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レーヴァティン

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第百五十三話 不戦勝その十二

「汚物は結局はな」
「汚物でしかないですか」
「いや、汚物ならまだ肥料になってな」 
 それでとだ、久志は言葉を言い換えた。こちらの浮島でも汚物を農作物の肥料としたりしているからである。
「役に立つか」
「ではそうした相手は」
「汚物以下、まさにな」
 厳しい顔での言葉だった。
「屑だな」
「そして屑は、ですか」
「どうにもならないからな」 
 それ故にというのだ。
「使わないに限るな」
「そうなりますか」
「ああ、そのことがわかったさ」
「今言った様な人も」
「絶対に用いない、そうした奴とわかったら」
 その時点でというのだ。
「切り捨てるさ」
「そうしますか」
「そうした奴は他人が切り捨てられてもしかり顔で偉そうにご高説垂れるが」
 切った者の正体なぞ考えもせずにだ、久志はこうも思いつつ話した。
「いざ自分が切られるとな」
「怒り狂いますね」
「他人の痛みはわからなくてな」
 そうした思いやりのない輩でというのだ。
「その癖自分の痛みには敏感なんだよ」
「確かに始末に負えないですね」
「そんな奴は知るか、どうせ痛い目に遭っても反省しないさ」
「怒るだけで」
「全部他人のせいだよ」
「だからですね」
「ああ、もうな」
 それこそというのだ。
「放っておくさ」
「切ったうえで」
「無能以下の屑は本当にどうしようもないからな」
 久志は吐き捨てた、そのうえで今はそうした連中ではない仲間達と共にこれからどうするかという軍議を開いた、そうして諸都市国家との戦いに入るのだった。


第百五十三話   完


               2020・3・8 
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