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レーヴァティン

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第百二十五話 姫路入りその二

「楽しんだ」
「そうでしたね」
「だが旗揚げするとな」
「それからは」
「遊郭に行くことは極端に減ってそなたと結婚してからは」
 それこそというのだ。
「この大坂に帰った時にだ」
「今の様にですね」
「そなたや側室の者達とな」
「楽しまれていますね」
「そうなっている」
「そもそも街や村の普通の方とは」
「遊びはしない、そうした女は相手がいたりする」
 亭主だの許嫁だの恋人だのがというのだ。
「後で揉める」
「だからですね」
「楽しむ相手はな、常にだった」
「遊郭の方々でしたね」
「そちらの女達だった」
 つまり遊女達だったというのだ。
「夜鷹や歩き巫女や寺のそうした尼僧を相手にしたことはあるが」
「それでもですね」
「普通の女と楽しんだことはない」
 一度もというのだ、尚この世界では仏教では女人禁制の決まりは緩やかで僧侶が普通に妻帯してかつそうした尼僧も寺にいたりするのだ。
「先に言った訳でな」
「それで、ですか」
「そうだ、だがな」
「そうした遊びもですね」
「今はしなくなった」
 旗揚げして領主になってからはというのだ。
「特にな」
「ではです、私はです」
「いいのか」
「側室の人達も同じですから」
「妻だからか」
「確かに思うことはあります」
 嫉妬、お静はこの感情も隠さなかった。
「貴方様が他の方と夜を過ごされる時は」
「やはりそれはあるか」
「それは他の方々も同じです」
「側室達もか」
「よくお互いにお話をしますが」
 妻達の間でというのだ。
「そのお話を聞きますと」
「俺が他の女と夜を過ごしているとか」
「貴方はよく一度に何人もお相手をされますが」
「俺はそれも好きだからな」
「それで、ですね」
「そなたも入れてな」 
 そのうえでというのだ。
「楽しみもしている」
「一夜に何人もの方と」
「そうすることも多いが」
「そうした時も」
「一人で床にいるとか」
「思ってしまうことはです」
 嫉妬、それに寂しさ等そうした感情を抱いていることを自覚してそのことについて思うことはというのだ。
「あります」
「しかしか」
「はい、妻達の間で済むなら」
 それならというのだ。
「構わないのです」
「浮気ではないか」
「私達は妻なので」
 それでというのだ。
「その中にあるのなら」
「いいのだな」
「左様です」
「そういうことか、ではな」
「それではですね」
「これからも遊郭にはな」
「行かれないですか」
 お静は英雄にこのことを確認した。
「そうする」
「そうされるのですね」
「もう相手がいるからな、ただ遊郭の雰囲気はな」
 これ自体はというのだ。 
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