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レーヴァティン

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第百五十四話 都市国家同盟その六

「戦の場所はテーベの北や」
「本拠地を守りに来た軍とか」
「それも大急ぎで来たな」
「その大急ぎで来たってのも重要なんだよな」
「大急ぎで来た、それだけな」
「疲れてるな」
「その疲れた軍勢と戦う」
 美奈代は笑ったままこうも言った。
「そこだけでな」
「かなり有利に立てるからな」
「それに対してこっちは騎兵隊を使って」
 おびき出してというのだ。
「それで主力はな」
「普通の速度でテーベに向かうからな」
「そうなったらな」
「それ程度疲れていないな」
「騎兵隊も主力もな」
「その状態で大軍でしっかりと戦える」
 久志も確かな声で言った。
「もうこうなったらな」
「滅茶苦茶有利やな」
「相当にな、じゃあな」
「もうわかるやろ」
「ああ、絶好の条件で勝てるな」
「下手に誘い出してもそれを見抜かれてな」
 そしてとだ、美奈代は久志にさらに話した。
「乗ってこん」
「アテネの軍勢との合流を優先させるな」
「そや、しかしテーベ自体を狙えば」
 その時はというと。
「絶対に乗る」
「しかも本気でテーベ攻めるしな」
「それやったらな」
「本当にこっちに来るな」
「そうなる、ほなええな」
「ああ、そうして攻めるか」 
 久志は美奈代の言葉に頷いた、そしてだった。
 軍勢をその様に動かした、進太が率いる騎兵隊を先陣として真っ先にテーベに向かわせ主力もそちらに向けていった。すると。
 テーベの軍勢二万は一目散にこちらに来た、そしてテーベに到着すると街に入ることなくこちらに向かっていると聞いて。
 久志は笑みを浮かべて言った。
「よし、騎兵隊はな」
「引き返させますね」
「ああ、そしてな」
 源三に対して答えた。
「こっちと合流させな」
「そうしてですね」
「主力はこのままな」
「テーベに向かい」
「連中に向かうな」
「そうしますね」
「ああ、ここでな」
 こうもだ、久志は言った。
「敵が一旦街に入ったらな」
「そこで休養を摂れば」
「それだけでも違っていたけれどな」
「幾分か疲れが取れるので」
「もっと言えば籠城すればな」
 その場合はというと。
「余計にな」
「厄介でしたね」
「本当にこの辺りの勢力は籠城しないんだな」
「実はこの辺りの都市国家は伝統的に野戦を好むだけでなく」
「他にもあるんだな」
「実は他の地域に比べて城壁や櫓が脆いのです」
「それで籠城はしないか」
 久志はこの事情も知って言った。
「そうだったんだな」
「伝統的に築城技術が低く」
「それで脆いか」
「サロニカもですね」
「ああ、城壁は低くて石の質も悪くてな」
 久志は今拠点ととしているサロニカのことを思い出して語った。
「術への結界も粗末で塔も少ない」
「堀も浅く狭いですね」
「正直言ってな」
「攻められると脆いですね」
「ああ、大きな街だったけれどな」
 それでもというのだ。 
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