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レーヴァティン

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第百五十六話 一騎当千の者達その十三

「倒した将兵のことですが」
「スパルタ軍のな」
「彼等は生死に関わらず捕虜にしていきましょう」
「捕虜にして拘束してか」
「はい、決して逃がさない」 
 その様にするというのだ。
「そうすればです」
「捕虜にする度に敵の戦力を奪えるな」
「そうしていくべきかと」 
 順一は久志に真剣な顔で進言した。
「この度は」
「それがいいな、倒してもな」
「はい、遺体を持って行かれるとです」
「その遺体を復活させられるからな」
「だからです」
 それが為にというのだ。
「出来るだけです」
「倒した奴は捕虜にしてな」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「戦が終わるまで絶対に出さない」
「そうしていくんだな」
「それがいいと思いますが」
「今言った通りだよ」
 まさにとだ、久志は順一に再び答えた。
「それはな」
「左様ですね」
「ああ、じゃあな」
「捕虜にしていきますね」
「生きてる奴も死んでる奴もな、そしてな」
「敵の戦力を奪っていきますね」
「そうするな」
 実際にとだ、久志は順一に答えた。こうしておおよその方針を決めてだった。
 久志はスパルタに向けて進軍を続けた、その間四六時中スパルタ軍はあらゆる場所から少人数での攻撃を続けてきた。
 だが帝国軍はその都度彼等を破り捕虜に出来る者はしていった、だが久志はその中で苦い顔で言った。
「本当に常にな」
「出て来るわね」
 清音が応えた、先程そのスパルタ軍十人程今彼等がいる村の家の中から出て来て攻撃してきた彼等を倒したばかりだ。
「何処からでも」
「いつもな」
「モンスターみたいね」
「実際にな」
「これは本当に骨が折れるわね」
「ああ」
 どうにもとだ、久志は答えた。
「本当にな」
「わかっていたにしても」
「やっぱりいつも攻めて来るならな」
 それならというのだ。
「警戒してな」
「その分神経使うわね」
「こうして疲れさせるのも目的だからな」
 ゲリラ戦術はとだ、久志はこうも言った。
「だからだな」
「そういうことね」
「ああ、けれどな」
 神経をすり減らすがとだ、久志は気を引き締める顔になって清音に話した。
「敵の捕虜は確実に増えていってる」
「それならよね」
「ああ、だからな」
 それ故にというのだ。 
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