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レーヴァティン

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第百二十五話 姫路入りその十

「やはりな」
「信用されないよね」
「そう思うからな」
「約束は守るね」
「俺も嘘を言う時がある」
 これまでの人生で嘘を吐いた記憶は多い、もっともこれは自分だけでなく人間ならばと内心理解しつつ話した。
「しかしな」
「こうした時にはだね」
「嘘を言うとだ」
 それこそとだ、英雄は桜子に答えて述べた。
「それは取り返しがつかない」
「領主として信頼されないね」
「この世界を救う資格なぞな」
 到底と言うのだった。
「ある筈がない」
「そういうことだね」
「だから俺はこうしたことではだ」
「絶対に嘘を吐かないね」
「何があってもな」
「そうだね、それでなんだよ」
「皆降るか」
 これまで戦った敵達もというのだ。
「それで極限までの戦にはならないか」
「全員死ぬまで戦うとかね」
「そうそうある話ではないか」
「そりゃ狂信者は別だよ」
 桜子は真面目な顔になってそうした者達の話もした。
「こうした連中はね」
「文字通りだな」
「最後の最後まで戦ってね」
「滅んでだな」
「殉教だとか思うんだよ」
 そうなるというのだ。
「もう土地とか身分とかね」
「命の問題ではないな」
「そうした連中はね、信仰とかを許しても」
「その信条が他の者達に害となるな」
「言うなら邪教だね」
 極めて醒めた口調になってだ、桜子は話した。
「そうした連中は」
「滅ぼすしかないな」
「そうした連中は自分だけなんだよ」
 桜子はこうも言った。
「だから自分達だけの世界でね」
「他の者達は殺してもいいな」
「もっと言えば殺すことが当然のな」
「そうした連中だとな」
「もうこっちもね」
「妥協点はない」
 英雄は桜子に一言で述べた。 
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