ドリトル先生の競馬
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第二幕その十二
「些細なものなんだ」
「そうに過ぎないんだ」
「何ていうかね」
「人間と幽霊って別かって思ったら」
「そうでもないんだね」
「よく日本では怨霊のお話があるね」
先生はこちらの幽霊のお話もしました。
「日本では一番怖いね」
「あっ、確かに」
「魔王にもなるし」
「悪魔よりもずっと怖いね」
「日本には鬼がいるけれど」
「日本の鬼がね」
「その鬼より怖いかもね」
皆も日本の怨霊の知識があります、これも先生に教えてもらったことです。妖怪のことと同じです。
「物凄い力があってね」
「心も怖いよね」
「怨みと憎しみばかりで」
「とんでもない存在だよね」
「怨霊は生きていてもなるからね」
死んでからなるものではないというのです。
「そのまま身体から出てね」
「生霊の怨霊ね」
「そういえば日本にそうしたお話もあったわ」
「吉備津の釜?」
「あの怪談だったね」
「じゃあ人間は生きていても」
「そう、魂が大事だからね」
それでというのです。
「そこから怨霊になることもあるんだ」
「ううん、じゃあ本当にね」
「人間と幽霊って違わないんだ」
「身体があるかないかだけで」
「これといって」
「そうだよ、特に日本ではね」
この国ではというのです。
「そうした考えだね」
「言われてみれば」
「確かに」
「そうなるね」
「先生の言う通りだよ」
「人間と幽霊の関係はあまりないね」
「僕は前からそう考えていたけれど」
それがというのです。
「日本に来てから確信する様になったよ」
「そうなんだね」
「このことについても」
「日本に来てから」
「それではっきりしたんだ」
「日本人の幽霊観を見てね」
それでというのです。
「わかったんだ」
「そうなんだね」
「まあ確かにね」
「日本人は幽霊の考えについても独特で」
「身体があるかないか」
「それだけのことだからね」
「そう、生霊と死霊を見ても」
それでもというのです。
「わかったしね」
「それで怨霊が一番怖いけれど」
「日本だと」
「つまり人間が一番怖い」
「そうした考えでもあるのね」
「そうだね、人間と幽霊の違いはあまりなくて」
それでというのです。
「怨霊の力を見ると」
「正直鬼や天狗より強いし」
「もう絶大だから」
「そうしたのを見るとね」
「日本ではね」
「人間が一番怖いね」
「魔王や邪神の名前は出せても」
それでもとです、先生はお話しました。
「日本で怨霊は名前出せない場合が多いからね」
「そうそう、それあるよね」
「怨念があまりにも凄くて」
「祟りが気になるから」
「どうしてもね」
「何百年とか千年前の人でも」
そうした遥かな昔の人でもというのです。
「丁重に弔わないと今も祟られるってお話があるね」
「そのお話日本結構あるよね」
「マクベスの幽霊より怖いし」
「もう普通にね」
「僕達も気をつけないとね」
「危ないよね」
「そう、間違ってもそうした怨霊を馬鹿にしたらいけないんだ」
先生は温厚な中に真剣なものを含めてお話しました。
「本当に祟られかねないからね」
「やっぱり人間が一番怖いね」
「少なくとも日本ではそうね」
「悪魔の魔王や古代の邪神より怖い」
「それが人間なんだね」
動物の皆も思うことでした、そうしたお話をしつつ高等部の乗馬部のグラウンドに向かうのでした。
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