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レーヴァティン

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第百六十二話 普通の難しさその七

「いないに越したことはないぜよ」
「そうだな」
「もう容赦せんとじゃな」
「始末していく、だが」
「それは罪を犯した場合じゃな」
「俺は無宿人狩りをするつもりはない」 
 江戸時代の松平定信の様にというのだ。
「それはまた違う」
「ヤクザ者の飯の種を奪ってじゃな」
「そしてだ」
「ヤクザ者を真っ当な仕事に就かせるんじゃな」
「そうしていく、手に職も与えてな」
 そうした政も行なうというのだ。
「どちらかといえば長谷川平蔵や」
「鬼平か」
「それに近い政でいく」
「無宿だからといって片っ端にはじゃな」
「罪を犯していないならな」
 それならというのだ。
「これといってだ」
「捕まえることはないのう」
「山賊や海賊もな」
 その彼等もというのだ。
「軍を出すが」
「罪を犯していないなら」
「降してだ」
 そしてというのだ。
「真っ当な仕事に就かせる」
「そうするんじゃな」
「罪を犯していないならそれでいい」
 例え賊でもというのだ。
「元の道に戻す」
「そうするんじゃな」
「そうだ、俺が容赦しないのは罪を犯した外道だ」
 そうした者だけだというのだ。
「それ以外の者はだ」
「処刑もせずじゃな」
「それでいい」
「成程のう」
「だからだ」 
 それでというのだ。
「そこの線引きもしていく」
「そこだね」
 奈央もその通りだと返した。
「やっぱりね」
「罪を犯していないならな」
「処罰は出来ないよ」
「法がありだ」
 そしてというのだ。
「その法に反したか」
「それが問題よ」
「そうだな」
「法なくして何も出来ないわよ」
 奈央はこうも言った。
「若し法なくして人を罰すれば」
「それでは国が成り立たない」
「国は法で成り立って動くのよ」
「それが法治国家だな」
「若しそうでないのなら」
「独裁国家だな」
「あんたはそういうの目指していないわね」
「俺は独裁者に興味はないしだ」
「独裁国家になることも」
「人治国家なぞ何にもならない」
 英雄はこうした国家も否定した。
「人が勝手に治めるとな」
「どうしても限度があるのかしら」
「そうだ、人よりも確かな法で治める方がだ」
 まさにというのだ。
「国は動くしだ」
「まとまるわね」
「そうだ、法があってこそだ」
「国はよくまとまるわ」
「人が治めるのではな」
 どうしてもというのだ。
「限りがある」
「本当にそうね」
「そうだ、だからだ」
「法を第一に置くわね」
「諸法度を出しているが」
「それをより定めて」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。 
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