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【完結】RE: ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)

作者:羽田京
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最終章 明日に向かってラグナロク
  エピローグ

 
前書き
これにて完走です。定期更新は初めてなので頑張りました。
お付き合いいただきありがとうございました。 

 
 見渡す限りの砂漠が広がる。
 不毛の大地を歩くのは一人の少女と、彼女に付き従う5人の人影。
 殺風景な空間は、『次元の狭間』と呼ばれていた。


「オーフィス、約束を果たしに来た」


 いつの間にか居たゴスロリ姿の少女に、言葉を掛ける。
 言葉を発した少女――八神はやては、不適な笑いを浮かべながら。
 目の前のゴスロリ姿のオーフィスに相対した。


「我、ずっと待っていた」 


 返答するオーフィス。
 彼女の正体は『無限の龍神』。
 世界のトップに立つ規格外の存在である。
 名に恥じない実力を持っているが、『グレートレッド』と呼ばれる龍に住処である次元の狭間から追われていた。
 彼女が、禍の団を結成したのも、悠久の安息を得るために、グレートレッドが邪魔だったからである。
 ちなみに、禍の団は、英雄派と旧魔王派が壊滅したために、既に解散している。


「待たせて悪いね」


 三大勢力を領土ごと滅ぼしたのが10年前。
 八神一家を危険視した神話が連合を組んだのが7年前。
 連合に参加した神話勢力を駆逐したのが3年前。
 連合に参加していなかった弱小神話勢力の掃討が終わったのが1年前になる。
 そして――


「ようやく、グレモリー眷属を倒せたか。感慨深いな」


 最後まで抵抗を続けていたグレモリー眷属との最終決戦が、つい一週間前のこと。
 いままでにない激しい戦いの末に、ついに雌雄を決することができた。
 そのまま、ろくに骨休めもせず、今日、オーフィスとの契約――グレートレッド討伐のために来た。
 彼らを倒したことで、燃え尽きてしまったのだろう。
 とっとと、グレートレッドを討伐してしまいたい。
 これが正直な気持ちだ。


「いい、我、はやてを信じていた。だから、『蛇』も渡した」


 オーフィスとの契約。
 それは、オーフィスの蛇を貰い受け、研究させてもらう代わりに。
 ボクたちの手でグレートレッドを討伐するという内容だった。





「オーフィスの『蛇』ですか」


 難しい顔をしているのは、リインオフォースだった。
 いや、周囲を見渡してみれば全員が、渋い表情をしている。
 いま禍の団アジトにて、密談中だ。
 『駒王協定』を襲撃する前ということで、アジトは活気に包まれている。


「オーフィスの『蛇』は、力を増幅させる効果がある。
 うまくいけば、ヴォルケンリッターを大幅に強化できるだろう」


 いまボクたちが話している議題は、「ヴォルケンリッターの強化」についてだ。
 いくら彼女たちが、最上級悪魔並の実力を持っているからと言って。
 三大勢力全てを敵に回すことを考えると、はなはだ心許ない。


「ジュエルシードをうまく利用できれば、それが一番だったのだけれどね」


 まっさきに思いついた強化方法は、ジュエルシードを移植することだ。
 幸いボクの中には、9つものジュエルシードがある。
 ほぼ無限の魔力は、これのお蔭である。
 が、明らかに過剰であり、すべての力を使いこなせていない。
 そこで、ジュエルシードを各自に一つずつ。
 つまり、4つ渡しても何の問題もないだろう。
 だが、


「ジュエルシードを制御するための方策が必要だった」


 ボクの言葉にうなずく家族たち。
 ジュエルシードの移植自体は可能だった――のだが。
 移植したジュエルシードを制御することができなかったのだ。
 どうすればジュエルシードの莫大な魔力を制御できるのか話し合った結果。
 オーフィスの『蛇』に目をつけたのである。


 『蛇』は、使用者の力を増幅させる効果がある。
 オーフィスの支配を受け入れる代償に、力を手に入れることができるのだ。
 この『蛇』に注目した。
 オーフィスの一部といっていい『蛇』は、エネルギーの塊である。
 この大量のエネルギーをジュエルシードの制御に使えないかと考えたのだ。


 実験は大成功に終わり、守護騎士たちは、大幅に強化された。
 これが、駒王協定前に守護騎士たちが急に強くなった理由であった。
 




 オーフィスに頼み、グレートレッドを呼び寄せてもらう。
 そして、今。
 圧倒的な存在感を誇る龍が目前にあった。


「なるほど、名に恥じない強さを感じる。圧巻だ」


 グレートレッドをどのように討伐するか。
 この答は意外と簡単に出た。
 それは――


「これから、次元震を強制的に起こして、虚数空間に閉じ込める。ジュエルシードを暴走させれば容易いことだ」


 そう、次元震を起こして虚数空間に放り出す。
 これが答えだった。
 この世界では、虚数空間という概念がない。
 そもそも次元世界がこの世界にないのは確認済みだ。
 だからこそ、この世界は『異世界』であると断言できるのだ。
 だがしかし。
虚数空間は、存在していた。


