っ!」
嬉しそうにギネに抱き着く悟天を止めれないチチ。
そう言えば悟天には牛魔王というおじいちゃんはいてもおばあちゃんは居なかったな。
「本当に子供の頃のカカロットそっくりだな。名前は?」
抱き上げつつ名前を問いかけたギネ。
「ボク悟天って言うんだ、おばあちゃんは?」
「わたしはギネだ。よろしく悟天」
「うん、若いおばあちゃんでボクも嬉しいよ」
それから悟飯も自己紹介をして玄関先ではなんだからと夕食に誘われたギネとモンテ。
「え、モンテ、ギネさんの子供になっちゃったの?」
「まぁ色々あってね」
「まぁモンテだしね。じゃあどう呼べばいいかしら?伯母さん?」
「ぶーーーーーーっ!」
食べていたものを吹き出した。
「モンテ汚い」
モンテって言ってるじゃん。
「パパになんて説明しよう」
「わたしは悟飯くんのおばあちゃんの娘、ビーデルは悟飯くんの嫁だから家族には変わりはないよわたしも嫁にでも行ったと思って諦めてもらうしかないかな」
「モンテがそう言うならばそれで良いか。パンちゃん、大叔母さんですよ」
「だうぅたうっ!」
「やーめーてー」
食事が終わるとビーデルが一言。
「そう言えばモンテって今地球で住むところ有るの?」
「あー…そうね。ない…かな。まぁ別にヤードラット星に帰れば良いだけだから別に気にしてないのだけれど」
「でもそれは寂しいわ。部屋もいっぱいあるのだしモンテとあとギネさんは家に住まない?」
「良い考えですよビーデルさん」
悟飯くんが賛同する。
「新婚さんの家にお邪魔するのも…」
「今日は居ないけど、ほとんど毎日パパは来てるけどね」
そうでしたね。
「まぁ考えておく」
そう言えば、未来に向かった悟空さんってどうなっただろうか。
ママはパンちゃんの相手をしていたので1人瞬間移動でカプセルコーポレーションを訪れる。
悟空さん達の気が戻ってきていたからだ。
「倒したの?」
「いやぁ負けた負けた」
マジでっ!?ゴクウブラックじゃなくてモンテちゃんですよ!?
「超サイヤ人…なんて言ったっけ?」
「ロゼだ、超サイヤ人ロゼ」
と悟空の問いに答えるベジータ。
「そのモンテ・オルタのネーミングセンスはどうなんでしょうね」
「大体カカロット、お前が仙豆を忘れるからだ」
「わりーわりー」
「悪いですむかっ!」
しかも悪い事にオルタだけじゃなくて不死身のザマスまで現れたらしい。
「オルタってザマスじゃ無かったのっ!?なんでザマスが出てくるのよっ!」
ブルマが癇癪気味に叫んだ。
「この世界の未来はボクの未来に繋がってはいません」
とトランクス。
「なるほど、オルタの方はモンテちゃんの体を乗っ取ったこっちの世界のザマス。もう一人はもともとトランクスの居た世界のザマスって事ね。それもどう言う訳か不死身になっていると。不死身の奴なんてどうやって倒せばいいのよっ!」
うーん…
「幾つか方法は有るよ」
「有るのかっ!?」
「まね、勝てないなら動けなくするだけでも良い。つまり封印してしまえば死のうが死ぬまいが関係ない」
「なるほど」
「後は破壊神さまに魂まで破壊してもらう。いくら不死身でも破壊されたら無くなるでしょ」
「うーむ、だがどっちも一筋縄では行かねぇぞ」
そりゃそうだ。
「ふん、封印の方はカカロットに任せた。俺はオルタを倒す」
「あ、ずりーぞベジータっ!」
「早いもの勝ちなのだろう?」
勝ち誇った表情を浮かべるベジータ。
「しょうがねぇ、亀仙人のじっちゃんの所に行ってくっかな。たしか封印技を使えたはずだ」
そう言った悟空さんは瞬間移動で飛んでいった。恐らく亀仙人の住んでいる亀ハウスへと飛んだのだろう。
「お前は俺様と来いっ」
「はい?」
ベジータに首根っこを掴まれたわたしは引きずられるように神様の神殿へ。
そのまま精神と時の部屋へと投げ入れられてしまた。
「え、ええっ!?なんで、どうしてっ!」
「フン、俺様の修行のついでにお前のその鈍った体を鍛えなおしてやる」
「まってまって、それってただサンドバッグ代わりに連れて来たって事でしょうっ!?」
「いくぞっ!ついでにその顔を見ているとムカムカしてくるんだっ!」
オルタの事でしょうっ!?それわたしだけどわたしじゃ無いっ!
