レーヴァティン

「唯一ってことを抜いてもね」
「王様より上でな」
「そうだよ、だからね」
　それこそというのだ。
「重みは伊達じゃないよ」
「俺にしてもか」
「あんたも自覚しなよ」
　こうもだ、留奈は言った。
「そこは」
「皇帝の権威か」
「そうよ、皇帝は王様も任じられるし」
「王様より上だからだよな」
「それも出来るのよ」
「その権威を有効に使うと大きいってことか」
「つまりはね」
　こう久志に言うのだった。
「政治的にそうしていくべきよ」
「そうだな、じゃあやってくな」
「そうした風にね」
「皇帝の権威も使って」
「この浮島を統一していくわね」
「ああ、そして統一の後は」
　それからのこともだ、久志は話した。
「東の浮島の連中と一緒にな」
「海に攻め込むわね」
「そうするぜ」
　海の魔神、彼を倒して彼が石にして海に沈めている世界を救う為にというのだ。久志の声は強いものだった。
「絶対にな」
「それじゃあね」
「ああ、それとな」
　久志はこうも言った。
「連合王国の内情とか知りたいな」
「もうそれはかなりわかってるで」
　美奈代が応えた。
「既にな」
「商売からか」
「うちはあそこにおったしな」
「店も持っていたしな」
「それで商売にも情報が必要やろ」
「だからしっかりとしたな」
「それでや、うちはあの国のこともよお知ってるし」　
　美奈代はさらに話した。
「東の諸都市群の方もな」
「情報を集めてるか」
「それで知ってるで、そやからな」
「あの国のことをか」
「これから話そか」
「ああ、頼むな」
　すぐにだ、久志は美奈代に答えた。
「色々教えてくれ」
「ほなな、あと知ってるのはこの二つの勢力だけやないで」
「他の国のこともか」
「ちゃんと知ってるで」
　そうだというのだ。
「そやからな」
「何でもか」
「聞いてくれるか」
「是非な」
「ほなな」
　実際に美奈代はこの場で話そうとした、だが。
　ふとだ、笑ってこう言った。
「後にしよか」
「おい、何でだよ」
「酔い過ぎたわ」　
　だからだとだ、美奈代は久志に話した。
「うちも」
「ああ、実際俺達相当飲んでるしな」
「そやろ、皆顔真っ赤や」
　見れば実際にそうなっている。
「そやからな」
「あらためてか」
「まあな、明日にでもな」
「酒が抜けてか」
「それで会議の時にな」
「話すっていうんだな」
「考えてみたらこうした話はしっかりした時と場所で話すものや」
　それが筋だというのだ。