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【完結】RE: ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)

作者:羽田京
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最終章 明日に向かってラグナロク
  第27話 転生オリ主 VS. 原作主人公

「さて、まだ抵抗する気力はあるかな?」


 ルシファー眷属を下し。
 曹操たちを倒したグレモリー眷属と向き合う。


「当然よ。やられっぱなしにはさせないわ」


 強がるリアス・グレモリー。
 他の眷属を見回すと、全員戦意は十分なようだった。
 だが――――


「――――回復なしでは、辛いだろう。満身創痍じゃないか」


 回復役であるアーシアは、シャマルの蒐集によって神器が使えない。
 英雄派幹部たちと激戦を繰り広げたリアス・グレモリーたちはボロボロだった。


「しかし、本当に曹操たちを倒してしまうとは、ね」


 グレモリー眷属は、けが人を出しながらも、誰一人戦線離脱していない。
 全員倒された英雄派とは好対照だ。
 そもそも、戦力は曹操たち英雄派の方が有利と睨んでいた。
 だが、結果は、グレモリー眷属の完勝だった。


(さすが、原作主人公のチームといったところか?成長率が段違いだ)


――――戦闘の最中に、急激に成長する。


 物語では、王道の展開だが、実際に目の当りにするとその理不尽さがよくわかる。
 とはいえ、満身創痍のグレモリー眷属と、傷一つない八神家では、前提条件が違いすぎる。


「連戦は辛そうだね――――シャマル!」

「いいのね?はやてちゃん」

「ああ、頼む」

「仕方ないわね……静かなる風よ、癒しの恵みを運んで」


 シャマルが魔法陣を展開して魔法を発動する。
 発動した魔法は、グレモリー眷属たちを完全回復した。
 そう、ボクが頼んだのは――治癒魔法だった。
 まさかの行動に驚きを隠せない彼女たち。


「どういうつもり?」


 代表してリアス・グレモリーが問いかけてきた。
 敵である自分たちに、突然治癒魔法をかけてきたのだ。
 ありがたい反面、意図が分からず不気味ですらある。


「何、ちょっとしたサービスさ。知り合いを殺すのは未だに抵抗があってね。
 とはいえ、一度戦い始めたら、手加減することはないだろう。
 これは、ボクにとってのけじめなのさ」

「そう、ありがたく受け取っておくわ。ただし、私たちも容赦はしないわよ?」

「当然だ、全力で来てもらわないと困る」


 かくして、ボクたち八神家とグレモリー眷属の最終決戦の火ぶたが切って落とされた。





 戦い始めてから、しばらく経つ。
 事前の戦力分析では、ボクたちの方が圧倒的に有利だった。
 二天龍を超えるユニゾン状態のボク。
 一人一人がランキングトップ10クラスの実力を誇るヴォルケンリッター。
 いまだ中級悪魔試験すら通っていないグレモリー眷属たちに勝機はない――はずだった。


『我、目覚めるは──』
<吹き飛ばせッ!><吹き飛ばすよッ!>

 一人の声に混じり、別の誰かの声が聞こえる。楽しんでいる様な、悲しんでいる様な、どれにしても酷く怨念のこもった、聞く者によって変わる声が。

『覇の理を神より奪いし二天龍なり──』
<全てを終わらせろッ!><全てを始めろッ!>

『無限を嗤い、夢幻を憂う──』
<破壊しろッ!><全てを壊し尽くせッ!>


 神々しく、紅く輝くその光の先に居るのは──傷一つ無く佇む、兵藤一誠だ。


『我、赤き龍の覇王と成りて──』

「「「「「「「汝を紅蓮の煉獄へと沈めよう──ッ!」」」」」」」

『Juggernaut Drive(ジャガノートドライブ)!!!!!!!!!』

「みんな、一誠を援護してッ!」


 司令塔のリアス・グレモリーから指示が飛ぶ。
 信じられないことに、いまだ、彼女たちは全員が立って居る。
 その戦意を衰えるどころか天井知らずに上り続ける。
 開幕直後はこちらが圧倒的に有利だったにも関わらず、いまだに粘られていた。
 それに加えて、兵藤一誠が覚醒。『覇龍』に至る。


「承知しました」

「はいっ!」

「了解よ!」


 指示を受けた木場悠斗、塔城子猫、姫島朱乃が、兵頭一誠の進撃ルートに立ち入ろうとしていた邪魔者を排除する。
 戦いの中で驚異的な成長をし続ける彼らは、信じられないほどの強敵として立ちふさがる。
 当初の予想通り、彼ら原作主人公たちが、ボクたちにとって最大の障壁となっている。


「くっ、このっ!」

「させん!」


 進撃先は、大将のボク。
 ヴィータとシグナムが割り込もうとするが、妨害される。


「うおおおおおおぉぉおおおっ!!」
『boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!boost!』

「いけない!はやてちゃん!!」


 ブーストで力の上限を無視して倍加しながら迫りくる『覇龍』状態の兵頭一誠。
 限界を超えているのだろう。
 彼の両目からは血の涙を流していた。  
 シャマル危険に気づき、バインドをかけるが、足止めにすらならない。


「しまっ――」


 眼前に迫る兵頭一誠。
 限界を超え、全身から血を吹き出しながらも力を込めた右腕を振りかぶる姿が見える。
 一気に決着をつけようと儀式魔法を詠唱していた隙を狙った捨て身の突撃。
 しかも、予想外の『覇龍』に驚いた瞬間を突いた見事な連携だった。
 魔法の発動は間に合わず、詠唱中ゆえに動くこともできない。
 リインフォースが慌てて障壁を張るが、役には立たないだろう。


