魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers
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Duel:21 酷似してるからこそ言えるんです
前書き
更新が遅れてしまい申し訳ございません。あとがきの方にて少し説明を致します。申し訳ございません。
――sideサト――
「ありがとーおねーさん!」
本日最後の初心者さんに手を振り返す。
T&Hに来ている時はだいたいこの役だ。やること無いときには機材点検だったり、ある程度覚えた中級者の質問に答えたり、初心者デュエリストさんに付き合って色々教えたりしている。
気がつけばもう日は暮れて、ブレイヴデュエルをプレイしている人たちも年齢が高くなってきている。
少しだけ妙だなと思うのが、そこそこ戦える人たちがT&Hに来ているということ。
腕に覚えのある人は大抵グランツ研究所か、八神堂に行くはずなのに……と。
何故? と考えるが、すぐに。
――フェイトさん達の存在のせいか。
突然現れた無名の強者。その噂を聞いて見に来たんだろうな。どこで漏れたか知らんけど。
少し前にヴィヴィオとその先輩が来たときも大盛況だったのを思い出して、少し笑ってしまう。
幸い、こちらに来てる上級者達は初心者にも優しい人達ばかりなのが良かった。
最近は、強いけど性格が……という人が多くなってきたし、対戦後のマナーも悪いし、滾らせる煽りではなく、侮辱の意味での煽りプレイする人も少なくないし。
その度にフローリアン姉妹や、シグナムさん達が迎撃してるし。ある程度抑制してるけど。
……今頃、皆集まってる頃かな? 流も研究所に向かってつく頃だ。
今日で帰還日が決まる頃合いか。
完全に想定外のヴィヴィオとアインハルトと違って、平行世界を飛べる二人が出来ると断言した以上、問題は無いだろう。
……いつかは、自分も帰れるかも知れないが。その前に、この世界の震離と流に繋がるように色々世界を廻るらしいが。それがどうなるか分からない。
まだ二人から詳しい話を聞けてないし。教えてくれないしね。
……本当は皆ともっと話したいと思う反面。やっぱりまだ怖い。
俺が響だと理解して接してくれるけど、やっぱり難しいことなんだよ。あちらにとっての響は、今小さくなってるアイツだし、俺にとっての皆は遠くに居るしね。
なのに、またこうして会えて話が出来たのが……矛盾してるけどやっぱり嬉しいんだ。
しかし、疑問と思うのが。ナカジマ姉妹と話してると、俺を見て不思議そうに、何がどうしたんだろうってつぶやいてたのが気にかかるけど。
……残り時間がどれほどかわからんが、また話を聞ける事もあるだろう。
今はとりあえず。
「いらっしゃいませ」
アルバイトを頑張ろう。
――side流――
「……あれ?」
一番最後に到着したかなと思っていたんですが、まだ二人来てない? いや、そんな筈は……。
「あ、流ー。ちょうどよかった色々ルール確認させてー?」
「へ? あ、それはいいんですが」
スバルさんの誘いを受けつつ、周囲を見渡せど……響さんとフェイトさんが居ない。
代わりに、どこか落ち込んだ様子のはやてさんと、少し元気すぎる震離さんと奏さんが居る。
……スバルさんも、どことなくから回ってるような……?
ちがう、その前に。
「響さんとフェイトさんってまだいらしてませんか?」
「? うん。私とギン姉が来た時はまだ来てなかったよ?」
……あれ? ここに来た順番がわからないので、何とも言えませんが。
あの二人が着いてない筈がないが……どこか寄り道でもしているのかな?
……フェイトさんがまた何か響さんいしてるのかな? いや流石に繰り返しは……分からないけれど。
その割に、はやてさんの様子がおかしいのが気にかかりますが……。
「さて、何か分からないところってありますか?」
「えっとね」
――――
「わぁー……あくまで直接のバトルは重要視してないんだねぇ」
「えぇ。直接戦闘のみにしてしまうと、やっぱり差が現れますしね。あくまでゲームのスパイスとして直接戦闘は機能してもらう予定です」
他の勝負内容を、とりあえず人気のあるスピードレーシングを筆頭に色々説明する。一部ルール不要のものもありましたが……。
「……流さ。そっちの私も……やっぱりギリギリまで、仲良くなかった感じ……かな?」
……おや?
