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腐女子の素顔

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第三章

「それはね」
「そう言うのかよ」
「同じジャンルばかり描いていても」
「マンネリ化するのかよ」
「そう、いっそのこと」
「いっそのこと?」
「変態ギャグ描いてみたら」
 これが愛生の提案だった。
「もう某男塾みたいな」
「あれギャグか?」
「強烈なキャラクターと展開で笑わせる」
「普通に何度も生き返るか」
「見事に真っ二つになっても」
「あと何とか書房の解説か」
「そんなの描いてみたら」
 そうすればというのだ。
「マンネリと言われない」
「そうなのかよ」
「私もギャグ漫画だし」
「お前はシュール系だよな」
「そっちが好きだから」
「お前らしいけどな、それでもな」
 遥は言うのだった。
「そういうにも描けないの」
「あたしギャグはな」
 どうにもというのだ。
「描けないな」
「恋愛だけなの」
「そうなんだよな」
「彼氏いないのに」
「おい、そこでそう言うのかよ」
 現実を言われてだった、遥は目を三角にさせて言い返した。
「それはないだろ」
「けれど事実」
「事実でも言うなよ」
 実は彼氏いない歴イコール生きて来た歳月である。
「それは」
「それでも現実に恋愛を知ると」
「違うのかよ」
「そうよ」
「ってあたし本当にな」
 指摘された現実からだった、遥は答えた。
「自分自身の恋愛経験はな」
「ないのね」
「だからな」
「現実は描けないの」
「しかもこの学校な」 
 遥は今度は自分達が通っている学校の話をした。
「女子高だよな」
「これも彼氏がいない一因ね」
「友達も女の子ばかりでな」
「秘密の花園」
「とはいってもそんな話はな」
「実際にはないわね」
「ああ、女の子同士とかな」
 そうしたことはというのだ。
「ないからな」
「そうよね」
「別にな」
「けれど」
 愛生は遥にこうも言った。
「女の子同士の漫画もあるわよ」
「ボーイズラブじゃなくてガールズラブか」
「そっちの作品も描いてみたらどうかしら」
 こう言うのだった。
「ここは」
「所謂百合ものか」
「薔薇ばかりじゃなくて」
「そうか、けれどな」
 遥は腕を組んでそして言った。
「あたしそっちの趣味はな」
「ないの」
「だからな」
 それでというのだ。
「そんな恋愛はな」
「そうなのね、じゃあ」 
 それならとだ、愛生は遥にまた言った。 
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