ベジータがホイポイカプセルを投げると現れたのは最新式のメディカルポッド。フリーザの宇宙船から拝借した奴だ。
ボコボコにする準備万端と言う事っ!?
いったい何度メディカルポッドのお世話になった事か…
そしてオルタとの再戦の時を迎える。
タイムマシンで未来トランクスの世界へと移動。
「お前も来いっ!元はと言えばお前だろうっ」
ベジータに首根っこを掴まれ分投げられた。
「いーやー…ぎゅむ」
ギュウギュウのタイムマシンに詰め込まれ未来へ。
トランクスの居た未来。
それはもう滅亡の一歩手前と言う惨状。
「ひどい…」
タイムマシンをカプセルに戻すと凶悪な気配が穹を割いて現れる。
モンテ・オルタとザマスだ。
悟空さんはしっかりと封印壺を持っているが…
「悟空さん、封印のお札は?」
「え、札っ!?あれ、めぇったな…忘れてきたみってえだぞ」
バカーーーーっ!
「な、バカがっ!不死身のザマスをどうする気だ」
「忘れて来た物は仕方ねぇだろっ!」
ベジータと悟空が口喧嘩。
「畜生、やるしかないか」
「わりぃブルマ、持っていてくれ」
悟空さんとが封印壺をブルマさんに渡すとベジータさんと二人でオルタとザマスに向かっていく。
ついでにトランクスくんも。
「あなたも行きなさいよっ!」
今回は同乗してきていたブルマが加勢しろとがなり立てるが…
「紙と筆持ってる?」
「そんな物持っている訳無いでしょっ!」
「まじかーっ」
仕方ない、最終手段だっ!
「ちょと壺貸して」
「こんなもの要らないわよっ!」
貰った壺の表面を気で削って文字を書いていく。
「何々、なんて書いてあるの?」
「大魔王封じってね」
「へぇ、ちょっと見せて。あなたそんな事も出来るのね。これ封印のお札の代わりでしょ」
はい。
「へーふーん」
「ちょっとそんな持ち上げても裏側になんて何も書いてませんよ」
「確認よ確認…て、うわっ」
突然襲った爆風。悟空さん達の戦いの余波でブルマがよろける。
そして…
ガシャン
「「あーーーーーーーっ!!」」
転げたブルマの手から滑り落ちた封印壺は音を立てて割れてしまう。
「なんて事をっ!ブルマさーーーん」
「だ、大丈夫よ…接着剤は持ってきているし」
「そんな物より紙と筆を持ってきててくださいよっ!」
「しょうがないでしょ割れちゃったものわっ!くっつければ直るわよっ!あんたはそれまで孫君に加勢してきなさい」
「くっ…行くしか…ないか…」
オルタは超サイヤ人ロゼの状態で、悟空さんとベジータさんは超サイヤ人ブルーに変身して戦っていた。
つまりそれ以下の変身では勝負にすらならないのだろう。
「…やっぱダメだな」
飛び立つ寸前に思いとどまった。
魔封波には相当の体力を使う。下手に今減らすと魔封波で自身が死にかねない。
それでは本末転倒だ。
戦闘はトランクスが加勢するも劣勢。
元はモンテのくせに強いな、アイツ。
ビルに三つ何かが当たり粉塵を上げている。
どうやら悟空さん達が吹き飛ばされたようだ。
「あの三人の止めを刺す前に」
「お前の事もいたぶって殺してやろう」
スタリと眼前に降り立つオルタのザマス。
ジリっと嫌な汗がにじみ出る。速くしてくれ、ブルマさーん…
覚悟を決めて変身を決意した瞬間後方からブルマさんの声が。
「モンテ、ほら出来たわよ」
「ナイスっ!」
壺の接着が完了したらしい。
戦闘は他の三人に任せていたから体力は十分。
「そんな壺を持ち出して何になる」
何になるって?
