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学校のお庭番

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第五章

「それでね」
「そうだよな」
「そう、だからね」
「俺にもだな」
「学校で働いてくれてる人だから」
「先生も生徒もか」
「挨拶するのよ」 
 その様に教育されているというのだ。
「学校の先生ではそうじゃない人も多いみたいだけれど」
「他の学校はか」
「しかも公立の方がね」
「公立はそんなのか、そういえばな」 
 ここで諸星は自分の学生時代を思い出した。彼は大学は私立だったが高校までは公立の学校に通っていたのだ。
 そこでの教師達はだ、そうした教師ばかりではなかったが。
「ふんぞり返ったのいたな」
「そうでしょ」
「何様だっていう位にな」
「生徒に絶対者として振舞ってね」
「暴力振るい放題でな」
「生徒の子達怯えさせてたでしょ」
「生徒が挨拶しても胸反り返してうっす、でな」
 傲慢そのものの返事でというのだ。
「横通り過ぎていったな」
「体育会系の悪い姿だったでしょ」
「そんな奴いたな」
「そんなのいるから」
 公立学校の教師ではというのだ。
「堂々と暴力振るっても指導でね」
「通るしな」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「うちの学校でもね」
「そんな教師がいない様にか」
「生徒だってね」
「いじめとかもか」
「出来るだけない様にしないといけないから」
「いじめな」
「あるでしょ」
 従妹は彼に問うた。
「どうしても」
「嫌なことにな」
「だからね」
「俺も見て回ることか」
「存在感がないならね」 
 用務員ならというのだ。
「それならそれを活かすことよ」
「そのことがいいのか」
「そうでしょ、もっともね」
「もっとも?」
「兄さんはね」
 従兄だからこう言っているのだ、実の兄ではないが。
「実は結構存在感あるけれど」
「用務員だとか」
「そりゃ用務員でもね」 
 この仕事でもというのだ。
「ロシアの大統領だったら目立つわ」
「あのコマンドサンドとか柔道の達人のか」
「目も違うけれど」
「リアルで何人も殺したみたいなな」
「そうした目だしオーラもね」
 身体から放っているそれもというのだ。
「違うでしょ」
「ああした人だとな」
「どんな格好でも」
 それでもというのだ、例え用務員の服を着ていても。
「目立つわよ」
「あの人は特別だな」
「各国の国家元首の中で一番目立つでしょ」
「それこそな」
「ああした人は置いていて」
「特例か」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「兄さんでもね」
「用務員だとか」
「目立たないから」
「都合がいいんだな」
「そう、だからお願いね」
「わかった、じゃあな」
 諸星は彼のその言葉を聞いて言った。 
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