レーヴァティン
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第百四十八話 連合王国降伏その一
第百四十八話 連合王国降伏
久志達は降った敵主力を含めた大軍を率いてそのうえでアルカーサルに入城した、だがアルカーサルに入る前に。
久志はその話を聞いてすぐに言った。
「安心してくれと伝えてくれ」
「皇帝の名においてですね」
「ああ、そうな」
こう順一に答えた。
「そうしてくて」
「我等の軍は略奪暴行を働かないですね」
「軍規軍律はしっかりしてるさ」
それは非常に厳格だというのだ。
「それにな」
「給与も支払っていますし」
「いつも腹一杯食ってるしな」
それで餓えてもいないというのだ。
「言うなら満腹の軍隊だ」
「それなら略奪なぞしませんね」
「腹減ってると食うなって言われても食うさ」
極端な飢餓状態にあるとだ、どうしてもそうなってしまうというのだ。
「人間食わないと死ぬからな」
「それ故に」
「そうしてしまうけれどな」
「今の我が軍は」
「朝昼晩の三食な」
その全てをというのだ。
「腹一杯食っててな」
「そしてですね」
「給与も支払ってるんだ」
「だから略奪も働かないですね」
「規律厳正であるだけじゃなくてな、しかもな」
久志は笑ってさらに話した。
「軍には娼婦も連れてきているんだ」
「性欲についても」
「解消させてるからな」
「だから余計にですね」
「ああ、略奪暴行の心配はな」
それはというのだ。
「ないさ」
「それで、ですね」
「アルカーサルにも伝えられるさ」
自信、それを以てというのだ。
「安心していいってな」
「そうですね、では」
「今から入るな」
アルカーサル、その街にというのだ。
「堂々と」
「そしてその姿をですね」
「街の人達に見せてな」
「そして街の中にいる、ですね」
「連合王国の密偵にもな」
その彼等にもというのだ。
「見せるな」
「敵にもですね」
「アルカーサルから先はもうマドリードだ」
敵の首都、つまり連合王国の主である国王と女王がいる街だというのだ。
「王様も女王様もどう思うか」
「大軍が堂々としかも規律よく入城してきて」
「心中穏やかじゃないな、だからな」
「ここはあえてですね」
「そうして入るな、それと」
久志はさらに話した。
「街に入って暫くしたらな」
「降伏勧告ですね」
今度は源三が言ってきた。
「お話していた通りに」
「それの使者を送るな」
「そうしますね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「降ればそれで終わりだ」
「そうですね」
「降らないならな」
「アルカーサルからですね」
「マドリードに向かうな」
その大軍でというのだ。
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