仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~
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第3部~希望と絶望の宝石~
第5話『望みと我欲を間違えないほうがいい』
「本来魔女は魔法少女のソウルジェムの穢れにあわせて生まれるはずなのに、この世界でこんな大量に生まれるなんて。」
「次元保護国って、確か数年前に出来た統合国家よね。」
「それで、晴人さんのために新しい指輪を作ってきました!」
「僕達を騙して、この世界の絶望のエネルギーを独り占めしようとしている奴はキュゥべえだ。あいつの所為で、僕達ファントムは壊滅状態だ!」
─装填の守護者、ディロード。幾多もの世界を救い、その心は何を思う─
「やっぱり、知っている人が戦死するのはつらいですか?」
雅は俯いているほむらに尋ねる。
「私にはもう関係ないことよ。」
ほむらはきっぱりと答える。
「それは、心の底から思っている本心ですか?」
「あなたもしつこいわね。」
「それは失礼しました。それで、これからどうしますか?」
「決まっているわ。まどかを説得する。彼女は今ならまだ引き返せる。今度こそ、まどかを魔法少女にさせないわ。」
ほむらは立ち上がる。
「そうか。それより、そろそろ学校の時間だ。行こう。」
「行こう?どういうことかしら?」
「この世界での僕の職業は、見滝原中学の国語の教師。とはいえ、暁美さんと一緒に登校すれば怪しまれる。僕は先に向かわせてもらう。」
【ATTACK RIDE-WARP-】
雅は既にスーツに着替えており、ワープのアタックライドを使って見滝原中学に向かった。
「彼の目的は一体何かしら。」
ほむらも着替えて見滝原中学に向かった。
「あんた、なんでここにいるのさ!」
ほむらが登校すると、雅はさやかにからまれていた。
「ここの教師なんだからいて当然でしょう。それより、早く教室に入らないと、遅刻するぞ。」
雅はさやかにそう言うと職員室に向かう。
「それで、一体僕達に話とは何かな?」
放課後になり、まどかは近くのファーストフード店に雅とほむらを呼び、会話をはじめる。
「えと、その…あの時はありがとうございます…」
「礼はいいわ。それより鹿目まどか、貴方はもう魔法少女の件から離れた方がいいわ。」
「ほむらちゃん、どうしてそんなに余所余所しいの?」
「事実、貴方と私は他人よ。」
「そう…なのかな…前にも言ったと思うけど、私は夢の中でほむらちゃんに会ったことがあるの。だから」
「だから何?」
「私がみんなにほむらちゃんをちゃんと紹介する。そうすればほむらちゃんも、もっと仲良くなってくれればきっと!」
「私にはそんなもの必要ない。」
「でも…」
「必要ないって言っているでしょ!いい加減にして!」
ほむらは怒りとも嘆きともとれる声でまどかを怒鳴る。
「えと…あの…」
まどかは怯えた表情でほむらを見る。
「ごめんなさい、取り乱してしまって。」
それを見たほむらは咄嗟に謝る。
「鹿目さん、とにかく君はもう、関わらないほうがいい。」
「はい…わかりました…」
雅は宥めるように言い、まどかは頷く。
「それでは、失礼いたします。」
雅は飲んでいたアイスティーの入っていた紙コップを廃棄してファーストフード店から出る。
「鹿目まどか、私もこれで失礼するわ。あなたは今のままでいい。これは警告よ。」
ほむらは睨むようにまどかを見て、そう言うと出て行く。
「どうしてわかってもらえないんだろう…」
まどかは一人俯きながら呟いた。
「大丈夫ですか?」
「まどか…どうして解ってくれないの…あなたが魔法少女になることで、悲しむ人もいるのに…」
ほむらは俯く。