ドラゴンボールの世界の最強技を知らんのかっ?
説明してやる事は無いが、くらって見ろっ!
「魔封波っ!」
「「なにっ!?」」
放たれた気がオルタとザマスを捉え渦を巻く。
「「ヤメローーーっ!神であるこのザマスにっ!」」
「はぁっ!」
気合を入れて気をコントロール。
その本流に二人は逆らえずに流されたオルタとザマスはブルマの持つ封印壺へと閉じ込められていった。
「きゃあっ」
「ブルマさん、蓋っ!」
「ああ、蓋ねっ!」
カチャンと音を立てて壺の蓋を閉めるブルマ。
しばらくガタガタ震えていたがどうやら封印に成功したようだ。
「つ、疲れたー…良かった死んでないっ!わたしっ」
魔封波で死んだとか後悔しか残らないわっ!
「封印したのですか?」
「なんだオメェも魔封波使えたんかぁ」
「最後はあっけないものだな」
ぶっ飛ばされていたトランクス、悟空、ベジータが飛んできて口々に言った。
ガタガタガタ
「え?」
封印が完了したはずの壺が震えだす。
シューとどこかに穴が開いていたのだろうか、沸騰した水蒸気のように何かが噴出されている。
「ブルマさん、穴塞いでっ!」
「え、きゃあっ!?」
ショックでブルマさんが封印壺を取り落としてしまった。
「穴完全にふさいでなかったからっ!」
ガチャン
「げっ!」
「ブルマさん、こっちに」
小気味よい音を立てて壺が割れ、中から煙が立ち上る。
「なんだ、これはっ!?」
トランクスの驚愕の声。
中から現れたのはオルタでもザマスでもない、怨念の様な何かだった。
それは上空に立ち昇ると体積を増やし星を覆っていく。
その邪悪さに身震いする。
「これは勝てない…」
「馬鹿者、来るぞっ!」
ベジータの叱責。
上空から巨大なビームが地表に幾重にも降り注ぐ。
「はっ」
「はぁっ!」
「くっ!…サボるなよ、モンテ」
分かってますってっ!
「はぁああああああっ!」
気功波を上空目がけて目いっぱい放出。
しかし力負けして吹き飛ばされてしまった。
煙が晴れると更なる絶望がトランクスを襲う。
地球上で感じられる気がもう感じられないのだ。
生き残っているのはここに居る自分達だけだった。
もう、この状況になってはどうしようもない。
過去に帰るか、それまでに時間稼ぎはしなければならない状況。正に絶体絶命の状況で、悟空さんが仙豆を探す様に自分の道着をまさぐると現れたのは1つのスイッチ。
「そういや、これここの全王様にも効くかな?」
…はい?
ポチっと押すと現れるのはあの絶対的存在、全王様。
「なに、これ?」
余りにも醜いこの現状に全王様も戸惑っているようだ。
そこに悟空さんが空を覆いつくすザマスを消す様に誘導。
しかし…
「やべぇ、みんなタイムマシンに乗れーっ!」
ひぃぃっ!?
もちろんわたしはブルマさんと一緒に一番で乗り込んでますぜっ!
全王様のあれはザマスを消す訳じゃ無いんだ。世界そのものの消滅なんだ…
急いで過去の世界に逃げなければ巻き込まれて消滅してしまう。
結局、世界を救う事など出来なかった。
出来たのは元凶の消滅のみである。救いは何処にもない。
未来の世界で生き残ったのはトランクスのみで、その姿もいつの間にか消えていた。
そう言えば、悟空が一度タイムマシンで未来の世界に行って来たらしいけれど…アレだよね…全王様、連れて来たんだよね?
まぁ、二人に増えようがわたしに被害が無ければどうでも良いのだけれど…どうやらこの世界は超越者を二人抱える世界になったようだった。
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