「ということは、そちらの私はあまりスバルさん達と話す事はなかったんですね」
「や、話してたよ。ただ、結局仲良くなったの、本当に短いからさ」
「あぁ。私の体が乗っ取られた辺りからとか?」
「う」
……あらま。本当にその辺りからなんですね。そちらもこちらも私は私でしたか。
「……細かい点は違うというのを承知の上で。そちらの私の名誉のために一つ。
どう接していいのかずっとわからなくて、だけど六課に来る際に受けてた任務もあったと思いますし、ずっとテンパってたんですよね」
なんて告げれば、目を丸くしてて。
「……そっか。流って特殊鎮圧部隊……? だったんだっけ?」
「えぇ。そうでしたよ。結局受けてた任務は意味がなかったっていうオチつきでしたが」
結局定期報告も何も意味がなかったんですよね。報告の内容の是非を問わず、私を処分するという事に変わりはなかったんでしょうし。
……今ここで、実は六課に来た時点で、スバルさん達の体の事を知ってましたと言ったら、間違いなくよろしくないので、言わないようにしましょう。
どうやらスバルさんはうろ覚えみたいですから、下手に言うのも気分を害してしまいますしね。
「んー……流や響達もそうだけど。本当周りを見るとすごい人達ばかりだよねぇ、六課って」
「……私はそうでもないですよ。あの当時あそこしか居場所が無くて、特に結果は残してないですしね」
「そんな事無いよー。ヴィヴィオを保護した時、ディエチが撃った砲撃を防いだのって流も同じ?」
「えぇ。ということは、そちらの私も同じことしたんですね」
本当、そちらの私と、私の辿った道は一緒なんですね。
うーん……近い内にどう違うのかすり合わせしても良いかも知れませんね。現状響さんの違いしかすり合わせてないですし。
「あの時も防いでくれたお陰で、それまで持ってた……その、あんまり好きじゃなかったんだよね私って」
「おや、ぶっちゃけられましたね……悲しいです」
「え、いや、うぇ!?」
ヨヨヨと泣くふりをすれば、慌てるスバルさんが面白い。
……だから遠くで目を光らせないで下さい震離さん。大丈夫ですから。
少しそれましたが、すぐに笑みを浮かべまして。
「冗談ですよ。しかし、も……ですか。ということは殆ど微妙な過程が違うだけで殆ど一緒なんですね。もしかしてアグスタの時に襲われて大怪我してました?」
「……ぅ、うん。大変な事があったのに、その時の私ってティアを……見てるようで見て無くて……その」
おや? なんか意図しない方向に?
「まぁ、あのときのそちらの私って、多分医務室に缶詰でしたし。あまりその時のお話は関われてないですが……スバルさんの寄り添い方も間違ってはないと思いますよ?」
「……え?」
この事になにか思うところはある。ですが。
「友情にも色々ありますしね。むしろ寄り添ってたから、なんとか持ち直してたんじゃないかって私は考えます」
ここへ来る途中で買った紅茶缶をスバルさんに渡しながら伝えると、ぽかんとした表情で少し可笑しい。
「だってそうじゃないですか? スバルさんも一緒に居たから、一緒に強くなろうとしたから無理な特訓もやり遂げた。
褒められることではないとお思いでしょうが、居るのと居ないのとでは天と地の差です。
誰がなんと言おうと、スバルさんもティアさんを助けるのに一役買ってましたよ」
小気味いい音を立てながら、プルタブを開けて一口飲みまして……一息入れまして。
視線を再びスバルさんに戻して……びっくり。
「……や、あの。流に肯定してもらえるなんて。ちょっと意外というかなんというか」
目を丸くして、驚いてる様子。特段変わったことを言ったつもりは無いんですが、驚かれるということは、本当に話してなかったんですね私ってば。そちらの私と仲良くできそうです。
「……正直苦手だったんだ。年下で強くて、なのに口数少なくて。話そうと思ったら、大体怪我してあんまり絡めなくて……そのまま……離ればなれになって……」
「まぁ、そちらの私が帰ってきたら色々話してみて下さいな。同じ私が保証します。話しかけられると嬉しい陰キャラですので」
実際あまり気にしていないというか、話さないのはこちらのせいですしね。
「陰キャじゃないと思うんだけどなぁ……あ、でも、同じ流から太鼓判を貰ったから帰ってきたら色々話すぞー!」
「そうして下さいな」
……なかなか私も酷い事をしてるなぁと。
可能性は0ではないですしね。もしかするとって、なり得るかも知れませんし。
「そうだ。そういえばさ、服とか持って帰っても大丈夫かな?」
「服……ですか。うーーーん……ちょっと待って下さい」
服……服かぁ。一応ある程度ものなら持って帰れるとは思うんですが。
「それは少々お待ち下さい。すぐに回答が出せないです。出来るかも知れませんが……わからないですので」
「そっかー分かったー」
残念そうにされてるのを見ると、本当に申し訳ないなと。
あ、でも。
「データなら持ち帰れると思うので、写真とかなら撮って行くと良いかと」
「それはもちろん。沢山撮ったよ!」
[Yes.I took a good photo.]