「衝撃のおっ!ファーストブリッドオォオ!!!」
『Transfer!』


 いくらボクが自動修復の恩恵を受けられるといっても、一瞬で消し飛ばされたら無事では済まないだろう。
何よりボクの掌の上で固定され、浮遊している『夜天の書』に直撃するコースである。
 

――――書が破壊されれば、ボクたちは死ぬ。


 仮にもロストロギアである『夜天の書』は、そう簡単に破壊できない。
 だが、兵藤一誠から感じ取れる馬鹿げた力が込められた一撃を受ければ、どうなるかはわからない。
 まるで音を置き去りにしたように、ボクへと向かう彼の右腕がスローで見える。


(ここまでか……)


 観念して衝撃に備えようとして――――


「主ッ!!」


 いつの間にか側にきていたザフィーラに突き飛ばされた。
 ついさっきまでボクが居た位置にはザフィーラが居て、兵頭一誠の拳が突き当たる。
 ザフィーラが拳を受け止めた瞬間―――爆散した。
 
 
「ザフィーラッ……!」


 とっさにザフィーラの名前を呼ぶが、彼の気配は完全に消え去ってしまった。
 あまりの後継に二の句が継げなくなる。
 硬直したボクに代わって、追いすがったシグナム、ヴィータが無防備になった兵頭一誠を仕留めようと動く。
 と、そのときだった。


「光よ!」


 倒したはずのサーゼクス・ルシファーが、目くらましの光を放ち、ボクに向かって突撃してきた。
 一瞬早く気づいたシグナム、ヴィータは、進撃路を変更し、サーゼス・ルシファーに向かう。
 互いの攻撃が交差したその瞬間。
 爆音とともに光が辺りを包み込み――――


――――全てが跡形もなく消え去っていた。


「シグナム、ヴィータ姉……嘘だ、そんな……」


 目の前の光景を信じることができない。
 サーゼクス・ルシファーが生きていたことも。
 その彼が、自爆攻撃によって、シグナムとヴィータを道連れにしたことも。
 ずっと一緒だった家族を一気に三人も失ってしまった。
 あまりの衝撃に膝をつき、虚脱状態に陥る。


「――てちゃん、はやてちゃん!!」


 呆然としていた脳裏に、シャマルの声が届く。
 ようやく状況を思い出すが、どうすればいいのかわからない。
 何も反応を返さないボクを見て、これ以上の戦闘は無理だと悟ったのだろう。
 シャマルは、転移魔法を使い、ボクと一緒にアジトへと転移した。


ボクたちの完全敗北だった。





某所にて


「おいで、ボクの騎士たち」


『我ら、夜天の主の下に集いし騎士』

――――シグナム


 『主ある限り、我らの魂尽きる事なし』

――――シャマル


 『この身に命ある限り、我らは御身の下にあり』

――――ザフィーラ


 『我らが主、夜天の王、八神はやての名の下に』

――――ヴィータ


 4人の人影が、少女の前で跪く。


「おかえり、ボクの家族たち」


『夜天の書』を片手に、少女は笑顔を浮かべた。
 前世の記憶(正確には違うが)にある決め台詞を言い放つ。


「ワシの守護騎士は108式まであるぞ」





アジトにて、守護騎士を再召喚なう。


復活した彼らをみて、テンションが振り切れたボクは、決め台詞をドヤ顔で言い放つ。
ハイスピードテニスバトルという新境地を切り開いた偉大なる漫画に出てきたセリフである。
 リアルはやての知識にあった、この場に適した、とても恰好いい決め台詞なのだが――――


――――なぜか場の空気が凍った。


あれ、期待していた反応と違うのだけれど。
すがるようにリインォースを見やると、とても微妙な顔をしていた。
なぜだ。せっかく恰好良く決めてみたのに。
とりあえず、微妙な雰囲気を何とかしようと言葉を紡ぐ。


「いやあ、シャマルに言われるまですっかり忘れていたよ。取り乱してすまないね」


 『夜天の書』さえ無事なら、プログラム体である守護騎士は何度でも復活できる。
 兵頭一誠たちと戦ったときは失念していたが、何度も復活可能なボクたちは、かなりチートだと思う。


「何度でも蘇り牙をむく……名付けて必殺『死霊の盆踊り』――ってあれ、なんでまた微妙な空気になるの」


 何度も復活する様を死霊に見立てて、盆踊りとは踊りのように鮮やかな連携を表現している。
名が体を表すハイセンスなネーミングである。と、自負している。
 どうもリアルはやては、B級映画好きだったらしい。
 その中にある素晴らしいタイトルにあやかってみたのだ。
 由来も含めて丁寧に説明する。
 また微妙な空気になった。


「マスターは、お疲れのようですね。守護騎士たちも復活したばかりですから、各自休憩としましょう」


 黙り込んでいたリインフォースが、場を仕切り、解散する。
 何故か、いたたまれない表情――まるで見てはいけないものをみてしまったような――をして去っていく守護騎士たち。


「くっ、鎮まれボクの右腕……」


 何かリアクションが欲しくて、とりあえず思いついた言葉を言ってみる。
 これも、リアルはやての知識にあった言葉で、場の空気を強制的に変えることができるらしい。
 主に、中学生が使い手なのだそうだ。


「マスター……」


 憐れむような視線を、こちらに向けるリインフォース。
 確かに、場の空気は変わった――悪い方向に。
 目線の先にいたヴィータをみやるが、なぜか視線を合わせてくれない。
 無言で、姿を消してしまい傷ついた。


「フッ、邪王真眼を持たぬ者にはわかるまい」


 決めポーズに捨て台詞を吐いて、その場から退散する。
 何が悪かったのだろう。解せぬ。 
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