「ファントムが現れた。今日は僕一人で片付ける。暁美さんのソウルジェムはまだ汚れていない。今日はゆっくり休む方がいいでしょう。」
「…解ったわ。あなたに任せようかしら。」
ほむらは帰路に向かう。
「さて、そろそろ確認したいこともあるからな。」
雅はマシンディローダーを走らせる。
「さあ、貴方の希望をこのヴァンパイア様に渡し、新たなファントムを生み出しなさい。」
ファントムのヴァンパイアは女性に対して近寄り、巨大な翼を広げる。
【ATTACK RIDE-BLAST-】
「そこまでだ!」
雅はロードスラスターをマシンディローダーにセットし、貫通性の低い弾でヴァンパイアを撃ちながら現れる。
「ちっ、仮面ライダーか!」
「今です、逃げて下さい。」
「ありがとうございます!」
雅は女性を安全な場所に逃がす。
「よくもゲートを逃がしたな!」
「悪いが、人々の平和を守るのが仮面ライダーの使命だからな。」
【CHANGE RIDE-KIVATT BELT-】
「よっしゃー!行くぞ、雅!ガブッ!」
「変身!」
雅はディロードライバーをキバットベルトに変えて仮面ライダーキバに変身する。
「キバット、バッシャーフォームで行こう。」
「オッケー!来い、バッシャーマグナム!」
キバはキバットにバッシャーフエッスルを噛ませ、召喚されたバッシャーマグナムを右手で持ち、バッシャーフォームに変身する。
「ハッ!」
キバはバッシャーマグナムでヴァンパイアを撃ち続ける。
「ぐぅっ!来い、グール!」
ヴァンパイアはグールを召喚する。
「出て来たか。」
「お前達、後は任せた!」
ヴァンパイアは翼を広げると、羽ばたいて逃走する。
「逃げられたか!とにかく、グールはどうにかしないと!」
キバはバッシャーマグナムによる射撃でグール達を一掃する。
「今ならまだ間に合うか。」
【ATTACK RIDE-MACHINE KIVA-】
キバは予め取り出しておいたライダーカードをマシンディローダーにスキャンし、マシンディローダーをマシンキバーに変えてヴァンパイアを追跡する。しかし、目の前に現れた人影を見てキバは止まる。
「待ちなさい!あんた、あの転校生の仲間だろ!」
人影の正体、さやかはキバを止める。
「邪魔しないでもらいたい。今ファントムを逃がせば、どれだけ被害が広がるかわからない。」
「それが何!あんたも、ファントムの魔力が狙いでしょ!」
「美樹さんは勘違いをしている。僕はこの世界の人間ではない。この世界にファントムが現れるということは、言わば異常事態だ。僕はその異変を解決するためにこの世界に来た。本当なら、魔導師である僕の妻に任せたかったが、この世界の魔法少女は何かと攻撃的だから、危険だと認識して僕が来た。」
「当然でしょ!ファントムを倒さないと、ソウルジェムが!」
「そのソウルジェムが何か知らないのに、そんなのことを言わない方がいい。」
「だったら、魔法少女になれば言ってもいいってことだよね。」
「そうではない。とにかく、美樹さんも今の幸せを失いたくないなら、この件は不幸な事件だったと思って忘れてほしい。僕も魔法少女と戦いたくはない。なるべくならこの世界の歯車がズレる前に事件を解決して魔女が現れた世界に向かいたい。」
「ちょっと、魔女が現れている世界ってどういうこと!?」
「言葉通りの意味です。本来ファントムのいない世界にファントムが現れたとなれば、ファントムのいた世界に魔女が現れてもおかしいことではない。そちらの方は妻が現地の協力者と解決に向かっているはずだ。」
「はずってどういうこと!?」
「本来、捜査の情報は話してはいけないが、美樹さんの安全のためにも言うしかないか。本来ファントムのいた世界、『仮面ライダーウィザード』の世界にいる妻と連絡を取ろうとしても、向こうの世界に何らかの通信妨害の結界が張られているらしく、連携がとれなくなっている。どうやら黒幕は、二つの世界で情報共有されることが不都合らしい。敵はそれくらい危険な奴だ。だから、この件は僕に任せてもらえないか?」