「それは良かったです」
嬉しそうに相棒であるマッハキャリバーを見せると、こちらも嬉しそうに良い写真が撮れたと報告を頂きました。
珍しいものだらけですし、デバイスの皆さんもそれぞれ写真撮ってるんだろうなと。
ふむ、それならば。
「そう言えば、港第三中の2年生の修学旅行が終わりますし。もしかしたら……面白い人達が来るかも知れませんよ?」
「? 面白い人達?」
首を傾げている辺り、まだ分かってない様子で少し面白い。
ここでネタをばらしても良いんですが……。
「さ、ヒントは今まで十分ありましたよ。きっと会えると思うので、楽しみにしてて下さいな」
「? ううん?」
クエッションマークが飛んでるのを横目に、皆さんに紅茶を配って最後に震離さんの元へと行くと。
「決まったよ。4日後に決行するよ」
一瞬面を食らう。でもすぐに。
「わかりました。それまで魔力を収束させておきますね」
「うん。私も落ち着かせつつやってみるよ。
……聞かないんだね。なんで決まったのって?」
ちょっぴり元気がない。多分日程が決まったわけじゃないんでしょうけど。
「話したくなってからで良いですよ? 元気が無いのに無理して聞くのも申し訳ないですし」
「……ありがと」
「……私も今しがた、嘘を吐きましたし……所で響さん達見てません? 私よりも先に出てた筈なので……何か聞いてます?」
考えるように震離さんの視線が右から左へ流れて、首をカクンと傾げて。
「いや? 見てないし来てないね」
……ふむ。ならば一応見に行っておきましょうかね。
「ちょっと屋上行ってきます」
「ん。いってらっさい」
なんとなく心がざわついて仕方ないのは、なんででしょうね?
何も無ければ良いんですが……良いんですが!
――side響――
――聞かれてないから言わないだけ。それでも必要なら……しっかり嘘吐くよ。
昔そんな事言ってたなぁと。
報告連絡相談が出来ないというか、独自の判断で控えるところがあった。
結果的に助けられた事もあれば、その情報あったらもっと楽に出来たけど出どころは? っていう部分もあった。
その上で、どうしても言わないと行けない時。真実を告げるのではあまりにも酷だと判断したときのみ。あの子は嘘をつく。
悲しみを顔に出すことはない、涙を堪える事もしない。
ただ、優しく丁寧に告げるんだ。
あの時顔は見えなかった。だけど、きっと笑って言ってたんだろう。
ゆりかごの時、何よりも流がヴィヴィオに帰ってくるという約束をしていたから、可能性はあると考えていた。だから震離もそれを遵守するだろうと。
極めて近く、限りなく遠い。だけど、同じく成った震離の言葉で……嫌でも分かってしまった。
「二人が、本当に遠くへ行ってしまったんだなって。それが……俺は辛いんだ」
そんな馬鹿なと。フェイトさんが驚愕している。まだ可能性はあるだろう。もしかすると、まだ何かあるかも知れないと。
だが、あの震離達はおそらくゆりかごを破壊するのに必要なものを知っている。それにはどうしても犠牲が発生すると。
そして、それは……。
あぁ。
「……辛い」
あの日あの時、どんな気持ちで最後の通信を飛ばしてきたんだろう?
どれほどの想いがあったんだろう?
通信の声を思い出す限り、恐怖はなかったと思う。
だけど、それでも……。
どんな思いで、あの二人はそれを告げたんだろう?
後書き
重ねてですが、今回更新が遅れてしまい大変申し訳ございません。
台風の影響をもろに受けて、あの日家に帰れず、ホテルに泊まっておりました。
台風に慣れているとは言え、この規模は久しぶりだなーとか思っていたんですが……現在住んでる地域、千葉なんですよね。
幸いロフトのある部屋を借りていて、そこに機材等などおいて過ごしてたんですが。
それ以外皆終わったんですよね。
ロフトのお陰で致命傷は避けたんですが、限りなく致命傷に近い状態でして……えぇ、とりあえずなんとかならないかなーと相談している最中です。
端的に申し上げますと、不安定な更新が更に不安定になります。なんとか戻す予定なのですが、少々お待ち下さい。
ハーメルンの頃に追いついたと喜んでいるのも束の間、まさかこんな……。
ただ、書いてる時色々忘れられるので、時間が取れる時はこっちに集中出来るんじゃないかなとプラスに考えております。
なんとかデータを取り出せましたし、ノートパソコンとかでも書けますしね。
さて、長くなりましたが一端失礼致します。
長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。
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