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ある晴れた日に

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730部分:ある晴れた日にその四


ある晴れた日にその四

 そうしてだ。ここで話が変わるのだった。
「そういえば」
「ああ、そうよね」
「未晴よ」
 彼女の話にもなった。
「未晴もよかったわよ」
「進級できたんだろ?何とか」
「そうよ」
 奈々瀬が微笑んで皆に答えた。
「出席日数はもう言うまでもなかったけれどね」
「二学期と三学期全部だったからな」
「それだけ休んでいたらな」
 つまり一年の大半学校にいなかった。これで進級はまず無理な話だった。
「やっぱり無理だよな」
「普通はな」
「大変だったけれどね」
 凛もにこにことしていた。
「もうね。全部の中間と期末のテストを受けて」
「それをか」
「またハードだな」
「しかもその全部に満点なのよ」
 しかもなのだった。
「さもないと進級させないってね」
「凄い話だったよ」
 しかし春華の顔もかなり明るいものだった。
「幾ら未晴でもそんなのできるかってな」
「そうそう、とてもね」
 静華にしてもその顔はかなり明るい。
「けれどやれたからね」
「未晴無茶苦茶勉強したのよ」
 咲も自分の席で満面の笑みを浮かべている。
「それでね。本当に全部ね」
「満点か」
「それで」
「そう、進級できたから」
 それでだというのだ。
「このクラスだったわよ」
「そうか、じゃあ晴れて」
「皆ここになんだな」
「ああ、そういえば」
 ここで竹山がまた言ってきた。
「音橋君は」
「そろそろよ」
 恵美がにこりと笑って彼のその問いに答えてきた。
「今職員室に行ってるけれど」
「そうなんだ」
「その未晴のことでね」
 やはり彼女のことだった。最早彼と未晴は絆そのものになっていた。
「行っていて」
「そうなんだ。それで」
「今は」
「そう、今はね」
 クラスにはまだ来ないというのである。
「だからね」
「わかったよ。それだったら」
「うん、そういうことでね」
 このことを語る恵美も優しい笑みになっている。
「もうすぐだと思うけれど」
「あっ、来たわ」
 ここで千佳が明るい顔で言ってきた。見ればだった。
 相変わらずギターケースを背負っている彼がクラスの中に入って来た。そうしてそのうえで一同のところにやって来たのだった。
「おはよう」
「元気そうね」
「ああ」
 愛想は変わらない。その声で彼等に応えた。
「元気そうだな、皆」
「おかげさまでな」
「こうして皆な」
「一緒のクラスだからね」
 皆明るい笑顔で彼に声をかけるのだった。
 
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