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レーヴァティン

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第百三十六話 鹿児島攻めその十四

「国が傾くよ」
「浮島を統一して魔神を倒す為にはな」
「そんな贅沢に溺れている訳にもいかないね」
「本末転倒だ」
 そうなればまさにというのだ。
「そもそもな」
「そうだね、あんたの言う通りだよ」
「そうだな」
「そしてね」
 桜子はさらに話した。
「女遊びもいいけれどね」
「程々にか」
「もう度が過ぎてるみたいだけれど」
 英雄に笑って話した、このことは。
「身体にくるからね」
「疲れに病だな」
「どっちも怖いからね」
「それはわかっている」 
 そのうえでとだ、英雄は桜子に答えた。
「そうして楽しんでいるしな」
「だからだね」
「もうこのことはな」
「承知のうえでだね」
「楽しんでいる」
「そういうことだね」
「あいつは違う様だがな」
 ここで英雄はこうも言った。
「西の浮島のあいつはな」
「ああ、久志君だね」
「あいつは一筋でだ」
「女遊びもだね」
「しない様だが」
 それでもというのだ。
「俺は違う」
「やっぱり遊ぶね」
「そうしていく、ただな」
「奥方はですね」
 謙二が微笑んで言ってきた。
「大事にされていますね」
「第一だ」
 お静、正室である彼女はというのだ。
「そこは絶対としてだ」
「されていますね」
「そうしたことはな、女遊びはしてもな」
「奥方はですね」
「第一に立てろと言われてきた」
 英雄は自分にそう語った人のことも話した。
「ひい祖父さんからな」
「その人からですか」
「酒豪で若い時は随分と遊郭に行っていたらしい」
「まだ赤線があった時ですね」
「かなり昔だがな」
 日本でそうした場所がなくなったのは昭和三十年代のことだ、それで戦前戦後をもじって線前線後とも言っていた。
「そうしていて遊郭がなくなるとな」
「それはそれで、ですか」
「大阪に住んでいるが」
「今もご存命ですか」
「天王寺にいてな」
 大阪市天王寺区、そこにというのだ。
「七十過ぎまで飛田新地に通っていたらしい」
「七十過ぎまで」
「今は流石に大人しいが常にそうした相手の若い人がいてな」
「遊びながらもですか」
「そちらもかなりだったそうだが」
「奥さんはですか」
「俺のひい祖母さんはな」 
 この人をというのだ。
「大事にしている」
「そうですか」
「今もな、そのひい祖父さんの言葉だ」
「遊んでもですね」
「正妻になる人はな」
「大事にすべきっですね」
「そう言われていた、どうも俺はひい祖父さんの血を引いてるが」
 それも濃くとだ、英雄は心の中で思いつつ謙二に話した。 
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