レーヴァティン

「嫌いではない、むしろ好きだ」
「そうですか」
「あの酒池肉林という感じがな」
「でしたら」
「ここでも出来るな」
「はい、ですから」
　それでというのだ。
「宜しければ」
「この御殿でか」
「酒池肉林をお楽しみ下さい」
「そうか、なら今夜はな」
「そちらで、ですね」
「楽しもう。まだ姫路には行かないしな」
　だからとだ、英雄は応えてだった。
　お静と今は別れ政の場に出た、そうしてそこで政の話を聞いていたが。
　東のことを聞いてだ、彼は言った。
「尾張か」
「あの国を軸としてのう」
　当季が英雄に話した。
「随分とじゃ」
「勢力を伸ばしているか」
「そうじゃ」
　そうなっているというのだ。
「これがな」
「そうなのか」
「尾張から三河、遠江、駿河にじゃ」
「美濃もだな」
「あの国もそして稲葉山の僧兵達もな」
　英雄も知っている彼等もというのだ。
「降ったらしいぜよ」
「そうなのか」
「それでもう一大勢力になっちょる」
「そうなっているとはな」
「これからより勢力を拡大するかもしれんきに」
「そうか、ではだ」　
　英雄は当季のその話を聞いて述べた。
「山陽、山陰とだ」
「それにじゃな」
「後はどうするか」
「それじゃな」
「九州を考えているが」
　それでもというのだ。
「必要ならな」
「東海じゃな」
「そちらを考えるか」
「この浮島で結構な勢力になっちょる」
「なら余計にだ」
「これからのことを考えていくのう」
「そうする、しかし」
　ここでこうも言うのだった。
「九州も気になるな」
「九州は今は統一されています」
　今度は紅葉が言ってきた。
「一つの家の下に」
「そうなっているな」
「東海と同じく」
「それでだな」
「今は統一したばかりで内政に専念していますが」
「やがて山陽や山陰にもだな」
「来るかと。ですから」
　それでというのだ。
「山陽と山陰への進出はこれからはじめますが」
「早くはなかったか」
「かといっても遅くもないですが」
　それでもというのだ。
「状況としてはです」
「安心出来ないな」
「そうかと」
　こう英雄に話すのだった。
「これは」
「ならだ」
　英雄は紅葉の言葉を聞いて述べた。
「一つやり方がある」
「それは、ですね」
「伊予から水軍を出してな」
　そのうえでというのだ。