ドリトル先生の野球
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第三幕その四
「よくそれでクビにならないわね」
「イギリスじゃ先生にすらなれないわよ」
「というか普通に他のお仕事じゃクビよね」
「懲戒免職間違いなしよ」
「確実にね」
「僕もそうなると思うよ」
先生にしてもです。
「日本でも普通の社会ならね」
「学校の先生は違うのね」
「そんな人でも学校の先生になれるのね」
「それでクビにならないで」
「生徒の子達に暴力振るってるのね」
「それが現実なんだよね」
残念なことにと言う先生でした。
「というか普通採用の時点でないけれどね」
「普通の社会ならね」
「そんなヤクザ屋さんみたいな人採用しないわね」
「絶対に問題起こすから」
「そのことが間違いないから」
「それが世の中だからね、けれど」
それでもと言う先生でした。
「この野球部は違うね」
「そうだね」
「しっかりしてるよ、皆」
「誰かに怯えてる雰囲気なくて」
「本当に和気藹々としてるわ」
「顧問の先生が暴力で生徒を怯えさせて思い通りにする」
そんなことはというのです。
「日本の学校の忌まわしい一面だよ」
「そうした先生こそ刑務所に行かないとね」
「この世にいたら駄目な位だよ」
「暴力以外にも悪いことしてそうだしね」
「そんな人は」
「暴力を振るわれた生徒が頭下げて挨拶する横をふんぞり返って通ってうっす、だけの挨拶をする人は」
先生の言葉には先生にしては珍しい完全な否定がありました、先生は暴力や差別を絶対に認めないからです。
「本当にヤクザ屋さんだよ」
「そのヤクザ屋さんが学校で教鞭を手にしている」
「ぞっとするお話ね」
「日本だけよね」
「嫌なお話だよ」
「それで先生様とか言われるとか」
「仰げば尊しというけれど」
先生は歌の一節もお話に出しました。
「尊敬するどころか絶対に否定しないといけない」
「そんな人もいるね」
「本当にね」
「反面教師にしないといけない」
「そんな人もいるね」
「勿論いい先生も日本にも大勢いるけれど」
それでもというのです。
「あまりにも質が悪い人も多いよ」
「本当に他のお仕事にはいない様な」
「ヤクザ屋さんそのものの人がいて」
「生徒に暴力を振るっているとか」
「しかも大手を振って歩いてるなんて」
「そんなことはあらためないとね」
先生は絶対に、と言葉の中に入れました。
「本当にね」
「全くだね」
「先生の言う通りだよ」
「そんな酷い先生は辞めさせないと」
「一刻も早くね」
「心から思うよ、それでだけれど」
先生は野球部の練習を観つつ言いました。
「皆筋がいいけれど」
「どうしたの?」
「誰かこれはって人いたの?」
「誰かいるの?」
「あのキャッチャーの子だけれど」
ブルペンで練習している人を観ての言葉です。
「随分筋がいいね」
「あれっ、そうかな」
「僕は別に」
「私も」
「普通のキャッチャーじゃないかな」
「これといって何もないんじゃ」
「いや、キャッチングがね」
まずはこちらのことからお話するのでした。
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