「そう言って、あの転校生にファントムの魔力をあげたいだけでしょ?」
「彼女は最低限、この世界の異常事態にいち早く気づいて行動していた。僕としては理論的に考えることの出来る現地協力者という認識だ。」
「どうだか。なら私が魔法少女になったら、私と協力してくれる?」
「何を言っているんだ。少しは自分の身体を大切にしろ!」
「ほら、やっぱりそう言う。言っとくけど、私は本気で魔法少女になるから。」
「そうか。それなら一つだけ忠告しておく。願いと我欲を間違えないほうがいい。」
「何よそれ。」
「それが打算の無い純粋な願いなら自分を見失わない。だけど、心のどこかに少しでも願い以上の打算があれば、その打算がズレた時に人の心は簡単に折れる。だから」
「それでも、私は叶えたい願いがあるの。邪魔しないで!」
さやかはキバの言葉を遮りを去ってしまう。
「まったく、僕達の邪魔をしないでもらえるかな。」
そこにキュゥべえが現れる。
「お前の策略ということか、インキュベーター。」
キバは変身を解除し、雅はキュゥべえを切り裂くと、キュゥべえの肉体は一瞬のうちに肉片になる。しかし、
「君も僕達のことを調べているなら、こんなことに意味が無いことは解っているだろう?」
キュゥべえは新たに現れ、先ほど雅が切り倒したキュゥべえの肉片を捕食して証拠を隠滅する。
「ファントムをこの世界に呼び寄せ、ウィザードの世界に魔女を送ったのはお前だな?」
「流石は装填の守護者だ。そうだよ。」
「何が狙いだ!」
「僕はただ、確かめたいんだよ。ファントムと魔女、どちらがよりエネルギーの回収に適しているか。」
「そんな下らないことのために、二つの世界を滅茶苦茶にさせるものか。」
「残念だけど、もう止められないよ。」
キュゥべえはそう言うと、去って行く。
「こっちにも逃げられたか。」
【ATTACK RIDE-WARP-】
雅はワープを使いほむらの家に向かう。
「暁美さん、やはりこの世界にもキュゥべえはいた。」
「そう。予想通りね。目的はやっぱりファントムが生まれる時に発生するエネルギー?」
「ええ。」
「相変わらずね。それで、ファントムの方は?」
「美樹さんの妨害にあって逃げられてしまいました。」
「彼女らしいといえばらしいわね。」
「彼女が道を踏み外さないといいが…」
「残念だけど、もう諦めるしかないわ。」
「そうですよね…」
雅は残念そうに呟いた。
翌日、再びヴァンパイアは現れる。
「むむっ!こやつは最上級のゲートだな。」
ヴァンパイアは偶然にも見つけたまどかに狙いを定める。
「えっ、私がゲート?」
まどかは怯える。
「さあ、死への恐怖で絶望して新たなファントムを生み出しなさい。」
ヴァンパイアはまどかに手を伸ばす。しかし、
「はっ!」
雅が横からヴァンパイアを蹴り倒す。
「また出たな、仮面ライダー!」
「今度こそ決着をつける!」
雅はキバットベルトのカードを取り出すが、
「そいつは私の獲物よ!」
そこにさやかが現れる。
「美樹さん、結局あなたはその道を進むのですね…」
「もうこれ以上、あんたと転校生に好き勝手させないんだから!」
さやかは青いソウルジェムを取り出し、魔法少女に変身する。
「この見滝原は、このさやかちゃんに任せなさい!」
さやかは剣を出現させて引き抜いた。
to be continued.
次回予告
「ついに見つけた黒幕の正体。掴むことの出来ない真実。魔法使い達は…次回『植え付けられた絶望』」
後書き
新カード紹介
マシンキバー:マシンディローダーをマシンキバーに変えるカード
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