 最初は、次元の狭間が虚数空間の代わりだと考えていたので。
 虚数空間があると知ったときは、驚いたものだ
 しかし、虚数空間の存在は知られていない。
 つまり、次元震が起きたことがないのだろう。
 その原因はすぐわかった。
 ボクたちが扱う『魔力』と、この世界の『魔力』は、よく調べると異なっていたのだ。
 そして、この世界の魔力では、次元震を起こすことがない、と結論づけた。

 
 ジュエルシードは、リリカルなのは世界のロストロギアだ。
 この世界ではなく、ボクたちと同じ魔力が込められている。
 よって、ジュエルシードを暴走させれば、次元震を起こすことが可能なのである。
 虚数空間での実験によって、オーフィスでさえ脱出が不可能だと判明している。
 虚数空間と通常空間の出入りには、リリカルなのは世界の魔力が必要であるためだ。
 グレートレッドすら力を封じることができると、オーフィスから太鼓判を貰っている。
 そして、今。
 目の前には暴走寸前のジュエルシードがある。
 あとは、大規模次元震を意図的に起こすために作った術式を起動するだけ。


「みんな、準備はいいかい?巻き込んでしまって、ごめんね」


 次元震を起こすにあたって、巨大なグレートレッドを巻き込むには、相当大規模にする必要があった。
 そのためには、グレートレッドの側で次元震を発生させなければならない。
 オーフィスは、遠隔地から、グレートレッドの足止めをしているので、頼ることはできない。
 要するに――――


「――――ボクの自殺につきあわせてしまってごめん。でも、もう生きるのに疲れたんだ」

「何を今更。私たちはマスターに最期まで付き従います。これだけは譲れません」

「その通りだぜ、はやて。散々議論してきたじゃねえか。今更蒸し返すことはないだろ」

「主はやてと共に生き、ともに死ぬ。これに勝る喜びはありません」

「シグナムの言う通りよ、はやてちゃん。それに、貴女は沢山頑張った。
 頑張って頑張って――ついに使命を果たしたの。少し位我儘いっても許されると思うわよ」

「主が気になさる必要はない。いまこうしていることは、我々の総意によるものなのだから」

「ありがとう、ザフィーラ。みんなも、本当にありがとう」


 温かい励ましの言葉が口々にかけられる。
 本当にボクにはもったいないくらいの家族だ。
 おそらく史上最大のジェノサイドを引き起こし、親しい友人にまで手をかけた。
 全ての化け物――神話勢力を駆逐したいま。
 使命を果たしたいま。
 もはや、この世界に未練はなかった。


「それにさ、はやて。一応、こっちの世界に飛んだときのデータから作った異世界転移魔法も発動させるんだ。
 運がよければ、別世界にたどり着けるかもしれないだろ?分の悪い賭けは、嫌いじゃないぜ」


 ヴィータ姉が、明るい口調でいう。
 そう、ただで自殺するつもりはない。
 リリカルなのは世界から、こちらの世界――つまり、異世界転移ができることは、分かっている。
 さらに、無限転生機能は、虚数空間でも発動できるために。
 異世界移転魔法と、無限転生機能を組み合わせて、別世界に飛び出そうと画策していた。
 実験なんてできないので、正直うまくいくかはわからない。
 けれども、ただ自殺をしに行くよりはよっぽどマシというものである。


「よし、覚悟も決まったところで、あとは魔法を発動させるだけ。準備はいいかい?」


 全員から、応と返事が来る。
 そして、起動ワードを唱和した。


『バルス!』


世界は光に包まれた。





 冬木市。
 とある名家の屋敷にて、怪しげな儀式が行われていた。


「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
 繰り返すつどに五度。
 ただ、満たされる刻を破却する」


 力ある言葉が、響きわたる。


「汝三大の言霊を纏う七天、
 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」


 呪文を唱え終えると、屋敷に何かが激突したような大音量が鳴り響く。
 すわ何事かと身構え、召喚に失敗したのかと青ざめる。
 とりあえず、確認しなければならないと気を取り直し、震源地へと向かう。
 現場についた少女――彼女が召喚の儀式を行った――が見たものは。
 半ば床に埋もれた、10歳にも満たないであろう少女の存在だった。
手には、大きな本を抱えている。
 幼い少女は朦朧とした意識で、辺りを見渡し、つぶやく。

「ここは、一体……?」


 これが、後に聖杯戦争に旋風を巻き起こす主従。
 マスター遠坂凛とイレギュラークラス「アヴェンジャー」の最初の出会いだった。





『夜天の王は未知を求め 
 雲の騎士と飛び出さん

 夜天の王は既知を改め
 祝福の風と駆けださん』


     (とあるベルカの「預言者の著書」より――再度変化した預言)


 これから語る話は、我武者羅に新天地へと飛び立つ少女と家族たちの物語。


 まちうける喜劇。


 まちうける悲劇。


 たとえば、そんなアドベンチャー


 ――――それは、夜天の王「八神はやて」と家族たちの冒険譚。


 ――――そんな、あったかもしれない未来のお話。 
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