犬達と不思議な女の子
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第四章
「皆死んでいたからな」
「本当によかったな」
「そうよね、よかったわね」
奈々子はここでだった。
ジョン達を見た、そうして彼等に声をかけた。
「皆無事で」
「ワン」
「ワンワン」
「ワフウッ」
「ワンッ」
「ワンワンワンッ」
「ワワンッ」
「ワフッ」
七匹共返事をする様に鳴いてくれた、その鳴き声を聞いてだった。
奈々子は笑顔になった、そうしてだった。
彼等のところに行って彼等の頭を撫でた、その後はというと。
一家は倒壊した家は仕方なく諦めた、そうして。
今度は村の平らな場所に家を買ってそこに住んだ、家具は使えるものはそのまま使って新しいものも買った。災害ということで国や県からの補償そして保険もあったのでお金には困らなかった。そうして新しい家に住み。
奈々子は新しい生活をスタートしたが。
「もうね」
「あの女の子はか」
「山の方に行ってもね」
「見なくなったか」
「けれど低学年の子は見えるらしいから」
それでというのだ。
「まだいることはね」
「いるんだな」
「うん、けれどね」
「お前はか」
「見えなくなったから」
こう祖父に話した。
「本当に大きくなったら見えないのね」
「そこは座敷っ子と同じだな」
「そうよね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「山の神様がわし等を助けてくれた」
このことはというのだ。
「絶対に覚えておこうな」
「そうよね、本当に教えてもらってね」
「その通りにしたら助かったんだ」
「それならね」
「ずっと覚えておこうな」
「そうするね」
奈々子は祖父の言葉に頷いた、そうして新しい庭にいるジョン達を見ると。
今の彼女には見えない誰かと遊んでいた、奈々子にはそれが誰かわかっていて彼等を笑顔で見ていた。
犬達と不思議な女の子 完
2020・7・25
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