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レーヴァティン

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第百五十五話 アテネとの戦いその十二

「その時はです」
「使うしかないか」
「戦の長期化と犠牲の増加は防がないといけないので」
「そういうことだな」
「左様です、では」
「ああ、スパルタ軍とな」
「戦いましょう」
 夕子は久志に真剣な顔で告げた、そうしてだった。
 帝国軍は一路スパルタに向かった、その彼等に対してスパルタ軍は街を出て迎撃に来た。久志はそのことを聞いて言った。
「数は三万か」
「まさにスパルタの全軍ですね」
 順一はその数を聞いて言った。
「来たのは」
「ああ、まさにな」
「この会戦で勝てば大きいですが」
「それでもだよな」
「ここで終わることはです」
 スパルタとのそれがとだ、順一は久志に話した。
「ないです」
「それは絶対にないよな」
「はい、ですから」
 それ故にというのだ。
「ここで勝ってもです」
「浮かれずにな」
「最後の最後まで、です」
「戦っていくか」
「もう一度ロードス島での戦をやるか」
 順一は真剣な顔でこうも言った。
「沖縄戦かベルリンまでの進軍か」
「どっちもとんでもない戦だったよな」
 沖縄、ベルリンと聞いてだった。久志はすぐに返した。
「日本もドイツも負けたけどな」
「沖縄戦は鉄の嵐と呼ばれたまでの激戦で」
「ドイツ軍にしてもな」
「最後の最後まで戦ったので」
「連合軍の損害は洒落にならなかったんだよな」
「沖縄のその死闘がアメリカに原爆投下を決意させたともです」
「言われているしな」
 一説にはでありやはり諸説あることはわかって久志達も話している。そして久志はその中で言うのだった。
「そうした相手ってことだな」
「スパルタは」
「折角コリントスも抑えたのにな」
 スパルタが支配する地域への一口になる、この街は素直に最初から帝国に降っていてスパルタへの抑えにもなっていた。
「それでスパルタが支配する半島も湖を囲んでな」
「圧迫していますが」
「それでも戦う相手ってことか」
「はい、では」
「ああ、まずはな」
「会戦です」
「それに勝つな」
 こう言ってだった、久志はスパルタとの会戦に挑んだ。それがこれからはじまる厳しい戦のはじまりであると自覚しつつ。


第百五十五話   完


                   2020・3・23 
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