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ドリトル先生の林檎園

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第十一幕その五

「戦いの時で」
「ああ、川中島の戦いって何度もあったんだったね」
「五回あってね」
「それで四回目にね」
「凄い激戦になったんだったね」
「刃を交えたのは四回目だけだったわね」
「その四回目の戦いの時にね」
 まさにというのです。
「謙信さんはここに陣を置いたんだ」
「そうしてだったね」
「武田軍が啄木鳥の戦法を執って」
「それを謙信さんが見抜いて」
「早朝に正面から奇襲を仕掛けて」
「激しい戦いになったんだったね」
「謙信さんは戦いの天才で」
 まさにそう言うべき人でというのです。
「武田軍の意図を見抜いてね」
「そしてだったね」
「あえて正面から攻撃を仕掛けて」
「そうして戦ったんだったね」
「啄木鳥の戦法は要するに挟み撃ちでね」
 先生は戦術のお話もしました。
「山に後ろから攻撃をかけて」
「あっ、啄木鳥は木を嘴の先で叩くから」
「そうして虫を驚かせて木から出させて」
「そこを回り込んで食べるね」
「捕まえて」
「それでだね」
「啄木鳥の戦法も」
「そうだよ、敵を後ろから攻めて」
 そしてというのです。
「陣から出させて」
「そこを待ち受けて戦う」
「そうした戦い方だったんだね」
「そしてその戦い方をね」
「武田軍は執ったんだったね」
「けれど謙信さんは見破ったんだ」
 そうなったというのです。
「それが四度目の川中島の戦いだったんだ」
「凄いね」
「流石謙信さんかな」
「そこで一気に攻めて」
「そして信玄さんと一騎打ちになったんだったね」
「その時の銅像もあるから」
 この川中島にはというのです。
「次に観ようね」
「それじゃあね」
「次はね」
「そうしましょう」
 皆も頷きます、ですが。
 妻女山について皆思うのでした。
「この山に謙信さんがいたって思うと」
「不思議な気持ちになるね」
「どうにも」
「四百年以上昔でも」
「ここで戦いがあって」
「謙信さんもいたって思うと」
「本当にね」
 こう言うのでした。
「武田軍と上杉軍が戦って」
「激しい死闘が行われたって思うと」
「そうだね、この謙信さんも恰好いいんだよね」
 先生はこの人にも好意を見せました。
「信玄さんもそうだけれど」
「二人共でね」
「信長さんとはまた違った恰好よさがあって」
「信玄さんは深みがある?人として」
「それで謙信さんは何処か女性的で」
「戦いは強いけれど」
「二人共本当に違うからね」
 その個性がというのです。
「それもまた魅力だよね」
「それぞれでね」
「よくあんな二人が巡り会ったわ」
「ライバル同士で」
「あの時代に」
「まさに宿命だっただろうね」
 先生は謙信さんのことも信玄さんのことも思い言いました。 
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