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レーヴァティン

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第百三十五話 趨勢は決したがその三

「そのまま数を頼りにしてな」
「さらにだね」
「攻めてな」
 その様にして、というのだ。
「倒していく」
「そうして敵の数も減らして」
「戦の趨勢を決めてだ」
 九州のそれをというのだ。
「そしてな」
「それからはね」
「敵は退くが」
「あえて深追いはしない」
「そのことは念頭に置いている、今は時ではない」
 長槍が前に突き出された、それだけで見事な槍衾が出来る。それが敵軍を突き刺し動くが完全に止まった。
 そこに英雄はさらに銃撃や術による攻撃そして弓矢も放たたせた。そうして動きを止めた敵をさらに攻め。
 また槍を突き出させた、すると敵軍はその分さらに攻撃を受けた。
 英雄はそこからさらも鉄砲や術、弓矢で攻めさせる。そうしつつまだ戦おうとしている敵軍を見て言った。
「まだ崩れないな」
「いや、凄いわ」
 耕平もその状況を見て感嘆の言葉を漏らした。
「この状況でもってのはな」
「やはり九州の兵は強い」
「特に今の連中はな」
 その敵兵はというのだ。
「薩摩隼人や」
「この世界でも強いな」
「退くことを知らんと言われて」
「果敢に攻めてくるな」
「文字通りチェストーーーーーッて感じでな」
 耕平は薩摩の掛け声も出して話した。
「そんな感じでな」
「来るな」
「どうも今の攻めは」
「刀を抜いて来ていたが」
「示現流で来るつもりやったな」
「薩摩の流派か」
「あの流派はやっぱりちゃう」
 示現流、これはというのだ。
「一切止まらず全速力で突っ込んで来て」
「刀を抜いてな」
「それで袈裟斬りか真っ二つや」
 袈裟斬りには右か左で二種類ある、示現流の攻めはこの三つだ。
「そうしてもう一気にや」
「叩き切ってくるな」
「そうしてな」
「一気に攻めるつもりか」
「それで来るつもりやったが」 
 敵としてはというのだ。
「槍で防いだな」
「さもないとな」
「一気に切り込まれていたな」
「こっちは兵の強さはそんなにやない」
 耕平はこのことも指摘した。
「近畿や山陽や四国の兵はな」
「土佐等は強いがな」
「おおむねな」
「大したことはない」
「むしろ弱兵や」
「そう言っていい、俺は兵の強弱は然程気にしていなかったが」
 これまではそうだったというのだ。
「装備と数さえあればな」
「戦えるっていうんやな」
「そう思っていてだ」
 それでというのだ。
「九州の兵の強さもな」
「あまり考えてなかったな」
「そうだったが」
 それがと言うのだった。
「今はな」
「考えるな」
「実際にな、しかし」
「勝つな」
「どんな強い流派も斬られないとだ」
「意味ないな」
「そうだ、近寄せないことだ」
「そやからやな」
「槍を出す、それでだ」
「突き崩すな」
「槍を切られてもいい」
 突き出させたそれをというのだ。 
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